82/365
二龍松の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
三河国は長興寺に、一対の松の木が生えていた。この松の木は『二龍松』と呼ばれ丁寧に世話をされていた。
ある日のこと。
寺の住職がその二龍松に妙な違和感を覚えた。引かされるままに、松へ近づいていく。すると、その松の木の中から童子姿の二人組が現れたのである。
「紙と硯をここに」
と、その童子たちは住職に告げた。その趣に神聖な何かを感じた住職はすぐさま言われた通りの品を用意した。すると童子たちは喜んで筆を取り、走り書きで
詩を記した。
「これでこの寺に災いが降りかかる事は無し」
童子たちはそう言い残すと、再び松の木の中へ消えていった。
これが『二龍松の伝説』である。
◇
その後、この詩の書かれた紙は寺で丁重に保管されることとなった。
二龍松も神木として、これまで以上に人々から信仰を集めたという。檀家の者にもこの話が伝わると、より一層の参拝客を呼んだ。その者たちは二龍松を拝むと、松の根元に寄り集まっては身の上話などをして、シンボクを深めたということだ。
読んでいただきありがとうございます。
感想、レビュー、評価、ブックマークなどして頂けると嬉しいです!




