〜抹チャン王国〜
ここは〝抹チャン軍″という軍が支配している〝抹茶王国″という国だ。〝軍″は簡単に言うと〝闘士″のみで結成された団体のことだ。僕とセリムはここで生まれ育った。
名前から受ける印象はあまり良くないが、これでも世界で人口が最も多い国なのだ。
ちなみにセリムは僕の幼馴染で一番の仲良し、そして年も誕生日も同じだ。
『君達はもう、ここで学ぶことはないくらい強くなった』と言われ、養成所を卒業した僕とセリム。
これはほんと一週間前のことだ。
そして昨日、18才の誕生日の日に受けた〝特別試験″は僕もセリムも合格した。見事に上位3名に選ばれたのだ。
しかし当然と言えば当然だろう。何せ僕とセリムは〝抹チャン軍″の幹部の血を引いているのだから。
人工的に遺伝子を操作されて生まれた中の一番の成功作と二番目の成功作が僕とセリムなのだから。
しかしその行為はもう禁止されている。市民から批判が殺到したからだ。それでも反乱が起こらなかったのは〝抹チャン軍″の隊長のマサマサの評判がとても良かったからだと思う。
彼はこの国の創設者であり、この国一番の実力者、そして人格も備わっている。
流石は性格、実力共にSSSランクと言われるだけある。
養成所で習ったのだが、この世界にはどうやら〝闘士″にはランクがつけられるらしい。
一番下から
野良
B
A
S
SS
SSS
と言った具合だ。
どうやら実力と実績を考慮して分けられるそうだ。
僕とセリムは幹部の血を引いてるといっても新人だし戦闘経験は少ないしまだまだ低レベルだ。これから頑張って強くなろう。
小さい頃僕らを守ってくれたあの人のように。
そして快楽主義者を倒せるくらいに。
あの時の記憶は鮮明に覚えている。何せ死んでもおかしくなかったのだから。
この世界の一般人の殆どは〝軍″が治める国に所属している。
何故ならそこにいるだけで快楽主義者から身を守れるからだ。
〝軍″が管理している国、つまり〝安全地帯″から足を踏み出したらいつ襲われてもおかしくないのだ。彼らは快感に飢えている。何をしだすか理解不能だ。戦闘が出来ない一般人に勝ち目はないだろう。
この世界の半分以上は快楽主義者が占領している。
安全なのはこの国含めて7カ国。そしてその国の領土である。そこから出たらいわば〝危険地帯″となり、戦闘に自信のあるもの以外は決して足を踏み入れないようにと言われている。
僕たち二人はあの時死んでもおかしくなかった。たまたま近くにいた〝闘士″の方に救われたのだ。
恐怖と絶望の感情と涙で周りがよく見えなかったのでその方の顔は見えなかったのだが、防具はざっくりと見えた。〝軍″の高位の役職と思われる防具だった。
その方が誰なのか探すために僕とセリムは〝闘士″になった、というのもある。
まぁ、〝軍″の幹部の遺伝子をもらっている時点で〝闘士″になることは生まれながらにして決まっていたようなものだけれども笑
そんなことを考えてるうちに親友のセリムが来た。
『お〜い!ルーク、こんな所にいたのか!今日は〝軍″の直営施設に新人として顔を出す日だよ!遅れたら第一印象悪いよー!さぁ、行こう!』
相変わらずセリムは気軽だな笑
『分かってるよ。行こうか!』
そして僕らの〝闘士″生活が幕を上げたのだ。