4缶目「塩分解?」
最近ぼちぼちストック貯まってきたので、ペース上げたいなぁと思っております
誠磨は何とか美少女(?)を風呂に入れ、サイズが合わないものの服を一式着せることが出来た。しかし、部屋に散乱している粘液の処理に困ってしまい、泣く泣く繋益に電話を掛ける。
『このベトベトって、どうやって片付けたら良いのでしょうか?』
『……ハァ? お前、自分で散らかした物の片付け方も分からないって、そりゃマズいぞ……』
『すみません……』
『お前、普段は割としっかりしている方だし、そこまで頭悪くないだろ。さっきから変だぞ?』
『すみません……、電話しながらも濡れ雑巾で拭いたりしているのですが、伸びるばかりで床から全然離れなくて……』
『あぁローションってのは水で膨れ上がるヤツだがらな、水拭きしてもカサが増すだげで意味無いぞ』
『えぇ!?』
『えぇってお前……作る時に水使っただろ』
『え、えっと……』
『ったく、しっかりしてくれよ……同時にお前までそんなだと俺も手に負えないぜ?』
『ホントすみません……今後無いようにします』
『いや、そういう事を言ってるんじゃない。はぁ……、今から俺が手伝いに行くから待ってろ。んじゃ後でな』
『え!? あっーー』
繋益は強引に通話を切り、粕寺に聞かれないよう通話に出る前に移動していた玄関前からリビングに戻る。
「どうしたの?」
「あぁ、誠磨からの電話だ。具合はどうだ?」
「えぇ、今はもう落ち着いたみたい。ごめんなさい、またパニックになってしまって……」
「気にするな、あれは仕方ない。だが、何度も言うがお前の担当医が俺に預けた、この強い方の薬はなるべく使わせないでくれ。こんな無理矢理に押さえ込むような薬なぞ俺も使いたくはない」
「ごめんなさい……」
「俺を呼ぶ前にちゃんと軽い方の薬は飲んだのか?」
「い、いえ……」
「まぁそうだろうな、今度から気を付けてくれよ。俺や誠磨が常に張り付いている訳にもいかないからな」
「ごめんなさい」
「俺は今からまた誠磨んところへ行くが、お前はそのまま休んでいた方が良い。さっきまでの事については俺から後で連絡する」
「……分かったわ」
「んじゃ、今度メシ奢れよ」
去り際で一方的に言い捨てて、返答を待たずに部屋を出ていった。そして一人になったところで粕寺は、壁を背にしてベッドの上で膝を抱えて座る姿勢から、勢いよく横に倒れて仰向けになり、額に手の甲を当てて溜め息をつく。
一方、誠磨は先にネットで調べれば良かったと、自身の気の動転さに恥じて頭を抱える。
「何で俺スマホを片手にして、調べもせずに電話で聞いてしまったんだ……。確かに“乾いたタオルで拭くように”って書いてあるじゃないか……」
小声で呟きながら、床でひっくり返っているラーメンを片付け始める。
「いや、これがローションとは限らない! そもそもローションなんて動画でしか見たこと無ぇし買わねぇよ! さっき風呂ですんなり落ちたんだから、お湯濡らした雑巾で落ちると思うだろ!? あぁもう……、さっきも電話で言われたけど、今日は俺の手際があまりにも悪すぎる!!」
そうして片付け終わった頃に部屋のインターホンが鳴り、カメラを覗くとそこに繋益がシャンプーのボトルらいしき物と真っ白な雑巾を片手にスマホを弄っていた。その様子を目にしてすぐに玄関へ向かい、ドアを開けて繋益を部屋に入れる。
「大丈夫か? いちいち慌てて開けに来なくていいっての」
「いえ、まぁ……待たせるのも良くないですし」
「そんな数十秒の差なんていちいち気にしねぇよ。んじゃ、上がらせてもらうぞ」
「はい、その……一つ聞いても良いですか?」
「ん、何だ?」
「そのシャンプーみたいなボトルは何でしょうか?」
「あぁ、これはボディーソープだ。乾拭きだけでは心もとないだろうと思って来る前に調べたんだが、どうやらこいつが効き目良いらしい」
「マジですか……!?」
「あぁ、なんでもボディーソープに塩素が含まれていてな、そいつがローションの成分を分解して拭き取りやすくするんだとさ。塩そのままでも良いらしい」
