34缶目「天使のトラウマ?」
もう春が終わりかけで、気温も暑い日が目立ってきましたね。季節が追い付く前に良いところまで行きたいので5月病終えてから頑張ります……てのは冗談で、何とか急いで進めております
今回の後書きにちょっとしたオマケがあります
水族館から各々土産を携えて徒歩15分程大通りを歩いて最寄りの駅に到着した。そこで誠磨とスピルは紙袋1つずつに加えてビニールに包まれた全長150cmのイルカのぬいぐるみを水色とピンクでそれぞれ抱えている為、人混みの邪魔にならないよう空いている隅の場所で一時待機した。
残りの二人は片手に紙袋1つ持った粕寺と手ぶらのミユリなので、そのままはぐれないように手を繋いだ状態で4人分の切符を買いに券売機へ向かった。
「スピルさん、ホントに大丈夫ですか? ぬいぐるみとはいえ結構な大きさですし、こんな暑い中そこそこ歩いて来ましたけど……やっぱり俺が持ってた方がーー」
「い、いえ大丈夫です!! いつも姉さんのお使いで色々買い物に出掛けてましたし、この暑さも慣れてきましたから! アハハハ! ハハ……」
「いやまぁ大丈夫なら良いんですけどね? ここから行きの時に急に具合悪そうにしてましたから、その時より大荷物抱えてる状態ですし心配で……」
「ありがとうございます、でも大丈夫です! 姉さんのお使いでこういうの慣れてますから!!」
「そ、そうですか…… (身体はあまり丈夫じゃなさそうに見えるけど、あの性格キツそうな姉さんに普段から結構コキ使われてるのかな……。やたら声張ってるのが気になるけど、そういう事なら尚更今くらいは!)ーーでしたら、お土産を持って帰る時くらいは楽にして良いと思いますよ」
「え……?」
「あ、いや……すみません! お節介な事言っちゃって……その、普段お使いを頑張っているようですし、せっかくこうして友達が居るんですから頼ってくれて良いんですよ?」
「……あ、ありがとうございます! その……友達出来た事無くて、どうしていいのかその……」
「大丈夫ですよ、そんな断ったりなんかしませんから。リラックスしましょう? ほら、荷物両方俺が持ちますからーー」
そう言ってぬいぐるみに手を伸ばした瞬間、スピルは僅かに後退して誠磨との距離を取りつつ反射的に声を張り上げてしまった。
「だ、ダメです!!」
「え?」
声を聞いた周囲の通行人が何人かこちらへ顔を向けて立ち止まり、不審者を見るような視線が誠磨に集中する。
「あ、いや……違うんです、友達ですから! そういうのじゃないですから! すみません!」
「す、すみません……!」
立ち止まった通行人達は呆れたように首を傾げるなり鼻で笑うなりして各々駅の中へと再び歩みを進めて、視線の集中による圧力から解放された。
「はぁ…… (あと何回あんだよこれ……今日何回あったんだよこういうの!! こっから帰るまでにあと何回こんな目にあうんだよ!! 一瞬だけあったモテ期の代償か? にしては重すぎるだろ……寧ろ対人恐怖症になるわこんなの)」
何処にも向けられない宛の無い怒りの矛先を自分の心に押し止めて、ガス抜きのように力なく溜め息だけ漏らして何とか自意識の熱を冷ます。
「ホントすみません……今日ずっとこんなのばっかりで……」
「いえ大丈夫ですよ、今のは俺がちょっとアグレッシブ過ぎただけですし、スピルさんのせいじゃないです」
「すみません……」
「まぁその……ずっと部屋に置いておく物ですし、大事に持っておきたいですもんね。見た感じ今はそんなに混んでなさそうですし、電車の中も空いてると良いですね」
「そ、そうですね……」
何とか二人の空気を0地点まで引き戻したところで、粕寺とミユリが行きと同じ手の繋ぎ方で戻ってきた。ミユリのもう片方の手には食べかけの謎の丸いお菓子のような物が握られていた。
