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Say!天缶!  作者: 信条
7/53

7缶目「高反発?」

投稿した後の話もよく推敲するのですが、最初の方はやはり会話のところで重複していて読みづらい部分が目立ちますね……気をつけます;

 翌朝、誠磨は昨晩と同じようにティッシュ箱を投げつけられ、背中に蹴りを入れられたりと無理矢理に叩き起こされた。


「起きろー! 妾の腹が鳴っとるんじゃ早よ飯作れー!!」


「ったく、可愛い気の無い挨拶だな……。せっかく可愛らしい声なんだからもっとこう……癒されるような起こし方をだな……」


 そう言いながら近くに置いてあるスマホを手に取り、画面を開いて時刻を確認する。現在は9時半を回っていて、少し遅めの朝を迎えている。


「うるさい! 嫌なら自分で起きるよう精進しろこの怠け者が!!」


「フフフッ……このご時世、今の若い社会人は特に何においても癒しを求め、安らぎを欲する世代なのだよ……。だから決して、そのような厳しい正論に屈しはしない!」


 誠磨は枕にしていたキャラ物のクッションを強く抱いて横顔のまま頭をうずめる。


「可愛さ溢れる癒しの声で、囁くように起こされぬ限り我はタダでは起きぬ! さっきの罵倒でマイナスに傾いた分、目一杯癒すがいい! さもなくば一向に飯へありつけんぞ!? フハハハハッ!!ーーゴフッ!?」


 美少女(?)は無言で誠磨の脇腹に蹴りを入れる。


「……早よ作れ」


「……はい……」


 誠磨は呆気なく屈し、フラフラと起き上がって背伸びをする。美少女(?)はやれやれと溜め息をつきながらテーブルの前に座って、顔を上げた状態で突っ伏する。


「はぁ~痛ってて……、やっぱ俺、床で寝るの合わねぇな~。平気な奴ってどんな構造してんだか」


「……ふん」


「ん? あぁ気にするな、昨日は結局俺が決めて寝たんだからな。ゆっくり休めたか?」


「……男臭くて寝静まるのに苦労した、最悪の寝心地じゃ」


「悪かったな男臭くて……、これでも毎日ファブリッズかけて除菌してるし、粕寺さ……隣部屋のお姉さんがうちに来た時は綺麗だってーー」


「いいから早よ作れ、何度も言わせるでない」


「わ~ったよ、んじゃそのまま大人しく待っててくれ (全く、お前が男臭いだの最悪だの言ったんだろうがよ~……)」


 誠磨は渋々と台所へ向かい、冷蔵庫から卵2個、漬け物の白菜が入った白い陶器を取り出す。そしてフライパンを火にかけてサラダ油を引き、そこへ卵を割り入れてスクランブルエッグを作り始める。


「(昨日のあの子の言うことが事実なら、あの子は夜中に起きる前の記憶が全て抜け落ちていて自分が誰なのかすら覚えていない。なのに、何故あんなにも性格の悪い態度で接してくるんだ? 俺も漫画とかアニメでしか見たこと無くて未経験だが、あぁいうのってもっと最初の時みたいにぼ~っとしてたり、礼儀正しかったりで大人しい印象なんだが……。全く、せっかく外見はとても良いのにどうしてあぁなんだ!)」


 長々と愚痴を心の内で溢しながら、スクランブルエッグをプラスチックのボールに移してマヨネーズと塩コショウで和える。そしてそれを白い大きめの皿に盛り、お湯を沸かして木製のお椀にインスタントの味噌汁を注ぎ入れ、陶器のお椀に白米を盛る。


