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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
悪魔の王様

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19/110

突破

ヴァルゴの里はそれはもう都市と呼べるほどに発展していた。中心には高くそびえ立つ協会が置かれ、どこを見ても女性しか目に入ってこない。

言葉だけ聞くとそれは羨ましいものかもしれないが、実際に見てみると違和感しか感じない。

しかも半日ごとに女の人達は何をしていようが、鐘が鳴ると協会に向かって祈りを捧げている。

異様な光景に目を疑ったが、隣を見るとアイラも祈りを捧げているのが見えた。

「アイラも信徒なのか?」

「それはまぁ。ここにいる女性は否応なく女神ヴァルゴに祈りを必ず捧げています。だから今更別に嫌だとかは思いませんけど、もう信じてはいません」

「ならどうして?」

「ここで信仰してないなんてバレたら捕まっちゃうからですよ」

思っていたよりここは厳しい場所なのかもしれない。独自の宗教を築くことで民を平服させる代わりに、民の自由を奪うという方法。独裁的ではあるが、これで何百年も成り立って来ているんだ。今更誰も疑わないんだろう。

「だからここに帰ってくる人は少ないと思います。外の自由を知ってしまったら尚更ね」

透明魔法で姿を隠してもらった僕はアイラと最後の関門である関所に訪れた。

そこでは魔力感知による検査と手荷物の検査がされる。この里にヴァルゴに逆らうものを作らないための掟であり、徹底的な管理がなされている。だから脱走なんてのはかなり難しい。

アイラの魔法は姿形や音は隠せても、魔力を隠すことは出来ない。

だからこんな検査をされたら一発で見つかってしまう。

さぁどうしたものか。色々抜け出せる方法はある気もするが、できるだけ安全牌を取りたい。

結果的に出た方法は、魔力を0にするというものだった。

「大丈夫なんですかそれは」

左手でグッドサインを示して意気揚々と僕は言った。

「大丈夫!アイラが何とかしてくれれば」

「人任せじゃないですか!」

ということで電気の魔法を全部地面に流し込む。だんだんと体の力が抜けていき、やがて立てなくなり地面に倒れた。

「あとは、たのん、だ」

「もう」

困った顔をしながらも、彼女は僕を連れていってくれた。


何とか関所は突破することに成功した。

「あり、がとう」

未だに体に力も入らず、呂律も上手く回らない。

「少し休みましょう。あの洞窟までとりあえず連れていきますね」

彼女の肩を借りながらなんとか洞窟までたどり着く。疲労と魔力不足で眠気が襲ってきた。

あぁ〜〜

大きな欠伸をすると彼女もつられて欠伸をして、

「私も眠くなってきました。.......一緒に寝てもいいですか?」

なんだか体がむず痒くなったが了承し、隣に彼女が座る。少しドキドキしていたが、眠気の方が勝っていき最後には二人とも眠りこけてしまった。


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