「なるほど……、ではうちのも使います!」
「そうだな、各々で使った方が効率が良い。さて、早速リビングへ……ってーー」
二人で順にリビングへ入ると、視界に入る美少女(?)もそうなのだが、そこら中が粘液濡れの部屋に繋益は圧巻する。
「……いや~、これは予想以上に派手にやってんなぁ」
「え、えぇ……まぁ、それに押し入れ周辺もこんな感じです」
「うわぁ~、どんだけコイツと派手なプレイしたんだよ……」
「そ、そういうのじゃありませんから!!」
「分かった分かった、にしても間近で見ると凄ぇ美少女だな~。お前の親戚か、はたまた彼女さんか?」
「いや、まぁその……」
「まぁその話は部屋を片した後だな、んじゃ俺はまず床をやるから誠磨は押し入れを任せるわ」
「了解しました、すみませんがお願いします!」
「あいよ」
そうして誠磨が水含んだバケツを二ヶ所に設置し、手分けして雑巾にボディーソープを付けつつ粘液を拭き取っていく。ある程度の塊として厚みがある部分はそれぞれ一ヶ所に纏めてからバケツに入れ、予想以上にバケツの要領が圧迫されるので結局は何度もシンクへと流しに行くのであった。
そうした中々の重労働を凡そ一時間半、クーラーが効いている部屋にも関わらず二人とも汗だくになりながら何とか掃除を終えた。
「いや~、思ったよりキツかったなぁ誠磨」
「えぇ……ホントすみません」
「いや、そこは礼言うところだろ? まぁいいけどよ、今度メシ奢ってもらうからな~」
「はい、ありがとうございます」
「あいよ。んでコイツは俺らがあんだけヒィヒィ良いながら作業してたってのに、微動だにしなかったな」
「いや、まぁそこは……し、シャイなんですよ!」
「ふむ、まぁ一段落ついたし、お茶でも飲みながらゆっくり話そうじゃないか」
「……はい。多分信じてもらえないと思いますけど……」
「ほ~う、そう言われると尚更興味が湧いてきたな。バカにしたりしねぇから、冷静にゆっくりと話してみな」
「はい……ではまずーー」
誠磨は美少女(?)が現れる少し前からの経緯を、天使という点を除いて慎重に顔色を伺いつつ述べていった。それに対して繋益は一切質問せず、妨げにならない程度に頷きながら清聴する。その事に誠磨は内心で予想外の応対に驚きつつも気を緩めまいと、非現実的のあまりに下手すれば失笑されかねない内容を真剣に口頭で伝えていく。
「ーーっといった感じで以上です……」
「……ふむ」
「ドン引きですよね……、俺はこの後どこへ連れていかれるのでしょうか?」
誠磨は正座でうつ向き、自分の発言による羞恥心に押し潰されて顔を上げられない。
「だから、連れていかないと言っているだろう。顔を上げろ」
「しかし……」
「そうされてる方が話し辛いんだよ、良いから顔を上げて足崩せ。俺は別に引いちゃいない」
「はい……すみません」
誠磨は渋々顔を上げて胡座の姿勢になる。
「まぁ流石に信じられると言えば嘘になるが、その体で話を進めた方が良いんだろう?」
「……え、えぇ……そうなのですが」
「んじゃ、次はその缶娘をどうするかだな」
「はい……(おいおい、すんなり通っちまったよ……。ホッとしたけど、後が怖いな)」
「で、それが例の缶詰か?」
繋益がテーブルの上にある缶詰を指差し、深淵を目にして平然としていることに内心驚きながら誠磨もその缶詰の方を向く。すると、底が見えない筈の深淵が消えて“洗って乾かした後”のような綺麗な状態で空っぽになっていたのだ。
その不可解さのあまりに言葉を発せず、膠着している様子に繋益は何かを察し、危険性を測るかのようにゆっくり手を伸ばす。しかし、その手は接触する僅か数ミリ手前のところで止まってしまった。
「ど、どうしました……?」
「いや、もしかしたらそいつにとって大事なモノなんじゃないかと思ってな」
「え?」
「そいつ、さっきまでずっとお前の方だけを見ていたんだが、今初めて俺の方を向いているだろう?」
「……あっ!」
誠磨が美少女(?)の方を向くと確かに繋益の方、それも顔ではなく手先のじっと見ていた。その様子を警戒した繋益は美少女(?)の目線を見ながらゆっくりと手を引き、目線が再び誠磨の方を向いたのを確認してから目線を誠磨に戻した。
