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子泣き爺の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
徳島のある地域で、とある妖怪がよく出るようになった。
山中を歩いていると、突然赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。心配になって藪や茂みの中を探してみると、確かに赤ん坊がまるで捨てられたかのようになっているという。
憐れに思って赤ん坊を抱き上げると、何と顔は皺くちゃの老人の顔。
驚いて手を離そうとするが、今度は物凄い力で掴まれてしまい離すに離せなくなってしまう。そうこうしているうちに、赤ん坊はどんどんと重くなっていき、そのまま地面に伏してしまう。最後にはその重さに耐えきれず、命を落とす。
その辺りの者は、これを『子泣き爺』と呼び、恐れた。
◇
子泣き爺に遭う者は日に日に増していった。何しろ掴まれたら最後、どうやっても難を逃れることが出来ないからだった。
その内に、山人たちは山中での戒めとして、子泣き爺の名を使い若輩達を教えた。また村々では、子どもに「悪い子は子泣き爺に取ってかれるよ」などと言って叱りつけた。
ところが、そうしている内にぱったりと子泣き爺は現れなくなった。
その恐ろしさのあまり、泣く子も黙る妖怪になったからだろう。
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