「お待たせ~! さっきまで券売機の前すごい結構並んでたから時間かかっちゃった。今は中だいぶ空いてるわよ」
「そうですか、ありがとうございます。では行きましょうかスピルさん」
「は、はい……」
「大丈夫、スピルちゃん……? 顔色悪そうだけど、具合悪い?」
「い、いえ! 大丈夫です……」
「そう? 何かあったら言ってね」
「はい、ありがとうございます」
「……ちょっと行く前に1つ確認良いですか?」
「なに?」
「ミユリのそれ……多分饅頭ですよね?」
「えぇ、さっきそこの屋台で買ったものよ」
「いや一時間くらい前に食ったばっかでしょ……しかもあんな大食いで、その後にまたこんな食べたらーー」
「まぁそうなんだけど、どうしても食べたいって言うからさ~」
「あの匂いを撒き散らすのが悪いんじゃ」
「撒き散らすって言うな、それより本当に大丈夫なのか?」
「平気じゃ、寧ろこれでも足りないくらいじゃ」
「……取り敢えず夕飯まではその一個で終わりな、それ以上食ったら夕飯抜きだぞ」
「フンッ」
「大丈夫よ、ミユリちゃんとさっき約束したから。覚えてるでしょ?」
「うむ」
「よし、じゃあ行こっか」
粕寺が二人に切符を渡してミユリを連れて先頭を歩き、その後を誠磨とスピルがついていく。
「ーーはぁ……、もうホント俺の言うこと聞かないんすよ。一応は俺が主に面倒見てる筈なんですけど」
「まぁ……お姉さんに甘えたいんじゃないでしょうか? とても優しいお方ですし」
「そうなんでしょうけど…… (俺があの子の記憶を取り戻すってその身を預かった以上は、俺がしっかり健康を損なわないよう導いていかないと……ーー!?)」
心配ながらもミユリへの強い意思を抱いた途端、足元から圧力みたいなリングが体格をなぞって頭上へ巡ってくるような感覚に襲われ足元がふらついた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫です、すみません……ちょっと疲れているだけです (何だ今の感覚は……!? この落ち着かない感じ、よく分からないがとにかく薬飲まないとヤバイかもしれない……!)」
突如自分の意識から沸き上がる焦燥感に駆られ、目の前を歩いている粕寺に急いで声を掛ける。
「ちょっと待ってください粕寺さん!」
「え、どうしたの?」
それほど2人の距離は離れていないのだが、思いの外大きな声が出てしまった為粕寺は驚いた表情で振り向いた。
「すみません、ちょっと薬飲みたいので少しの間だけ持っていていただけませんか?」
「あ……うん、分かった、というか疲れてそうだし私が暫く持っといてあげる」
「すみません……」
誠磨は申し訳なさそうに水色のイルカのぬいぐるみだけ渡して鞄に手を入れた。
「水は大丈夫?」
「えぇ、錠剤をそのまま飲み込むだけなので大丈夫です」
「そっか」
誠磨は鞄の小さなポケットからPTPシート(※プレス スルー パッケージの略で、処方された薬のアルミとプラスチックで挟まれた包装シート)を取り出して、1錠だけ手の平に乗せてそのまま口へ運んで飲み込んだ。
「お待たせしました」
「オッケー、じゃあ行こっか」
4人はその後何事も無く電車を乗り継いで絵本駅に到着し、誠磨達が帰るバス停前のベンチへ右から順にスピル、誠磨、粕寺、ミユリが腰を下ろした。
「あれ、スピルさんもバスで来てたんですか?」
「いえ、私はここから徒歩ですね。せっかくなので甘巻さん達のバスが来るまでお話していたいなと」
「そうでしたか、バス到着までの時間はえ~……っと10分くらいですね。ではちょっとした休憩がてらお話しましょうか」
「はい!」
「じゃあ、私からちょっといい?」
「あ、はい。どうぞ」
