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Say!天缶!  作者: 信条
37/53

37缶目「藍色の髪?」

この間発表されたDEATH STRANDINGの告知動画にはかなり痺れました……!

赤ちゃんポッド付きのを買うためにMonsterの本数少し控えるかな……(

 仕事から帰った誠磨は、部屋に上がってミユリが誠磨の布団でイルカのぬいぐるみを抱いて寝ているのを見て、欠伸をしながら寝る準備を済ませる。そしてスライム型モンスターのプニィの巨大クッションを枕にしていつものように雑魚寝に入る。

 その一時間後、まだ微妙に夜の明けない深夜3時に誠磨が寝静まった時に異変が起きた。


 誠磨は週末の忙しさでいつも以上に仕事で疲れているが、疲れすぎていると逆に眠りが浅く妙に早く起きてしまう習性がある。短い睡眠を経て水を飲むだけに起き上がって済ませてはまた寝たりと、あまり健康的とは言えないが雑魚寝による背骨や腰の痛みもあって深い眠りにつきにくい。ミユリが来てからは特にその繰り返しが多いのだが、今日はその一度目の目覚めかけで何かに気づいた。



ーー足音だ。



 鍵を閉めた玄関の方から、普通に歩くのとは違うもっと忍ばせるような足音が、少しずつこちらへ近づくように聞こえてる。


「……」


 寝ぼけているのだろうと、気にせず喉も乾いていないのでそのまま寝返りをうって再び眠りにつこうとしたが、足音と思わしき床の軋む音がどうしても気になって寝付けない。

 不安になってミユリの方を向きながら目を瞑り、そのままじっと寝ているフリをして落ち着くのを待った。すると足音は止み、やはり気のせいだったと安心した矢先に有り得ない音が耳に届いてしまった。


 シャランッ……


 誠磨はその音で心臓の鼓動と同時に飛び跳ねるように起き上がった。目の前には真っ黒い人影がテーブルの前で中腰の姿勢で立っていた。


「……ッ!」


 誠磨に気づいた人影は、手にした錠剤の包装シートを片手に物音立てずその場から逃げ去った。誠磨は非常事態の余りに腰が抜けてしまうが、ミユリの顔を見た途端に奮起し即座に立ち上がって人影を追う。

 だがそこでまた異常な光景を目にした。


「うそだろ……」


 もう少しで腕が掴めそうな距離だったが、人影は全力の疾走で速度を落とさずそのままドアに直面し、そのまま何の接触も無く正面からすり抜けて行ってしまった。

 慌てて気を振り絞って震える手を押さえつけながら玄関の鍵を開け、外へ出たが周囲のどこにもその人影の姿は見えなかった。


「……ミユリ!」


 部屋で一人にしたミユリのことが心配で、周囲をもう一度一瞬だけ見てから中へ戻って鍵を閉める。部屋の中を警戒しながら急いでミユリの元へ戻り、様子を確認すると静かな寝息を立てながら寝返りをうっていた。


「大丈夫みたいだな……」


 安否の確認を終えて少しホッとしたところで台所のシンクへ向かい、コップに水を汲んで一気に飲み干す。そして中腰で片肘でシンクの縁にもたれながらリビングのテーブルの一点を見つめる。


「(俺が寝ぼけていただけなのか……それともそういう怪奇現象のようなものか、盗まれたと思った薬はちゃんとあそこにあるから物理的な証拠は無い。何よりあの玄関をすり抜けるなんて行為は人の出来ることじゃない)」


 誠磨は理解できない現象がまたいつ起こりうるか分からず次第に恐怖が増幅してゆき、ミユリの安全のこともあって寝ずにそのまま朝を迎えた。



「ーーむぅ~……ハッ! おいお前起き……って……」


「おはようミユリ、朝御飯はもうすぐ出来るからそこ座って待っていてくれ」


「……うむ」


 スマホを弄りながら片手でフライパンに卵を割り入れてスクランブルエッグを作り、冷蔵庫から使いかけのウインナーの袋を取り出して火を通し、その2つを1つの皿に盛りつける。


