表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談 しゃれこうべ  作者: 小山志乃
197/365

入内雀の噺

どうみても強引な「抜け雀」です。本当にありがとうございました。


 後の世で平安と呼ばれる時代のお話。


 この時の都に藤原実方(ふじわらのさねかた)という貴族がいた。左近中将という役職まで上り詰めた男であり、同時に中古三十六歌仙の一人とうたわれるほどの歌人でもあり大変に教養の高い人物だった。


 ある日の事。


 実方は藤原行成に侮辱をされたことで口論になった。頭に血が上った実方は行成の冠をひったくると、それを庭へと投げ捨ててしまう。そして、運悪くその一部始終を時の帝に見られていた。


 帝は実方には陸奥の国への左遷を命じたが、事を荒立てなかった行成の人となりを評価し蔵人頭に昇格させる。自分ばかりを重い罪にさせられたことを怨んだまま、陸奥で亡くなった実方の怨念はやがて一羽の雀となり、京へと飛んだ。そして、皇居の清涼殿に忍び込むと帝に差し上げるはずの台盤の上にとまり、そこの米を啄んだという。


 皇居の内に忍び入ったことから、人々はこれを『入内雀(にゅうないすずめ)』と呼んだ。その後、入内雀は群れとなって各地の稲や米を食い荒らし、祟りを起こしたそうな。


 それからというもの。


 実方の怨霊を恐れた京の人々は、実方の怒りを鎮め弔うために一つの塚を築いた。


 ◆


 入内雀となった実方の霊は、自分の育った家へと出向いた。両親はすぐにそれと気が付き、入内雀を家の中へと招き入れた。


 止まり木がない事を悟った両親は壁に籠の絵を描いてやると、入内雀はその中に納まって、涙ながらに


「かたじけない事でございます。自分の親をカゴカキにしてしまった」


読んでいただきありがとうございます。


感想、レビュー、評価、ブックマークなどして頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