第3話:偶然の出会い
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教室に向けて歩いていると、周りの女子の視線が雅瑠に……。さすがは雅瑠だね、歩いてるだけで視線を集めるなんて。僕には無理だな〜。
「ん? 憂? ど〜した?」
「え?」
「俺の方見ながらボッーっとして……。 俺、なんか変か?」
「い、いや、そ〜ゆ〜んじゃなくて、ただ雅瑠はいつも注目を浴びてるな〜と思ってさ。」
どうやら僕は、雅瑠の方を見ながら考えたみたいだ。
「そうか? 俺は、全然視線なんか感じないけどなぁ。」
す、すごい!これだけの注目を浴びながら、何も感じないなんて!やっぱり慣れなのかな?もしそうなら人の慣れって凄いな……。
「雅瑠……。あんたって鈍感なんじゃない?」
楓が呆れながら突っ込んだ。
「俺は鈍感じゃないぞ。 お前等が周りを気にしすぎなんだよ。」
「はぁ〜。 もういいわ。」
「失礼な奴だな〜。」
そんな感じで、みんなで仲良く会話してたら、いつの間にか教室の前に着いていた。
「ここが、僕たちの新しい教室かぁ。」
「憂、こんなとこで突っ立ってないで、さっさと入ろうぜ。」
教室の前で心の準備をしてると、雅瑠に早く入るよう促された。
「そうだね。」
ガラガラガラ
そして、扉を開けると……、中はとても静かだった……。一瞬誰もいないのかと思ったけど、人は半分以上いた。人がいるのに、なんでこんなに静かなのかな〜と考えていると
「さすがに初日なだけあって、話してる奴は1人もいないみたいだな。」
「なんで?」
疑問に思っていたことの答えを、雅瑠は知ってるみたいだから聞いてみた。
「なんでって……。 っんなもんお前、周りは知らない奴ばっかりなんやから、いきなり話してる奴なんかほとんどおらんやろ。」
「あっ、なるほど。」
「そんなことはいいから、早く自分の席に行きましょ。」
「そうだね。」
「そうだな。」
疑問が解けて、すっきりした気分で、自分の席を探して向かっていった。
「ここが僕の席か〜。 いい場所ゲットかな♪」
僕の席は窓側の一番後ろだった。さて、周りはどんな感じかな〜。
「よう、憂。」
いきなり、横から呼ばれた。横を見てみると、そこにいるのは雅瑠だった!
「あっ、雅瑠! 隣は雅瑠なの?」
「そうだぞ。 これからもよろしくな!」
「うん! こちらこそ!」
なんと隣は雅瑠だった。なんかさい先良いな〜。これなら高校も大丈夫そうだ。
それから、しばらく雅瑠と話していると……
キーンコーンカーンコーン
ガラガラッ
チャイムが鳴り終わると同時に誰か入ってきた。
「おーい、お前等、席に着け〜……って、既に全員座ってるのか。」
入ってきた人は、どうやら担任のようだ。
「よし、お前等、今からあの、無駄に長くて意味のない校長の話を聞きに、体育館に行くぞ〜。」
……先生。事実でも先生がそんなこと言ったらダメでしょ……。
「憂、寝に行こうぜ。」
「雅瑠……。 少しは話聞こうね……。」
「無理だ。 あれは絶対、眠らすためにしゃべってるんだから。」
「気持ちはわかるけどさ、少しは聞こうね。」
「善処する。」
「はぁ〜。」
既に雅瑠には言っても無駄のようだ……。
「あんたたち、早くしなさいよね。 もうみんな行ったわよ。」
楓に言われて周りを見ると……。ほんとだ……。誰もいない……。
「は、早く行こ! 雅瑠、楓。」
「おう。」
「わかってるわよ。」
それから、僕たちは急いで体育館に向かった。
体育館で、校長が長々と話をしている最中、僕は暇だったので、周りを見ることにした。
あっ、雅瑠発見。やっぱり、既に寝てたか……。楓はど〜だろ?楓、楓、かえ、あっ、いたいた。ん〜あいつは起きてるみたいだけど……。なんだか、すごく暇そうにしてる……。ま〜いいや。あ〜早く校長の話終わらないかな〜。
校長の長い話も終わり、僕たちは今、教室に戻っている途中だった。
「雅瑠さ、結局最初から最後まで起きなかったね。」
「うむ。 俺も頑張ってみたが、やはり無理だった。」
「頑張ったって……。 雅瑠、しゃべりだすのと同時に寝たでしょ……。」
「そんなことないぞ。 ちゃんと10秒は起きていたぞ。」
早!?寝るの早!?もう寝始めた時間よりも、寝るのにかかった時間が短すぎて、そっちの方が驚きだ……。
「雅瑠……。 あんたすごいわ……。」
楓も、雅瑠の寝るのにかかった時間が短すぎて驚いて
「まさか最後まで寝続けるなんて……。」
なかった!あれ!?そっち!?確かにそれも驚きだけど、寝るのにかかった時間には驚かないの!?
「か、楓? 寝るのにかかった時間には驚かないの?」
「え? 10秒で寝たんでしょ? 別に驚かないわよ。」
あ、あれ?おかしいのは僕なの?僕だけなの!?
