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坊主狸の噺
本日より「狸」にまつわる妖怪のショートショートをお送りします!
東京を江戸と申した時分のお話。
徳島のとある場所に坊主橋という橋がかかっている
近くに藪があるのだが、この藪を夜中に通り抜けたり、真横を通りかかったりすると、それだけで頭を坊主に剃られてしまうという。
近くの者は狸の仕業だといい、これを『坊主狸』と呼んだ。
◇
実は坊主狸というのは二匹の狸が手を取り合って、髪を剃るという悪戯をしているのであった。
そこで困っていた村人たちは藪の近くを通るたびに、こんなことを口にしていた。
「坊主狸は片方の腕はいいが、もう片方の剃り方は下手くそだ」
村中でそう言い続けているうちに、いつしかその藪で坊主狸に害される者はいなくなってしまった。
◇
二匹の狸が腕がいいのは自分の方だと互いに言い争い、その内に「ソリ」が合わなくなったということだ。
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