表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談 しゃれこうべ  作者: 小山志乃
132/365

琴古主の噺

令和一発目から、毎日投稿をミスる。


 後の人が戦国の世と呼ぶ時代。


 ある城に、うら若き姫君があった。眉目秀麗な器量も名高い姫であったが、彼女を高名たらしめていたのは、琴の奏者としての腕前であった。


 ところが。


 戦乱の世の違わず、この姫の城も戦火に巻き込まれることとなった。


 父母、兄弟、家臣らが惨たらしく殺されていく中、辛うじて逃げ延びたこの姫も、とうとう敵方の手に落ちてしまう。それだけでも心痛一方ならぬ心持であったが、何よりも辛酸であったのは、敵方の大将に見初められて有無を言わさずに監禁されてしまったことだった。


 あまつさえ、敵の大将は僅かに生け捕りにされた家臣らを質に、自分の為に琴を弾くように、姫に命じたのである。


 何が悲しくて、父母兄弟の仇の為に琴が弾けようか。しかし、弾かねば我がために捕まったまだ命ある家来たちも殺されてしまう。


 姫は涙を堪えながら、明日披露するための琴の稽古を始めた。


 ◇


 その時である。


 奏でていた事がにわかに動き出し、口無くして口をきいた。


「我は『琴古主(ことふるぬし)』。この城に漂う数多の怨嗟怨恨の念を浴び、とうとう魔性となった。代々、極上の音を上げさせてもらった礼代わりに、汝らの無念を我が晴らそう」


 そういうと、琴古主は煙の如く消え失せてしまった。


 ◇


 明朝。


 城内は大変な騒ぎであった。敵方の大将の男が割れた琴の傍らで、琴の弦に首を絞められて殺されていたのである。


 すぐさまに姫に疑いの目が向いた。


 しかし姫は非力な自分に変わり、自らの怨みを琴古主が晴らしてくれたのだと言う事をすぐに理解した。そして、まるで気が触れたかのように高らかに笑い、取り囲んでいる侍たちに言った。


「仇たる自分の為に琴を奏でよという外道に天罰が下ったまで。これにて我が生涯に悔いはなし」


 そして自ら舌を噛みきると、そのまま息絶えてしまった。


 この事は姫が琴を割り、その弦で仇討ちをしたと解釈され、すぐさま城外へも知れ渡った。


 この事から相手の要求を拒むことを、コトワルというようになったそう

読んでいただきありがとうございます。


感想、レビュー、評価、ブックマークなどして頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