そんなオチ
笑い声が聞こえる。罵声が飛び交っても仕方がないと覚悟していた事を考えれば上出来とは思いたいけど、いずれにせよみじめだ。
お客さんが誰もいなくなって自由になった肉体をなんとか3分ほど引きずってやって来た家で、彼は目から涙をこぼしながらシャワーを浴びていた。
もし誰かに見られていたらどうしよう、冷たくなった頭を持つ彼の目から涙をこぼさせていたのはそんな考えだった。確かに恥ずかしいかもしれない、でも世間的に言ってまだギリギリなんとかなるのではないか。
母親はそう言って励ましてくれたが、それでもお客さんを何とかできなかったのは事実だった。
「あららまた?今日は本当に困った日ね」
お客さんたちが足跡を付けた2+2+2の物体。外に向けてさらされようとしていたその6つの物体は、母親によりあわてて部屋の中に戻されていた。
お客さんたちをせかした雨って奴は、今度はお客さんたちの痕跡を隠すように降っている。
アスファルトに向かって行ったお客さんたちはどうなるんだろう。その内何人かはひょっこり自分たちの前に現れて、それと知らずにまた出会うのかもしれない。とりあえず、さっきのお客さんの痕跡はこれでなくなるかもしれない。
その事に少しだけ期待しながら風呂場を出、新たなる地面でその小さな門を覆った。