ケサランパサランの噺
東京を江戸と申した時分のお話。
ある少年が空を見ていると、兎の毛を丸めた様な毛玉が空を揺蕩っているのを見つけた。それはまるで生きているように少年にまとわりついてきて、離れようとしない。
少年はそれを家に連れ帰り、婆様に見せてみることにした。
すると、婆様は少年に毛玉の正体は『ケサランパサラン』だと教えてくれた。
婆様が言うには、霧の箱に紙で蓋をして空気穴を開け、白粉を入れておくと勝手に増えていくという。そしてそのケサランパサランを傍に置いておくと、幸運が舞い込んでくるそうな。
◇
そう聞いた少年は早速どこからか箱を見つけてくると、紙で蓋をして白粉を入れてみることにした。
すると婆様の言う通り、少しずつであるがケサランパサランが増えていった。
そうしているうちに少年は、もしも蓋に空気の穴を開けておかなかったらケサランパサランはどうなってしまうのか、という事が気になってしまった。
ケサランパサランを密閉した箱に閉じ込めて、毎日々々様子を見続けた。
三日、一週間、十日、一月とそのままにしていたが、ケサランパサランは死んでいない。しかしながら、とうとう二カ月経った日に箱の中を覗いてみると、ケサランパサランは動かなくなってしまっていた。
蓋を付けておいたから、二月の命であったということだ。
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