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ミンツチの噺
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東京を江戸と申した時分のお話。
アイヌに『ミンツチ』というお化けが出たんじゃと。
ある年にアイヌで疫病が流行した。それは商船に紛れ込んで、疱瘡神がアイヌの地へ訪れたからじゃった。その時、アイヌを治めていた土地神のオキクルミはヨモギを使ってチシナプカムイという六十一体の人形を作り、戦ったんだと。
激戦の末、六十体のチシナプカムイは死んだのだが、最後の一体が疱瘡神を寸でのところで打ち滅ぼしたのだった。
この時に死んでしまったチシナプカムイの亡骸は、悉くミンツチに生まれ変わったんだと。
◇
ミンツチたちは山に海にと散らばり、居ついた土地で悪さを働くようになってしまった。ひどい時には人を殺すこともあった。
見兼ねたオキクルミはミンツチたちを叱りつけた。
それからミンツチたちは、心を入れ替え、人々を守護するようになったということじゃ。
ヨモギの人形にオキクルミがお灸を据えたという話じゃった。