「まぁ取り敢えず、今コイツについて色々と探るのはやめておくとしよう。粕寺には一先ずホームステイとでも言っておく」
「……はい、ありがとうございます」
繋益の言葉に一時の安堵を抱くが、それもこの美少女(?)について一時的に探るのを中断してもらえたことに限る。しかし、その安堵も長くは与えられなかった。先送りにした問題の他に、最も直視しなくてはならず避けることの出来ない問題を問われ始める。
「で、これからどうするんだ? コイツは部屋の中で生活出来るのか?」
「いえ、多分ですが出来ないと思います」
「教えるのは無理そうか?」
「一応さっきお風呂入れる時も教えようと試みたのですが、意思疏通に難航してまして……伝わってるかが全く読み取れないんです」
「……ふむ、ではお前が仕事に行ってる間、そいつをどうするかだな」
「はい……俺が食事を作り置きしたとしても、この子が一人で食べられるか分からなくて…」
「まぁ、まだ会って数時間も経ってないようだしな。俺の方で預かっても良いんだが、恐らくそれはそれで別の問題が起きそうだからなぁ……さっきの様子を見る限り」
「う~ん、それがよく分からないのですが、どの道この状態で他の方に面倒見てもらうのは俺としては怖くて出来ません」
そう言う彼の脳裏には、翼に触れたのを引き金に繰り出されたあの必殺パンチを打ち込まれた事態が過る。あれが自分だったからすぐに治してくれたのか、事の誤りに気づいたからなのか理由が分からない以上、預け先の人等に向けて繰り出された際に取り返しのつかない事態に陥るのではないかと恐れているのだ。
「そうだろうな~……、次いつ仕事なんだ?」
「来週の月曜16時からです」
「ほう、今日といい居酒屋のパートなのに、店の忙しい日にシフト入らなかったのか?」
「えぇまぁ……、色々あって今週だけ週末からの3日間がお休みになりました」
「そうか、まぁ丁度良いんじゃないか? 3日でどうにかなるかは分からんが、俺も出来る限り手を貸そう」
「ありがとうございます!」
「んじゃ俺は一先ず帰るわ、粕寺には後でお前からも連絡入れておけよ」
「はい、今日はホントに色々とありがとうございました」
そう言って二人はその場から立ち上がり、座ったままの美少女(?)を背に玄関へと向かった。そこで繋益は靴を履いた後、横顔を見せつつ落ち着いたトーンで彼に告げる。
「……そうそう、お前に一つアドバイスをしてやろう」
「……? なんでしょうか?」
繋益の口角が少し吊り上がり、鼻を鳴らしながら小さく呟く。
「卒業するなら、呆けている今がチャンスだぞ」
「っ!!? な、何を言ってるんですか!!」
「っはっはっは! あんま大声出すと、またアイツが呼び出しに来るぞ~」
「……すみません」
「いやぁ悪かった悪かった、まぁ俺はそうなっても文句は言わないってことだ。粕寺を宥める手助けもちゃんとしてやる」
「いや、そもそもあんな小さい女の子にそんな事しませんよ……」
「はいはい、んじゃ落ち着いたらまた連絡してくれよな」
「はい」
会話を終えて繋益は玄関から退出していった。それを見送った後、深く溜め息をつきながらリビングへと戻った。
「はぁ……、取り敢えず騒動は一旦これで治まったかな」
緊張の糸が緩んで足腰が脱力し、勢いよく煎餅布団の上に座り込んだ。そしてポケットからスマホを取り出し、画面を開いて時間を確認する。
「16時過ぎ……か、夕飯までにちょっとこの缶詰について調べてみるか」
「……」
誠磨は枕元に置いてあるノートパソコンをテーブルに移して起動し、缶詰を片手に無言で中を凝視する。
「(この子が出てくる前の、あの真っ黒で触れた感触がない深淵みたいなアレはいったい何だったんだ……? 箸を差し込んでも、平たい缶の筈なのに半分以上入って貫通しなかったけど、今はどうなんだろう?)」
そう思い立った誠磨は缶詰を持って台所に向かい、菜箸を一本手に取ってゆっくりと内側の底に近づける。
…………コツンッ!