「お~い、運ぶの手伝ってくれるか~?」


「断る、妾は一歩も動けん。早よ持って参れ」


「はいはい……」


 部屋にお盆が無いので、何回か往復しつつ一人で運び終える。


「さて、んじゃいただきま~す」


「いただきます……、これは何じゃ?」


 美少女(?)は真ん中に置かれた、漬け物が入った白い陶器とスクランブルエッグを順に指差す。


「あぁ、これは白菜の漬け物だ。浅漬けでさっぱりしてて旨いぞ。んでこっちはスクランブルエッグのマヨネーズ和えだ。昔よく母親に作ってもらってたんだ」


「ふーん」


「まぁ食べながら話そうか、じゃあまずは……名前だな!」


「名前じゃと?」


「あぁ、名前がないと流石にやりにくいからな」


「まぁそうじゃが、さっきまで考えておったが思い出すことなぞ出来んかったぞ」


「そうか、なら思い出すまで仮の名を付けるのはどうだ?」


「ふむ……、まぁ良かろう」


「よし! じゃあどんな名前にしようかな~」


「生半可な名を付けようもんなら承知せんぞ」


「分かってるよ、仮名とはいえ大事な名前だ。ちゃんと考えるよ」


 それから誠磨は箸を進めながら、美少女の顔や髪に目をやりつつ真剣に考え込む。


「(う~ん、言い出したはいいものの……全然浮かんで来ねぇな。俺ネーミングセンスあんま良くないからなぁ……、下手な名前出すと殴られそうだし、あまり癖の無い名前かつこの子の特徴に合った名前……う~ん)」


 段々と意識が長考へ飲まれて行き、実感とは大きく異なるペースで朝食を平らげる。美少女(?)もそれと似たペースではあるが、それも平常らしい様子で淡々と完食する。


「「ごちそうさま」」


 誠磨は食器を一人で片付けてシンクへ運び、洗いながらまた考え込む。


「(う~む、中々パッと浮かんでこないな~……。ゲームでよくプレイヤー名を決める時があるが、それらは何かしら設定や意味合いを持たせる形でロールプレイの一貫として付けているからなぁ。リアルの何かを対象に真面目に名前を付けたことが無いから、コツというかノウハウが分からなくて困った……)」


 洗い物を終えてテーブルに戻ってはまた考え込み、時折唸りを上げながら頭を捻る。


「名前ごときで何をそんな考え込んでおる」


「ごときって……あのなぁ、君が今後呼ばれる名前なんだぞ? 嫌な思いをしないよう真剣に考えるのは当たり前だろ! こっちは遊び半分でやってるんじゃないんだよ!!」


「んなことは分かっておるわ!! お前が名前一つにずっとそうやって考え込んでいたら、時間がいくらあっても足りんと言っておるのじゃ戯けが!!」


「なら自分のことなんだから要望を出すとか、少しは手伝ってくれよ!!」


「空っぽの妾に何を出せというんじゃ馬鹿者が!! もういい、名前なぞ要らん!」


 美少女(?)は大きな足音を立てて立ち上がり、そのまま地鳴らしのように力んだ歩き方で誠磨を通り過ぎる。


「お、おい! どこ行くんだよ!?」


 誠磨は慌てて立ち上がり、美少女(?)の右腕を掴む。


「離せ! 離せ変態!!」


「落ち着けって! お前どこ行く気だよ!?」


「お前には関係ない! ここにいても埒が明かぬから出ていくんじゃ馬鹿者!!」


「いや待てって! 昨日の今日でまだそんなに時間経っていないし、焦る必要無いだろ! もっと身の回りをことを整えてから一緒に探せばーー」


「フッ……フフフ」


「な、何を笑って……」


「お前には分からんじゃろうな~、まぁ無理もない。精々休日を満喫しているがよい」


 力なく微笑を溢し、腕の力を抜いて油断をさせた隙に美少女(?)は鳩尾へ肘打ちをかます。そして強引に掴まれている手を引き剥がして玄関から裸足のまま外へ飛び出す。


「ま、待ってくれ!!」


 誠磨は血の気が引いて青ざめた表情を浮かべ、裸足のまま慌てて外へ飛び出す。するとその直後に、右の聴覚から大人と子どもの女性の咄嗟の声が聞こえてきた。


「ひゃっ!?」


「うわっ!?」


 

 慌てて振り向くと、そこには尻餅をついている美少女(?)と、その子に近寄って肩を抱きながら心配する粕寺の姿があった。


「か、粕寺さん!?」


「あら、甘巻君。どうしたの? あなたの部屋からこの子が飛び出してきたわよ? しかも裸足じゃない」


「いや、その……」


「この子がこのままじゃ可哀想だし、取り敢えず二人ともうちに上がっておいで。お茶菓子出すから」


「すみません……」


「大丈夫? 立てる?」


「う、うむ……」


「俺は一旦、足洗って靴履いてきます……」


「えぇ、じゃあこの子を先に入れるわね。鍵は開けておくから」


「はい」


 粕寺は美少女(?)の手を優しく引いて、背中に手を添えながらゆっくりと立たせる。そして誠磨は一旦部屋に戻り、美少女(?)は粕寺の部屋へと誘われる。


「じゃあそこに座って、足拭いてあげるから」


「うむ……」


 美少女(?)は言われた通り玄関に座り、粕寺は洗面所からハンドタオルを軽く水に濡らして持ってくる。そして美少女(?)の真横にしゃがんで足の裏から膝までを丁寧に拭いていく。


