セービーの元へ(2)
『それって…』
サトが板に気付く。
『もしかしてその板って…キセキで出来てる?』
『キセキ?』
『そう、キセキ。私達が魔物を倒す矢じりに使う石なの。キセキに触れると、魔物が弱るんだ。キセキに色味似てる』
『キセキ…』
俺はハッとして、扉を見つめる。
『ねぇサト。キセキの矢じりって今ある?』
『え?あ、さっきホーマが作ってくれた矢じりに、キセキの粉練り込んだって…』
『じゃあさ、ちょっと一本射ってくんない?』
『え?どこに?』
『あそこ』
指差したのは、渦が這い出た扉。
『えぇっ?!吸収されたら結構困るんだけど…』
『大丈夫だよ。無機物は襲わない』
『…そうなの?』
『…うん』
『目泳いでるけど?』
『…平泳ぎ?』
『バカ!もうっ』
サトは渋々、腰から矢を一本取り出すと
手慣れた動きで弓へ掛け、あっという間に放った。
あまりに自然に。
流れるように。
サトの放った矢が
渦へと刺さる。
すると、俺が思った通り
渦は矢から逃れるように
するすると離れていく。
『あ、渦が!』
『矢を避けてる』
確信した俺は、言葉の板をギュッと握りしめ
ゆっくり扉へ近付いた。
『お主、何する気じゃ?!』
『これ』
板を見せる。
『これがキセキで出来てるなら…』
『危ないわよっ!』
ホーマの制止を聞き流し
板をゆっくりと扉へ近付ける。
魔力の渦は
板を避けるように逃げていく。
『道が…!』
手を伸ばし、板を突き出した先に
少しずつ道が出来る。
『…行ってきます』
俺はゆっくりと
屋敷の中へと入った。




