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豆腐小僧の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
江戸の町に一つの妖怪の噂が流れた。
夜に往来を歩いていると、前の方から誰かがこちらに向かって歩いてくるのに気が付く。よく見てみれば、それは子供のような背格好をしている。雨が降っている訳でもないのに笠を被り、どういう訳だかお盆を両手で持ち、その上には大事そうに豆腐が一丁ばかし乗っかているのだそうな。
豆腐を持って江戸の町を行ったり来たりするだけで人間を驚かせたり、悪さを働くことは一切しない。
これこそが、誰も怖がらないのに江戸の庶民にその名を知らしめた妖怪『豆腐小僧』である。
Q 豆腐小僧はどうして豆腐を持っているの?
A 一丁前の妖怪になりたいから。
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