「ごめんね、レストランで話してたのをちょっと思い出したんだけど、スピルちゃんが好きな水中の生き物がクラゲだったって話したの覚えてる?」
「はい、身体の構造がどうなっているのか気になると私言ってましたね」
「そうそう! それでね、あの水族館にも同じ類いというか……ちょっと神秘的な方に寄ったタイプの生物がいたのよ。“クリオネ”っていうんだけど」
「クリオネ……ですか?」
「あぁあのちっちゃくてフリフリって泳いでる奴ですね、スピルさんもあそこで一緒に見てましたよ」
「う~ん、ちょっと思い出せないですね……」
「何じゃそれ、食い物か?」
「食べ物ではないわね~、今から写真見せるね」
粕寺がスマホを取り出してネットで画像を検索し、クリオネの写真を1枚拡大で表示した。
「じゃあ見やすいように席代わりましょうかスピルさん」
「あ、いえここからしっかり画面見えますので大丈夫ですよ、ありがとうございます」
「あ、はい……」
粕寺はミユリとスピルに交互に画面を傾けて写真を見せ、その際に少しだけスピルは誠磨の二の腕に触れながら画面に近寄った。
「(はぁ~柔らかいなぁ二の腕、男の腕と全然違うわやっぱ。同じ素材で出来てるのか疑うレベルだわ……このクソ暑い中歩いてきたのに全然汗の匂いしないし、寧ろ待ち合わせの時のいい匂いがずっとキープされてるしヤベェな……。はぁ何かまたドキドキしてきた)」
童貞特有のちょっとした接触ですぐ心拍数が跳ね上がって、気色悪いくらいに色々と分析を始めた誠磨だが、そう思っている間すぐにスピルが元の姿勢に戻ったので体感はほんの一瞬だった。
そんな誠磨の心境を他所に他の3人の会話は続く。
「気色悪い見た目じゃのぅ……」
「そう? これ実際に見ると結構小さくて可愛いのよ~、ミユリちゃんもさっき一緒に見たと思うけど」
「覚えとらんな」
「そっか~、私結構好きなんだけどなぁ……」
「なるほど、この子がクリオネって名前だったんですね~。確かに見たの思い出しました、小さくてフリフリ泳ぐ姿がかわいいかったですね~」
「ホント~!? 良かったぁ~、クラゲ好きなの思い出して“もしかしたらこっちも好きなんじゃないかな?”って思ったのよ。何か天使みたいで可愛いでしょ~?」
「天使……ですか」
「あれ、違った?」
「あ、いえいえ全然! 泳いでる仕草が天使みたいですよね~」
誠磨は会話に入っていない分、聞くことに集中していた為スピルの声色に生じた僅かなブレに違和感を覚えた。
「(スピルさん、天使って言葉があまり好きじゃないのかな……。言葉だけならまだしも一応は実物としてすぐ傍に並んで座ってるからな……、今のところあの日以来一度も翼とか輪っかが出てないけど、もし偶発的に出てきたら……ヤバい今度は別の意味で緊張してきた)」
「それでね、私この子の一番好きなところはエサを食べ方なのよ」
「……って、え”! 粕寺さんアレが好きだったんですか!?」
「えぇまぁ……言ってなかったかしら?」
「初耳、ですね……」
「そっか~、今から二人に見せようと思うんだけど良いかな?」
「見たいです!」
「食べ方……顔も無いし想像つかんのう」
「ミユリ、お前は見ない方がいいぞ」
「何でじゃ?」
「結構ビックリするし怖いからだよ、俺はだけど……」
「甘巻君はこういうの苦手だもんね、ミユリちゃんにこういうの見せてないんだっけ?」
「はい、そういうのはミユリに見せないようにしてますね」
「そっか~、ギャップがあって個性的だし、ビックリ系ならもしかしたら思い出すんじゃないかなって思ったんだけどなぁ」
「いや俺、あまりそういうショック療法をさせたくないので出来れば避けてほしいです。すみません」
「分かった、ごめんね……。じゃあスピルちゃんには後でURL送るから、そこからーー」
