蛇骨婆の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
とある山中に『蛇骨婆』という妖怪が住んでいた。左右のそれぞれの腕には二匹の蛇が巻き付いており、片方は血のような赤、もう片方は夜明け前の空のような濃い青色をしている。
赤蛇に噛まれた者は全身から火が噴き出て燃えながらに死に絶え、青蛇に噛まれた者は身体が冷たくなり真夏であっても凍え死ぬと言われ、大変に恐れらていた。
◇
そんな恐ろしい蛇を扱う蛇骨婆もウワバミ、つまりは大酒喰らいであった。 なんでも若い時分からのウワバミで、酒の飲み比べならば誰にも負けたことがないという。
しかしながら、やはり寄る歳波には敵わぬこともある。
ある日の晩。
寝酒に少し呷るつもりが、調子に乗ってガバガバと水を飲むかの如く酒を飲んでしまった。すると思ったよりも酔いの周りが早く、足元はふらつき、見ている景色はぐるぐると回り出す。
終いには気分が悪くなって、飲んだものを吐き出してしまった。
すると腕にいた二匹の蛇が言った。
「あらら。おばばのやつ、ゲロゲロと吐いちまった」
「ウワバミが蛙になっちまった」
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