キセキ
言葉を紙に書き写し
セービーの前にキセキの板を置く。
セービーは、心を落ち着かせるように
ふっと一息吐くと、右手を板へ伸ばす。
あの時見たような
黒く禍々しい渦は出てこない。
キラキラと白い光が、右手から板へと移動する。
しばらくすると、板が小刻みに揺れ始め、パンッと二つに割れてしまう。
そのまま魔力を与え続けると、板が二つとも元の大きさまで戻った。
『おぉ!』
『これ、スゴいんじゃない?!』
『うん!セービーどうでした?』
『うむ。手応えあったな』
『さっすがセービー様ぁぁぁ』
抱きつく寸前、またセービーから衝撃波をプレゼントされ
どさりと倒れこむ。
『何か、字をかけるくらいのこれくらいの入れ物、壺でも箱でもいいんだが、用意してくれるか?』
セービーが両の掌で丸を作る。
『それならワシが』
ボブロが部屋を出る。
俺は、二つになった板を手に取った。
『あ』
『どうしたの?』
『見て!字が』
俺が掲げた二つの板には、同じ字が書いてあった。
『割れたのに、戻ったの?!』
『ばっちり再生してますね!』
『あぁ、成功して良かった。ジャンの大切な板だからな』
『セービーの魔法は本当にスゴいよ!』
俺は思わず、そう親友のカッシィにするかのように
セービーに抱きついた。
『…ちょ!ジャン!』
『え?!あ、ごめ…すみません!』
慌ててセービーから離れる。
『つい癖で』
『あ、いや。…だいじょ――』
『見~た~わ~よ~!私もまだ抱きついた事ないのにっ!セービー様に何してんのよっ!』
いつの間に起きたのか
凄い形相のホーマが仁王立ちしていた。
『げ。ホーマ…。お、おはよ』
『許さんッッッ』
飛び掛かってくるホーマの迫力に圧倒され、思わず部屋から逃げ出す。
『待たんかいコラーー!』
『ご、ごめんなさい!』
その二人のやり取りを、特に見やるでもなく
セービーはただぼーっと座っていた。
サトの目に写ったその姿は
まるで初な少女のようだった。
(…もしかしてセービー…)
その問いを
サトは息と一緒に飲み込む。
『セービー、大丈夫?』
いつも通りの笑顔で、優しく肩に触れた。