「……あれ?」
菜箸の先は軽く底に触れただけだった。
「貫通しない……、じゃああの子が抜けた今は普通の缶詰ってことか?」
その後、何度も縁や側面といったあらゆる部分を突つくが反応が無い。今のところ危険性は特に見られないと判断し、自分ではこれ以上の明確な確認が取れないので結局不安は残るが、菜箸を洗って戻し再びノートパソコンの前へ座り込んだ。
「じゃあ今度はこのメーカー? 商品名? う~ん、どっちかは分からんが一応調べてみるか……。この子と会話が出来たら少しは分かる情報が聞けそうなんだけどな~……」
そうぼやきながら、暫くモニターと缶詰を交互に凝視しキーボードを打ち鳴らす。
ーーー
ーー
ー
「はぁ……もう分からぁ~ん……、カンパニーって書いてあるんだから公式ホームページくらいあるだろ普通! 情報らしきものは“The Dream&Happiness!”っつう商品名なのかキャッチコピーなのか分からないやつと、その横にある“CA-Company!!”って製造元らしき表記が側面に書かれているだけだしなぁ……。どうやっても検索に引っ掛からないし、缶詰なのに原材料名とか成分が全く書かれてないって……物によっちゃ玩具にも書いてあるってのに!」
長々と愚痴を溢しつつ、両手を布団について後ろに傾き天井を見上げる。
「あ~肩いてぇ、今何時ーーってウソ18時!!?」
ノートパソコンの右下に表示されている時計に仰天し、慌ててテーブルの反対側に座っている美少女(?)に近寄る。しかし美少女(?)は全く反応を示さず、誠磨がパソコンを弄る前と全く変わらない姿勢のまま制止していた。その様子は、まるで電源が入っていないロボットのようであった。
「マジかよ……この状態で2時間も固まっていたのか……? 何で粕寺さん達が来た時に俺の頼みを聞かず勝手に顔を出したってのに、この二時間全く動いていないんだよ……。せめて姿勢を崩すとか、テキトーに気になった物を手に取るとか、欲しいものを訴えかけるとかしてくれよ……怖いだろ」
「……」
「……まぁ放置した俺が悪いよな、こめんな。腹は減ってないか? というか何か食べられるか?」
「……」
「う~ん、やっぱ何かしら感情とか言語を制限されているんだろうか? それともエネルギーが底を尽きかけていて殆ど動けないとか……ってそれヤベェじゃねぇか!! とにかく、この子が食べられそうな何かを作らないと……!」
誠磨は急いで台所へ向かい、冷蔵庫を開けて中を確認する。そこに丁度焼きそばの麺と野菜と豚肉がストックしてあったので、焼きそばを作ることにした。
誠磨はまずキャベツと玉ねぎとニンジンを取り出してシンクに入れ、玉ねぎをアルミボールに入れて水に浸す。次に鍋にお湯を沸かし、シンクの中の野菜を順にまな板に乗せて一口サイズに切っていく。
そして、沸騰したお湯の中に細切れ豚肉と野菜を入れて軽く下茹でをし、水気を切ってからフライパンにオリーブオイルを引いて塩コショウで味付けしながら中火で悼めていく。
次に火の通った野菜を一旦フライパンから皿に移し、同じフライパンにオリーブオイルを足す。そこに焼きそば麺を入れてほぐしながら焼き色を付けてゆき、移した具材を入れて醤油と鶏ガラスープの素で味付けしながら悼めて完成。最後に濃さを確かめるべく麺を一本取り出して味見をした。
「よし、こんなもんだろ。んじゃさっさと移すか」
誠磨は食器棚から楕円形の皿を2つ取り出し、そこに4割くらい埋まるように炊飯器から白米をよそい、空いた6割に焼きそばを入れて箸と一緒にテーブルへ運ぶ。
「おまたせ~っと、さぁこっちに座って」