「ふっ、俺にかかればあれぐらい楽勝さ。」
「威張ることじゃないわよ……。」
うん。威張れることじゃないね。
「よ〜しお前等、今から出席取るぞ〜。」
先生が出席を取ろうと、名簿を出した時に……
ガラガラガラ
「お、遅れてすいません!」
誰か入ってきた。え!?今頃!?かなり遅いよ……。誰が遅刻したのかな〜……って!あの人、朝ぶつかった人じゃん!
「……おい。 なんで今頃来た。 せめて理由を聞いてやろう。」
うわ〜、先生理由を聞くとか言ってるけど、全然許してあげる気ないでしょ……。
「あの……、お恥ずかしながら、み、道に迷ってました……。」
え!?あの人迷ってたの!?だからあっちの方に進んでいたのか……。
「バカ野郎! 通う学校の場所ぐらい、ちゃんと覚えとけ!」
「す、すすすすいません!!」
うわっ!怖!
「はぁ〜。 今回だけは許してやるが、次ないからな。」
あれ?あの先生、怖いけど根は優しいのかな……?
「さて、今度こそ出席取るぞ〜。」
そして、今度こそ出席を取り出した。
「よし、ちゃんと全員出席してるようだな。 遅刻者一名を除いて。」
「うぅ……。」
「さて、今日のHRはまず自己紹介をしてもらう。」
きたよ、自己紹介。僕こ〜ゆ〜の苦手なんだよね〜。
「それじゃ、出席番号一番から順に頼む。」
「はい。」
そして、一番から順に、自己紹介が始まった。
「次、柿腋。」
「あっ、はい。」
さて、なんと言おうかな。ここは、当たり障りのないことでも言って、無難に終わらせるか。
「えと、僕は柿腋憂って言います。京王中学出身で、趣味は
「あっーー!」………。」
「あなたは今朝の親切な人!」
なんたが、すごい嫌なタイミングでバレてしまったようだ……。
「なんだお前等、知り合いか?」
「知り合いと言うか、朝登校中にぶつかっただけです。」
「……おい、柿腋。 なんでその時にこの遅刻者を連れて来なかった。」
「そんなことできませんよ! あの時、この人が迷ってるなんて知らないんですから。」
「むっ、確かにな。」
全く、この先生はいきなり何を言い出すんだか。僕だってあの時、迷ってるのを知っていれば連れてきたのに……。
「とりあえずだ、柿腋。 自己紹介を終わらしてくれ。」
「あっ、はい。」
とは言ったものの、すでに最低限の、言うことは言ったしな〜。
「皆さん、これから一年間、よろしくお願いします。」
パチパチパチ
拍手をされたみたいだから、そんなに悪くないだろう。それからどんどん進み
「次、遅刻者。」
「はい。」
相変わらず、呼び名は遅刻者なんだね……。
「私は、波場白茉莉って言います。私は、他県の中学から来たので、この辺りの地理には疎いですが、よろしくお願いします。」
あの時ぶつかった人は、波場白さんか。それにしても、波場白さんも顔、綺麗だな〜。僕の周りは整った人が多すぎるから、普通の僕がすごく目立つんだよな。それからしばらくして、全員の自己紹介が終わった。
「よし、これで全員だな。」
「先生、まだ私たち、先生のこと教えてもらってませんけど……。」
終わりそうになってから、楓が質問した。言われてみるとそうだな……。
「あれ? まだだったか。 俺は笹堂桂、担当教科は数学だ。 一年間よろしく頼むぞ。 それじゃ、今日のHRは終わり! みんな、帰っていいぞ。」
ふぅ、いろいろあったけど、とりあえず今日は終わったな。さて、帰るとし
「あの〜。」
ようかなと、思った矢先に誰か来たよ。誰かな?って、波場白さんじゃないか。
「波場白さん、どうかしたんですか?」
「あの、朝ぶつかった人ですよね? 今朝はありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそすいませんでした。」
「えと、敬語はなしで良いですよ。」
「うん。わかった。 あっ、そうだ波場白さん。 今朝はなんで迷ってたんですか?」
「わ、私、方向音痴なもので……。」
あれは方向音痴って言葉だけで済ませれるのか?
「迷ってたんなら、僕たち同じ制服着てたんだし、付いてこればよかったのに。」
「………。」
「も、もしかして気がつかなかったとか?」
「はい……。 すいません……。」
波場白さんって、おっちょこちょいなのか……?
「おーい、憂ー。」
いきなり扉の方から、僕の名前が呼ばれたので、そっちを向くと、楓と雅瑠がいた。あっ!今日は菫も一緒にみんなで帰るんだった!
「ごめん、波場白さん。 僕、これからみんなで帰らないといけないんで。」
「あっ、引き止めてしまってすいません。 それでは、また明日。」
「うん、また明日ね。」
波場白さんとさよならをして、急いでみんなの所に戻った。
「さてと。 あとは菫ちゃんだけか。 んじゃ、とっとと合流して帰るか。」
「そうだね、行こうか。」
雅瑠に返事をして、みんなで歩き出した。
校門前には、すでに菫が待っていた。
「憂兄遅い。」
「ごめんごめん。 さっ、帰ろ。」
そして、僕たちは高校を後にした。