341/365
麻桶の毛の噺
徳島の阿波三好加茂村にとある妖怪の話が残っている。加茂村の彌都比売神社は麻桶の中に入った毛を『麻桶の毛』と呼び御神体としており、妖怪の正体はその毛であるそうな。
『阿州奇事雑話』という本によると、その辺り一帯を荒らしていた賊が神社の本堂に集い、盗んだ品物の整理をしていると、麻桶の中から一本の毛が伸びてきた。伸びた毛は桶に収まりきらず、蓋を突き破って外へと飛び出したのである。
毛先は盗賊の人数と同じ数に枝分かれし、瞬く間に全員を縛り上げた。賊たちは身動き一つ取れず、やがて明朝には追っ手に捕らえられたという。
◇
追っ手の役人たちは賊たちの様子を見て驚いたが、堂の中を調べてみるとやがて得心がいった。
「こやつらは麻桶の毛の神の怒りに触れたのだろうな」
「そのようです。ご覧ください、桶のたががはずれております」
読んでいただきありがとうございます。
感想、レビュー、評価、ブックマークなどして頂けますと嬉しいです!




