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後神の噺
どこかのコピペより。
東京を江戸と申した時分のお話。
町々に『後神』という妖怪が出るようになった。
後神という妖怪は、夜道を歩くときなどに人間が抱く恐怖心や臆病な考えが形となって現れた妖怪だと言われている。突然、髪を引っ張ったり、風を起こして傘を吹き飛ばしたり、冷たい手を首筋に当てて人が慌てふためく姿を見て楽しむが、やはり必ず背後から近づいてくるという。
◇
後神の生まれたのには訳がある。
あるところに人を驚かすのが好きな女がいた。
女が鏡の前で後ろ髪に櫛を入れているところ、どこからともなく不気味な声が聞こえてきた。
「お前さん、今何しているところだい?」
誰かの悪戯かと思った女は、別に慌てることもなくこう言い返した。
「丁度いま、後ろ神と化しているところです」
そう言い終わった女の姿は、後神になっていたそうな。
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