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鐙口の噺
鐙とは馬具の一つであり、乗馬をする際に足をかける器具の名前である。
騎馬で戦い、そして討ち死にした武将らと共に野ざらしにされ、果てに残された鐙が妖怪となったものが『鐙口』である。
そして天上に召された主人を、まるで見送るかのように野原に佇んでいる。
◇
鐙口が主人の亡骸の傍を離れぬのには理由がある。
馬具の類は装飾や色合いなどが、微妙に違っていて一つとして同じものはない。
なので主人の家族たちが亡骸を見つけるための『足掛かり』になるからだ。
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