「良いからはよ見せんか!! そんな風に言われたら余計気になるわ!!」
「いや分かるけども、人によっちゃトラウマになるから俺はやめた方が良いって言ってるんだ」
「ホントごめん甘巻君……、気に入ってもらえると思ってつい」
「いえ、言ってなかった俺のせいですし気にしないでください」
「お前の恐怖などどうでも良いわい! 妾はそんなことで怯まぬ、はよ見せんか!!」
「はぁ……知らねぇからな」
「……じゃあ、再生するよ?」
「うむ」
「お願いします」
粕寺は念のためミユリからは少し画面を離した状態で、動画サイトに上がっているクリオネの補食映像を再生した。
「「「……」」」
「(はぁ……、もしこれで粕寺さんと同じ趣味だったらどうしよう……俺しょっちゅうあぁいうの見かける羽目になるのかな……)」
動画が始まり、最初は翼足と呼ばれるヒレの部分を動かして水中を泳いでいる映像が流れる。そしてミジンウキマイマイという小さな巻き貝が上から降りてきた所で、クリオネの頭部が裂けんばかりに大きく開いた。そこから薄黄色の触手が6本、胴体と同じくらいの長さで伸びていって掴み取るように包んで栄養を吸収した。
「「!!?」」
「どう? スゴいでしょ~これ」
「はい! 何か悪魔っぽくてカッコイイです!! 勉強になりました!」
「……」
「(確かに悪魔ってか魔物っぽさはあるけども、カッコイイか……?)」
興奮するスピルとは逆に、ミユリはビックリした様子は見せるが終始無言のまま静観し動画の再生が終了した。
「ミユリ、大丈夫か?」
「……こんなの、大したこと無いわ」
「そっか……まぁ平気だったならいいんだけどさ」
その後もミユリは殆ど口利かないままバスが到着し、スピルとその場で別れてバスで自宅に一番近いバス停へ向かった。
「「「……」」」
バスの中でミユリは下を向いたまま一言も喋らず、それが自分のせいだと罪悪感に苛まれる粕寺と、どうカバーすれば良いのか分からず困っている誠磨が互いに気を遣った妙な空気の会話をしながら20分バスに揺られた。
そしてバス停から徒歩10分で自宅のマンションに到着し、部屋の前で粕寺と誠磨は其々の部屋に戻るのだが、そこでようやく誠磨がミユリに声を掛けた。
「……ミユリ、どっちの部屋に来る?」
「……」
「ミユリちゃん、今日もうちに来る? それともーー」
ミユリは躊躇なく無言で少し誠磨の方へ寄って裾を掴んだ。
「ミユリ……」
「そっか……、じゃあ甘巻君お願いね。はいこれ」
粕寺は持っていた水色のイルカの巨大ぬいぐるみを誠磨に手渡す。
「ありがとうございます」
「ミユリちゃんさっきはごめんね~、また今度おいしい物食べさせてあげるから、いつでもうちにおいでね」
「うむ」
「今日は色々とありがとうございました、ではまた」
「は~い、またね~」
誠磨達が部屋の扉を開けて入っていくのを、粕寺がその場で手振って見送る。
「……はぁ、今日は色々と失敗かな~。薬ちゃんと飲んだんだけどなぁ」
そうして二人は帰宅後、ミユリは靴を脱いですぐリビングへ向かって真っ直ぐ歩いていった。
「ってお~いミユリ~! 先に手を洗ってから中へ入れ~!」
誠磨の言う事には耳を貸さずそのまま床に置いてあるプニィの巨大クッションへダイブした。
「全く……後でちゃんと手を洗えよ~?」
「……」
ミユリから返事が無いどころか、ダイブしてから身体がピクリとも動かなかった。
「ってミユリ!?」
慌てて傍へ駆け寄って横顔を確認すると、目は閉じていて静かに寝息を立てていた。
「……はぁ、なんだよここに来てビックリさせんなよ~もう! ただでさえ今日色々とドッキリさせられたんだからさぁ……、まぁ色々疲れただろうし仕方ないけど」
誠磨は全身を一気に脱力させてそのまま布団へ仰向けに寝転んだ。
