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セービーの元へ(5)



俺は小さな袋を出した。


『さっき、ちょっと森に行って捕まえてきたんだ』


袋の口を少し開けると、中でもさもさと黒い物が動くのがわかった。


『魔物か?』

『そうです。で、この板を近付ける』


ポケットから【言葉の板】を取りだし、ゆっくりと袋の口へ近付ける。


魔物がより一層、バタバタと逃げるように騒ぐ。


しかし、怯まず袋の口へ板を近付ける。


すると、途端に袋の中が静かになった。


『あれ?』

『魔物は?!』

『…やっぱり!』


俺は板を置くと、袋を開けてみる。


魔物はいなくなってた。


『もしかして、いなくなったの?』

『うん。この板が吸ったんだ!』

『え?!板が!?どういう事よ?』

『あの屋敷で、この板をかざしながら歩いてる時、不思議な感覚だったんだ。魔力が、この板を避けてた』

『それで?』

『なんだろ、俺達もさ、怖い物から逃げるじゃん?魔力にとって、このキセキは怖い物なのかな?って思ってさ』

『…なるほどな』


セービーは一人頷く。


『ちょっと~!よく分かんな~い!』

『キセキの何が怖いのかな?って思ってさ。それで、もしかしてキセキって、魔力を吸うんじゃないかなと思ったんだ』

『キセキが?』

『そう。サトの使ってる矢じりって小さいでしょ?だから、吸える魔力の量は小さい。だから、魔物は生きる為の魔力を吸われて、実体を残したまま倒れる。でも、ここまでの大きさの板になってると、ある程度の魔力を吸えちゃう。だから、魔物ごと消えたんじゃないかな』

『ほほぅ。なるほど』

『で、このキセキが魔力を吸えちゃうならさ、このキセキを使って魔力を集められないかな!?』

『それいい!』

『それが出来たら、セービー殿の魔力を吸収する時間も短縮出来るかもしれんな』

『うん。でも、色々と問題点もあると思うけど』

『なになに~?』

『キセキが少ない事。それと、キセキが魔力を吸えたとして、そこから私がどうやって魔力を補充出来るか。こんな所か』

『うん。まずは、何事もチャレンジだと思う。セービー、いいですか?』

『…もちろん。協力する』


◇ ◇ ◇


その日は、サトの提案で

セービーを休ませる事にした。


次の日、セービーはかなり回復していた。

前の日は、いつも通りの方法で、魔力を補充したみたいだ。


『まず、キセキの入手方法なんだけど…』

『一つ、考えたんだが』


セービーが口を挟む。


『サトの村に、キセキを入れておくと増える壺があると言っていたな』

『うん、あるよ』

『その壺には、魔法がかけてあるとは思うのだが、一体どんな魔法か、昨日一晩中考えてみた』

『昨日くらいゆっくりすればいいのにぃ~!セービー様って本当に素敵♪』


セービーが冷たい瞳でホーマを一瞥する。


『…氷みたいだわっ』

『…まぁ、ね。聞こ』


最近、ホーマをなぐさめてばかりな気がする。


『ふと思い至ったのは、娘の事だ』

『ん?』

『え?』

『娘~!』


またホーマが気絶した。

そのままにしておこう。


『な、なんで?』

『あ、いや。元気かなとかそういう意味ではなくてな。私達アヴェルの首長は、代々自分の分身である娘を創るんだが、その壺にも、中に入ってる物の分身を作るような魔法がかけてあるんじゃないかと思ってな』

『お、なるほど』

『確かにそれはありそうかも』

『どんな魔法で、セービーは娘さんを作ったんですか?』

『あれは、正確には再生魔法というんだ。人の持つ遺伝子、まぁ細胞を取り出して、そこに魔力を与える。そして、魔力によって細胞を再生、成長させるのだ。だから、凄まじい量の魔力が必要になる』

『…そっか。でも石に細胞って?ある?』

『ない』

『わぁお!手詰まり~』

『お主、いつの間に起きたんじゃ?』

『セービー様が、再生魔法の話始める所から♪』

『気絶しといていいのに。煩いし』

『なぁに?焼きもちは見苦しいわよ~?』

『はぁ?焼きもちじゃないし!』

『まぁまぁ。セービーの話聞こうよ!で、石に細胞がないなら、その再生魔法は使えないんじゃ…?』

『うむ。だから、石に細胞みたいな物を持たせるのはどうかと思ってな』

『石に細胞…?』

『魔物を吸収したキセキなら、石に魔力が入っている。その魔力に魔力を与えれば…』

『…なんか』

『増えそうかも?』

『物は試しにやってみるかのぅ』

『あ、じゃあさ、俺の持ってるキセキ、昨日魔物を吸収したし、使ってみる?』

『ばっ…!もし失敗して、その板が消えたりしたらどうするんだ?!』

『大丈夫でしょ?セービーを信じてますから』

『うん、きっとセービーなら大丈夫』

『セービー様の魔法はスゴいから♪』

『…そんなに期待されてしまうと』

『まぁ念の為、この言葉は紙にでも写しておけば良かろう』


ボブロが紙をヒラヒラとさせ、優しく微笑んだ。

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