そう言われるも美少女(?)は相変わらず動こうとしないので、仕方なく脇下を付かんで持ち上げつつ奥側に座らせた。誠磨が隣の席に座り、箸の持ち方を見せたり握らせたりして食事の仕方を教えようと試みる。そうして少し経ってから内心で後悔が渦巻く。
「(栄養と満腹度を考慮して作ったはいいけど、箸といい麺類といい食べ慣れてない子にはやっぱハードルが高すぎるだろ……。何でスプーンで簡単に掬えて早く作れるチャーハンにしなかったんだ俺は!! 今日の俺どうしたんだよほんと……)」
きちんと食べてもらうよう懸命に尽くすも、美少女(?)自身が自力で全く動こうとしないので、まるで人形相手におままごとをしているような感覚に襲われる。
「俺はいったい何をしているんだろうか……。この子微動だにしなさすぎて怖いし、こうやってる俺自身もいよいよ怖くなってきたわ」
誠磨は苦笑いを浮かべながら、とうとう心が折れて美少女(?)の手をゆっくりと離してテーブルに添えさせてしまった。
「はぁ……、まだ一口も食べてないのに俺まで食欲無くなってきたわ。ラップして冷蔵庫に仕舞って、明日食うとするか」
そう言って渋々と皿を下げようと手に取った瞬間、突如美少女(?)が拳底を誠磨の手首へと叩きつけた。
「うぐぁ”っ!?」
手首からまるで電流が走ったかのような衝撃を受け、その激痛で身体が反射的に飛び上がろうとする。しかし、拳底で押さえつけられている手首が異常なまでに固定されていてバウンドするかのようにその場で跳ね返ってテーブルの足に額をぶつける。そして、美少女(?)は小声で人の言語としては聞き取れない、言葉として認識できない奇妙な声を数秒間発し、終えた直後にテーブルの端から妙な光が一瞬だけはみ出たのをが見えた。
押さえつけられた手首の拘束が緩み、恐る恐る起き上がってテーブルを確認する。すると、楕円形の皿に入っていた一口も減っていない焼きそばライスが、跡形もなく綺麗に洗ってある状態のように無くなっていたのだ。
「う、うわぁあああああ!!?」
誠磨は悲鳴を上げて腕だけで後ろの壁に後ずさり、震える手で必死にポケットからスマホを取り出して繋益に電話を掛ける。しかしダイヤルが10回鳴っても電話に出てもらえず、自分から切ってしまった。
「何で出ないんだよ……、な……んで出ないんだよぉおおお!!」
恐怖のあまりに錯乱し、不意に怒りが込み上げていて同じ言葉を叫び散らす。その場から逃げようにも腰が抜けて足を動かせず、仮に動けたとしても得体の知れない者を相手に逃げ切れる自信が無い。やがて美少女(?)の顔が誠磨の方を向き、女の子座りから肩膝立ちに姿勢を切り替える。
「た、食べづらい物をくわせようとしたのは悪かった!! もっと気の利いた物を作るから、嫌いなものがあったらい、い、言ってくれ!!」
しかし彼の言葉に美少女(?)は反応を示さない。
「い、嫌な思いをさせちまったのなら謝るから! 気を付けるから一旦落ち着ーー」
誠磨が言い終わる直前に、美少女(?)はその場から誠磨の方へと凄まじい勢いで真っ直ぐ跳躍した。そして、避ける間も無く飛び込んできた美少女は、その勢いのまま無表情に誠磨と接吻を交わした。
「ーーんっ……!!?///」
美少女(?)はそのまま両腕を誠磨の後頭部へと回して、ガッチリと拘束しながら布団の上で押し倒して誠磨の上に乗っかる。
「んっ……んんっ……!!」
誠磨は恐怖と羞恥が入り交じって自分の思考が上手く認識出来ないながらも、必死に腕を引き剥がそうとするがビクともしない。やがて正常な意識が度重なる異常事態による混乱で、思考回路が焼き切れたかのようにプツンッと途切れて意識を失った。
つづく
ローション使って遊ぶゲーム動画が好きで、毎年夏に投稿される例の動画シリーズを夏になる度にいつも待ち望んでおります。
ではまた次回、金曜日をお楽しみに!




