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高女の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
とある宿場の女郎小屋に、顔の醜い女がいた。
その器量のために、客が付くことは殆どなく、自らの引け目に苛まれていたという。
その恨み辛み、僻み嫉みが心に蔓延すると、女はいつしか妖怪へと変貌していた。遊女屋や女郎屋を前にすると、二ューッと下半身が伸びて中を覗き込み、部屋で情事に耽っている男女を驚かすという。
これが妖怪『高女』である。
◇
高女の怨念は近隣の遊女屋を襲うだけでは、到底晴れなかった。津々浦々の遊女屋、女郎屋に出て人を脅かすことを心に決めた。
こうして高女は、全国の至るところへ「足を伸ばした」という。
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