「ミユリ~、ご飯盛ってくれるか~?」


 懲りずにミユリへ手伝いを要求する。


「嫌じゃ」


「はいはい……」


 応じてくれるまで毎日呼び掛ければ、そのうち折れてくれるだろうと根気強く共同を図ろうと考えるが一先ず今回も一人で用意を済ませる。


「「いただきます」」


 二人が朝食を食べ始めると同時に誠磨のスマホに繋益けえきからのLINERの着信が鳴った。


「悪いミユリ、ちょっと電話に出てくるわ」


「うむ」


 誠磨はスマホを持って立ち上がり、急いで玄関に向かってから応答した。


「もしもし」


『おはようさん、今大丈夫か?』


「はい」


『体の調子は』


「寝不足ですが、多分大丈夫だと思います」


『そうか、取り敢えず不自然にキョロキョロせず意識しないことだ。俺は今から行ったほうが良いか?』


「えっと……すぐに来てほしいのですがミユリの朝食がまだなので、10分後に来ていただけると有り難いです」


『分かった、10分後な』


 そう言って向こうから通話を切った。誠磨は朝食を作ってる間に繋益へ連絡を送っていた、“昨日の夜中に霊らしき物を見たので来ていただきたいです”と。

 そして時刻通りに部屋のインターホンが鳴り、誠磨が急いで玄関の扉を開けると数日前に見た時と同じ霊媒師の装束を着た繋益が立っていた。


「よう、一応この辺のも確認したが何も居なかったぞ」


「そうですか……ありがとうございます、一先ず中へお願いします」


「あいよ、お邪魔しますっと」


 繋益が誠磨の後をついてリビングへ上がると、ミユリが妙な目付きで繋益の上下を詮索した。


「何じゃその格好は……」


「おはようさん、これか? これは幽霊を探す時に使う服だ、カッコイイだろ?」


「……」


「まぁそうなるよな、俺もカッコ良いとは思ってない。さてーー見た感じ何処にも居ないし気配は感じないな」


「そうですか……」


「顔色良くないみたいだが、大丈夫か?」


「いえその……何も居ないのでしたら大丈夫です、ありがとうございます (霊じゃないとなると、あの黒い影は実体か? いや、それならあの扉をすり抜けることは不可能だし、どうなっているんだ……)」


「それなら良いんだが、何か問題を抱えているんじゃないかと思うくらいスゴい顔だぞ? ちゃんと寝たのか?」


「はい……少しだけ」


「あんま無理するなよ? 俺はこれで帰るが、今度甘いもんでも作って持ってくるよ」


「ありがとうございます」


 二人は玄関へ向かって歩いて行き、繋益が靴を履いて扉を開けようとした途端にふと手が止まった。


「……あ、そうそうこれお前にやるよ」


 振り向いて装束の懐から、手の平サイズで板状の巾着袋を取り出して誠磨に渡した。


「お守り……ですか?」


「あぁ、それ置いておくと霊を呼び寄せる感情を抑制できる、ようは浸け込む隙が無いように意識するお守りみたいなものだな」


「おぉ……ありがとうございます!」


「それありゃ少しは安心して寝れるだろ、じゃあな」


 繋益は誠磨の言葉を待たずに外へ出ていった。


「(もしあれが幻覚だったなら、これでもう見なくて済むな……)ーーミユリ~、洗濯物やるから洗い物やってくれ~」


「嫌じゃー!」


「はぁ……ちっとは家事やってくれよ……」


 その後も寝ること無く家事を済ませ、ミユリの昼食と夕食の作り置きを用意したところで誠磨はまたミユリの手がかりになる何かを探す為、テーブルに座って床に置いてあるノートパソコンを手に取る。


「ん……?」


 その際、フローリングの床に落ちていたミユリのでも誠磨のでも無い不自然な長さの一本の髪の毛が目に入った。


「(俺はここまで伸ばしたこと無いし、繋益さんもここまで長くないはず……)」


「何じゃお前、そんな虚空を見つめて」


 ミユリの言葉を聞き入れることなく、手に取った一本の髪の毛に集中し照明の反射で藍色であることが確認できた。そして昨晩見た人影の容姿について、ぼんやりとした状態から鮮明に思い出そうと懸命に記憶を辿る。


「……ッ!?」


 誠磨は思わず勢いよく手に持った髪の毛を床に投げ捨て、引き吊った顔で後ずさる。



ーー

ーーー


 その一方、朝方にも関わらず暗い部屋に薄暗い照明、機材とモニターに囲まれた部屋で男は冷たい口調で罵る。


「君さぁ……その能力を持っておきながら隠密作業の1つも出来ないってどういうことなのかなぁ? 素人にバレるって相当よ?」


「申し訳ございません……」


 多数のモニターが置かれたデスクの前に座る男の足元で、黒のライダースーツのような格好をしたショートヘアの女性が土下座をして赦しを乞う。


「ねぇ、君をこの任務に選んであげた理由は分かるよ……ねぇ!?」


 男は座ったまま足先き置かれた頭部に向けて、右頬に革靴の蹴りを入れた。


「ッブぅ!!ーーも、申し訳ございません!」


 口元の血を袖で拭って再び同じ位置にて土下座をする。


「そらあんなの見たら誰だってあぁいう反応するよ、どうするのこれ?」


「必ず……次は必ず成功してみせます」


「次はって、何か策はあるの? 何も無いでしょ頭空っぽなんだがら」


「……」


「まぁ次の策は考えてあげるけど、今回のことをそのまま許すなんてことは出来ないからお仕置きを与えるよ」


「お仕置き……ですか?」


「そうだなぁ……、じゃあ一肌脱いでもらおうかな」


「一肌……?」


「分からないかなぁ……君そのスーツ1枚でしょ? それとも分かりやすく“一発ヤらせろ”と言った方が適切か?」


「……」


「脱がないの?」


「……脱ぎます」


 女性は立ち上がって渋々とスーツのファスナーを引いて白肌を晒していく。


「そうそう、君良い身体してるんだからこういう時にちゃんと使わないとね」


「……」


 女性はモニターの一点を見つめて頬を伝う涙を拭い、脱いだスーツを胸元に抱き締める。




つづく

 

今回の最初ら辺は少し書き方を変えてみました、1人だけ動かす時は情景描写の練習がしやすくて良いですね。

水族館の時の4人行動は台詞が多く、情景描写を挟み込むのが難しかったです。



ではまた次回、来週の金曜日をお楽しみに!

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