会議
祭りの始まりを1週間後に控えた今日、13番目の島では闘技場の建設が着々と行われていた。
「これを毎年作ってると思うとすごいね」
「そうですね。1から作り直しているなんてほんとにほんとにすごいと思います」
毎年闘技場は変わっていくから、同じ戦略で戦うことはできないということだ。
だからこそこの祭りは廃れることなく百年以上続いている。
今日の主な予定は昼に戦いに参加するメンバーでの作戦会議だ。
選手専用の大きなテントにリルたちは向かう。まだ始まる一時間以上前だと言うのに他の3人は既に来ていた。
「みなさん、もう来ていたんですね」
「あぁ。まだ何も決まってないからな」
二人は円卓の周りに置かれた椅子にそれぞれ座る。作戦会議といっても内容はメンバーの出場順の選定だ。闘技場での戦いはリーグ形式で勝ち上がっていく仕組みになっている。相手チームとの勝利数を競い、多い方が勝ち上がっていく方式だ。一度出場順を決めると変更が出来ないので、かなり大事な選択となる。
「先鋒はやっぱりインパクトが大事だと思います」
メンバーの1人、メガネをかけたクールビューティー感のあるシーナという女性が意見する。
「それは俺も賛成だ。特に最初の三本が大事だね。あとから三本取り返すってのはかなり厳しいと思うぜ」
そう言うのは少しチャラチャラとした、耳にピアスのついた目つきの悪いクスケという男だった。
「これに反対意見は........ないみたいですね。それじゃあ最初の3人に強いひとを固めましょう」
話をまとめるのは弟の瑠璃だ。少し癪に触るが、恐らく今までライブラでかなりの実績をあげているのだろう。二人の表情からして信頼はされているようだ。
僕もここらで少しは発言しておこうかな。
「それなら僕が最後になります。多分ですけどこの中で一番弱いのは僕なんで」
「そんなことなっ!」
慌ててアイラの口を塞ぐ。危ない、僕はこの大会を穏便に終わらせたいのに。
「それもそうですね。........じゃあリルは先鋒を頼みます」
はっ?
「いや、僕は最後がいいって言ったんだけど」
「この中でいちばん強いのは姉さん、あなただ。みんな姉さんの強さを忘れたわけじゃないんだよ」
みんな無言で頷いている。でも時間魔法の使えない僕に何が出来るのか。
「あと忘れてるだろうけどこの祭り、禁忌の魔法も使えるんだよ。今禁忌の魔法を使える人って姉さんしかいない。だから実質無敵なんだ」
そっか、じゃあいくらでも時間を巻き戻せるのか。えっ?でもそしたらこの大会、僕は負けないんじゃ。
「負けることない姉さんをどの順番で戦わせるかがこの祭りでの勝利条件なんだ」
僕は自分の魔法を過小評価しすぎてたみたいだ。嫌な弟ではあるけど、面と向かって凄いことを伝えられると、少し自信になる。
「なら余計に僕は最後にするよ。大将ってのは最後を選ぶことが多いでしょ?だから大将を倒すために僕は最後を選ぶ」
至極真っ当な意見に反論はなく、その後もササッと順番は決まっていった。最終的に決まった順番はこれだ。
1、瑠璃
2、リル&アイラ
3、クスケ
4、シーナ
5、瑠璃&クスケ
6、アイラ
7、リル
順番も決まり、解散なのかとテントを出ようとすると瑠璃に止められた。
「最後に、互いの魔法のことをいちよう話し合っておこうと思う。もしかしたらタッグバトルになる可能性があるかもしれない」
「めんどくせえなぁ。俺の魔法は天候操作と雪魔法だ。だから基本的に天候を雪にしてから戦うスタイルだ。これでいいか?」
クスケは面倒くさそうな顔をしながらも、ちゃんと話をてくれた。
「ありがとう。シーナは?」
「私は、使える魔法は天候魔法、砂魔法と鉱物魔法です。クスケとは相性が悪いかもしれないですけど頑張ろうと思います」
「うん、了解。じゃあ次に、アイラちゃんは?」
名前を呼ばれて少しあたふたしながら答える。
「私の魔法は、効果付与と身体拘束です。得意なのは接近戦ですけど、力不足かもしれません。よろしくお願いします!」
深々と頭を下げて挨拶した。緊張気味だけど、きっと戦いでは頑張ってくれるはず。
「ありがとう。そんなに緊張しなくていいよ。みんなもう君の仲間なんだからさ」
「仲間......」
そう呟いて嬉しそうに満面の笑みで笑う。この笑顔を見ると自分までなんだから嬉しくなる。
「最後に、姉さん。あなたの能力を教えて」
今更言ったって変わりはしないけど、ちゃんと言うとなると簡単な能力じゃないんだよな。
「分かった。教える、教えるけど、少しだけ長くなるのは許してくれ」




