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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
星座の導き

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23/110

勘違い

とりあえず人混みを避けようと展望デッキへと二人は足を運んだ。途中で白い装束を着た人達とすれ違うが気にしない。

見ると冬のせいなのか天気が悪いせいなのか人の姿はあまりない。

「アイラ、絶対に手を離さないでくれよ」

「えっ//」

期待していなかった反応が返ってきて戸惑うがリルは続けた。

「さっき白装束の人達が見えた。多分僕のことを追ってきてる。だから船を降りるまでは我慢してくれないか」

「は、はい.........」

緊張する時ほど時間が経つのは遅くなるもので、十分しか経っていないのに1時間もここにいるような錯覚に陥る。

しかも時々白装束が外に顔を見せるのでその度に緊張が2人の中を走る。心臓の鼓動はいつもよりも早くなっていき、その鼓動は手を伝って彼女にもシンクロしているかのようだ。

「リル、ちょっと手を話して貰えませんか」

「こんな時に何を言ってるんだ。白装束に見つかってしまう」

手を話そうとしないリルにアイラは声を振り絞って精一杯言った。

「トイレに行きたいんです!」

大きな波の音がたち、長い沈黙ののちに全てを察したリルは一言こう言った。

「問題ない」

「何がですか!」

その言葉に彼女は怒りでなのか顔が真っ赤になっていた。リルも急にあたふたとして弁明する。

「そういう意味じゃなくて、アイラは僕が男だと思っているんだろ?」

すると彼女は一瞬何を聞いたのか分からないというようにキョトンとした顔になって再び聞き返してくる。

「.......男じゃ、ないんですか?」

やっぱりそうだったか。本当に申し訳ないことをしてしまったと思い、リルは手で顔を隠す。

「僕は、女だよ」

言葉にならない叫びでアイラはその場で震え続け、悶え苦しんでいる。下を向いたまま彼女は言葉も出さずにただ静かにトイレへと向かっていく。

「あの、ごめん。僕が悪いんだ。こんな口調だし、こんな見た目でいたんだから最初から言うべきだった。本当にすまない!」

トイレの前で最後に誠意を込めて謝るが、彼女は無言のままトイレへと入っていく。

本当にいたたまれない気持ちになり、トイレを出て彼女になんと謝ろうかとずっと考え続けていた。

しばらくして彼女がトイレから出て来ると、さっきまでの事は嘘だったかのように明るい表情で振舞ってきた。

「分かりました!私、あなたのことが好きなんです。だからこれからも私とずっと一緒にいてください」

そう言ってアイラはリルと手を繋ぎ、再び世界から存在が消える。

リルもリルで複雑に気持ちではあるが、彼女の言葉に不快感は覚えなかった。

このもどかしい気持ちを言葉に出すことはできなかったけれど、笑顔でリルもそういった。

「ありがとう」


同刻、二人の白装束がレストラン席から彼女達のことを眺めていたことに気づいてはいない。

「トレース」

一人がその姿かたちが崩れていく。かと思うと粘土のようになったその体が構築されていき、アイラの姿へと変貌していく。

「テレポート」

二人の足元に魔法陣が現れ、鏡のようなものが二人を通過するとそこにもう二人の姿はなかった。


再びリルとアイラは展望デッキへと向かった。霧の中から島の姿が少しつずつ見え始める。

「あれがレオか」

「ですね」

そんな到着目前という時にたまたまなのか、はたまた白装束の置き手紙なのか。事件は唐突に起きた。

探偵ではない二人には起こる前から解決など出来はしない。

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