「ごめんね、綺麗に受け止められなくて。お尻痛かったでしょ?」


「わ、妾は別に平気じゃ……」


「そう、強い子なのね~。偉いわーーよし、こっちに上がってらっしゃい。お菓子あるわよ」


「……」


 美少女(?)はリビングに案内され、誠磨の部屋と同じように床に座るタイプのテーブルが部屋の真ん中に置かれていて、その奥の席に座った。粕寺はそのまま台所へ向かい、冷蔵庫から麦茶を取り出す。


「朝御飯は食べたかな?」


「……うむ、ついさっき」


「まぁ普段は夜遅いお仕事に行ってるからね~、起きるの少し遅いけど勘弁してあげてね」


「……」


「そっかそっか~、じゃあ軽く入るものの方が良いわね」


 粕寺は再び冷蔵庫を開けて白桃の缶詰を取り出し、缶切りを用意して開封を試みる。


「ふんぬぬっ……あれ? これ、こんな固かったかしら……?」


 数十秒ほど格闘していると、誠磨が部屋へ上がってきた。


「すみません、急にお邪魔することになってしまって……」


「いいのいいの、私が呼んだんだから。それより、これ……開けてくれる?」


「あ、はい!」


 誠磨は粕寺と位置を交代し、缶詰と缶切りをそれぞれ持って力を加えて難なく開封していく。


「やっぱ男の子って力強いわね~」


「いやいや、俺なんてただのもやしですよ。で、これどうするんです?」


「あぁ後は私がやるからテーブルに座って、ありがと」


「はい」


 誠磨は粕寺に缶詰を渡し、缶切りを軽く水洗いしてフックに引っ掻けてからリビングへ向かっていった。そして入る直前に美少女(?)と一瞬目が合い、美少女(?)の方がそっぽ向いた。


「……」


「……」


 若干気まずいながらも美少女(?)と対称の位置へ座る。そして粕寺が缶詰の桃が3つずつ入った透明な小さい器と麦茶の入ったコップを人数分お盆に乗せて運んできた。


「さて、これなら軽く入るでしょ? つまみながらお話しましょ」


「あ、すみません……いただきます」


「い、いただきます」


「はい、どうぞ♪」


 美少女(?)は据え置きの小さいフォークで白桃を刺して小さく一口食べる。


「……うまい」


「そう、良かった。じゃあ甘巻君からお話聞きたいんだけど、その前に一言言わせて」


「え、えぇ……なんでしょう」


 誠磨は“いきなり表情が豹変して罵倒を浴びせられるのではないか”と恐怖し、大きく唾を飲み込む。


「……ごめんなさい」


「……え?」


 粕寺の一言で、誠磨の恐怖ベクトルがどの方向に向いているのか自分で把握できなくなった。


「昨日、甘巻君の部屋に来て取り乱しちゃって……」


「あ、あぁ……あの時は俺もかなり取り乱してましたし、お気になさらないでください。こちらこそ、変な誤解を生むような事態にしてすみませんでした……」


「いやそんな、勝手に誤解した私に非があるんだからそこまで謝らなくても……。まぁこれについてはここまでにして、水に流しましょ!」


「はい、ありがとうございます」


「じゃあ本題ね、さっきどうしてこの子が飛び出してきたのかと、この子についてね。今は薬飲んでこうして落ち着いてるから、大丈夫だから遠慮せずに話してちょうだい」


「えっと……そうですね (と言っても、どのくらいがキーになって発作を引き起こしてしまうのか分からないし、今回の件に関しては未知数だからある程度は伏せておいた方が良いだろうな)」


 誠磨は軽く深呼吸をし、少し間を開けてからゆっくりと頭の中で整理をしつつ口を開いていく。


「まず……この子についてですがーー」




つづく

名前決めるのって凝るタイプは本当に大変ですよね~、私はゲームによりますがそのキャラクターの設定を組むところから始める場合があります;

(来週のGE3が楽しみです!)



ではまた次回、来週の金曜日をお楽しみに!

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