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手の目の噺
盲人を騙すと七代祟る。
東京を江戸と申した時分のお話し。
とある秋の夜。
一人の盲人が夜盗に襲われ、金品を奪われた上に無惨に斬り殺された。
薄の野原に打ち捨てられた盲人の亡骸は、その恨みから妖怪となり彷徨い始めた。更に強い執念は這いまわる掌に眼となって表れた。
これが妖怪『手の目』である。
その目を用いて盲人は見事に夜盗を見つけ出し、己の遺恨を晴らしたのだった。
◇
それから後、手の目は津々浦々を歩き回っては骨董品を集めた。
集めた品々はいずれも名のある作者の逸品ばかりで、この妖怪は瞬く間に財を築き上げたのである。
ある時、他の骨董商たちはその目利きのコツを聞いた。
手の目は答える。
「私は他の人とは目の付け所が違うんです」
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