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毛羽毛現の噺
下らなさがしゃれこうべの真骨頂
東京を江戸と申した時分のお話。
『毛羽毛現』という妖怪がいた。
子供一人ほどの体格だが全身がくまなく毛に覆われており、輪郭も目鼻立ちも知れない。分かっているのは床下や日陰のあるジメジメとした場所を好むと言う事である。そして、毛羽毛現が現れる家では家人の誰かが必ず病気になると伝えられている。
が、毛羽毛現は希有希現とも書き、滅多に人前に姿を見せることはない。
◇
ところで。
毛羽毛現は妖怪の中でも特に体が貧弱なことで有名である。
表を歩けば必ずと言っていいほど転んだりぶつかったりと運が悪く、生傷が絶えない。
ケガある者の宿命だろうか。
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