セービーの元へ(4)
セービー様ぁぁぁぁ!と
泣きながら駆け寄るホーマに
セービーは容赦なく、右手から衝撃波を出し吹き飛ばした。
『ひ、ひどひ…』
『うむ。すまん』
『…なんかセービー、激しくなってません?』
俺は苦笑いしながら、セービーの顔を覗きこむ。
『私を助けてくれたと聞いたが』
『あ、これのお陰です』
腰のポケットから【言葉の板】を取り出す。
『これって、魔物を弱らせるキセキで出来てたんですよ!』
『そうなのか…』
『それでセービーの出してた魔力に対抗出来るかなと思って…?』
セービーは俯き、持っているカップの水面をじっと見つめている。
『あ、もしかしてまだ…体調万全じゃ…ない、ですよね?』
『いや、その。途中から記憶がなくてな…。助けてくれたのに、何があったのかも覚えてなくて。申し訳ない』
『そんな!セービーが謝る事じゃないよ!』
サトが慌ててセービーに駆け寄る。
『私達も、何が何だか分からないまま、セービーの所へ行けたの。本当にラッキーだったと思う。もしセービーさえ良ければ、あの男の屋敷で何があったか教えて?』
『辛い事だったら、無理に話す必要ないからねっ』
『いや、大丈夫だ。それは大したことじゃない。それより、私の記憶がない間、何があったか教えて欲しい』
◇ ◇ ◇
セービーの話で、ゾディアがセービーを飼おうとしていた事がわかった。
やはり、ゾディアが女をさらっては売っていたという噂は、かなり真実味がありそうだ。
セービーの話では
俺達を闘技場へ案内した陽気な男が、セービーの監視役だったらしい。
『そいつは多分、保安隊の一番隊長ケントじゃろ』
静かに部屋に入ってきたのは、ボブロだ。
ゾディアの事を調べに出ていた。
『お帰り!』
『元気そうで良かった、セービー殿』
『色々と助けていただき、ありがとうございます』
静かに頭を下げる。
ボブロが手を軽く振る。
『いやいや、当然の事をしたまで。ところでそのケントじゃが、いなくなったみたいじゃ』
『え?!』
『…もしかして魔力に吸い込まれた…?』
俺の呟きを、セービーは聞き逃さなかった。
『私は、魔力を放出していたのか?』
『なんじゃ、記憶がないのか?』
ボブロが驚く。
『多分…そうだと。屋敷中に魔力が充満して、とても近付ける状況ではありませんでした。アヴェルで見た魔力を補充する部屋に似てました。でも、何て言うかもっと、邪悪な魔力でしたけど』
『邪悪な…』
『屋敷の中も周りも、気の流れが荒れてるって感じで』
『一体、何をしたんですか?』
セービーは水を一口飲むと
『古い魔法を使ったんだ。緊急で魔力を補充する方法を。何かリスクがあった気はしたが、身の危険を感じて、やむを得ずな。そこまでのリスクがあるとは…思わなかった』
『そっか、そうだったんだ』
『…魔力不足で、動けなかったんですもんね』
『仕方ないわよ!じゃないと、セービー様が何をされてたか!』
衝撃波のせいで、鼻の頭が真っ赤なままだが
ホーマはちっとも気にしていないようだった。
『しかし、魔力を効率よく補充出来る方法でもないとなぁ。またあんな事があると、色々と大変じゃからのぅ』
『…もっともだ。なにかしら手を打たねば』
『あ、俺、その事でちょっと思った事があるんですけど。調べてもいいですか?』




