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瓢箪小僧の噺
東京を江戸と申した時分のお話。
人に捨てられた古びた瓢箪が妖怪と化し『瓢箪小僧』となった。
逆さまにした瓢箪が頭となり、それに見合った大きさの胴と手足がくっついている。小さくとも気概だけは立派な瓢箪小僧は、妖怪として人を驚かそうと色々な事を試して回った。しかしどうしても上手くいかなかったのである。
大の大人を驚かせないならと、瓢箪小僧はその内に子供に目を付ける。だが、それがいけなかった。
いくら子供と言えども瓢箪に手足が生えたくらいの大きさの妖怪など、てんで恐れはしなかった。あまつさえ、珍しいもの好きの子供たちが我先にと取り合いをし始めて、瓢箪が二つに割れてしまった。
ところが、子供とは中々に残酷なもので、その二つに割れた瓢箪をクルクルと回して遊び始めた。
憐れ瓢箪小僧。
瓢箪から独楽になってしまったそうな。
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