「……クススッ」
「ん? 今ミユリ笑ってなかったか?」
誠磨は不審に思ってふと起き上がってミユリの方を確認した。
「……す~っ……す~っ……」
「気のせいか」
「クススッ」
「って、やっぱり起きてるだろ!」
「うるさい、騒ぐでないわ無礼者」
「いや無礼なのは間違いなくお前だ、早く手を洗ってこい」
「い・や・じゃ、もう身体が動かん」
「じゃあ今日の夕飯抜きな」
「卑怯じゃぞこの薄情者がァ!!」
「いいからさっさと洗ってこい!! バイ菌で身体悪くなっても知らねぇぞ!?」
「バイ菌……」
ミユリはそう呟いた後、急に起き上がってスタスタと洗面所へ歩いていった。
「(急に素直になったな……、まぁ凡そあのバス停で待ってる時の動画を思い出したんだろう。あれバイ菌じゃなくて貝なんだけど……まぁこれもある意味勉強かな)」
その後、二人は夕飯を済ませて就寝時間までミユリはモニターに向かってゲーム、誠磨はノートパソコンでミユリについて調べ物をしてその日の長い一日を終えた。
つづく
~誠磨達と別れたその後~
「はぁ……よっと」
誠磨達を見送ったスピルは自分の荷物を抱えて立ち上がり、汗だくになりながら自宅へ向かって歩いていった。
「流石に人前では出来ないし、乗り物を使うには微妙な距離だし歩くしかないんだけど……暑いなぁ」
猛暑による手汗で何度もぬいぐるみのビニール包装が滑り落ちかけるが、服の裾で手を拭いたり心もとない握力に頼りながら何とか小さな屋敷へと到着した。
「はぁ~しんど、もっと楽なのを選べばよかった……」
門の鍵を開けて中へ入り、自宅の鍵を鍵を開けるのにかさばる荷物で少し苦戦する。
「あぁえっと~鍵どこに閉まったっけ~……普段着ない服だからどこにポケットあるか分からないよ……」
少しの間自分の服をまさぐっていると、自宅の扉が空いた。
「何やってんのよ家の前で」
「姉さん……」
「そんな汗だくで突っ立ってられても困るんだけど、早く入ってくんない? あとすぐにシャワー浴びなさい臭いから」
「ちょっとやめてよそんなこと言うの!」
わざとらしく鼻を摘まむピルカが扉を押して全開にし、すぐさま部屋の奥へと歩いていった。スピルもその後を追って中へ入る。
「じゃあ姉さん、荷物ここに置いておくから」
「はいはい」
ピルカは消臭スプレーを片手に荷物へ吹きかけ、それを一瞬だけ見据えてからスピルは風呂場に入った。
そして風呂を済ませて落ち着いたスピルはリビングを直進し冷蔵庫から買い置きのピーチ・オレ・ソ~ダと書かれた薄黄色の飲料水を取り出して喉へ通した。
するとソファーで仰向けに寝そべりながらノートパソコンを弄るピルカが気だるそうに話しかけてきた。
「で、そのデカいぬいぐるみは何?」
「お土産だよ、姉さんの……こういうの好きでしょ?」
「まぁそうだけど、あの男には触れさせてないでしょうね?」
「大丈夫だよ、言わなくても姉さんなら分かるでしょ、どうせ見てたんだから」
「まぁね~、アンタがいちいちあの男に反応してキャピキャピしてるのとかさ」
「してないよ!」
「あの女に取られそうになった時のアンタの顔が一番面白かったわ」
「……もういいよ、ぬいぐるみあげない」
「分かった、分かったから今日の夕飯の当番代わってあげるから!」
屋敷の広い空間にたった二人の声だけが交錯する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というわけで、本編に差し込めなかった部分をここへ載せておきました。思ったより長くなってしまいましたが、今後も誠磨以外のタイミングや長さ的に差し込めそうにない部分を時々ここへ載せていこうかなと思います。
ではまた次回、来週の金曜日をお楽しみに!




