表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/35

近づく危機(4)

『はじめまして』


茶色い髪は、少し毛先が巻いていて、耳の下ぐらいの長さ。

口の上には茶色い髭。

肌は白く、目はつり上がっている。


確かに“初めまして”の顔だ。


『…何用だ。用があるなら声を掛けてくれれば、話くらいは聞いたぞ』

『これはこれは。綺麗なお顔立ちには似つかわしくない喋り方ですねぇ』


男はゆっくりとセービーに近付く。


『お名前を伺っても?』

『まずはそちらが名乗るのがスジだろう』

『あぁ、それもそうですねぇ。失礼致しました。私は、ゾディアと申します。バスラではちょっと名の知れた者です』

『…そうか。来たばかりでな。貴様のことなど全く知らないが、許してくれ』

『オホホホホ。これから覚えて頂ければ』


口に手の甲を当てて笑う。


ホーマとは種類が違う。

丁寧な口調の中に薄気味悪さを感じていた。


『それで、お名前は?』

『名乗るほどの者ではない』

『オホホホホ。そうきましたか』


ゾディアは、大股でセービーへと近付く。

カツカツと、靴底が鳴る。


おもむろに、セービーの顎を掴むとぐいっと顔を持ち上げる。


『まぁ、私が名前を付けてあげましょう。これからあなたは、私に飼われるのですから』

『…家畜ではないんだがな』

『オホホホホ。家畜よりは優雅な生活をお約束しますよ?』


ゾディアはすっと顎から手を引き、また大股でドアへと戻っていく。


『今日からあなたは、シフォにしましょう』


ゾディアが指を鳴らすと、足音が近付いてくる。


『私が戻るまでシフォを見張ってなさい』

『…はいはい。かしこまりました』


ゾディアと入れ替わりに部屋へ入ってきたのは


あの陽気な男だった。


◇ ◇ ◇ ◇


耳に突っ込んだ小指をぐりぐりと動かしては、取り出してふぅと吹く。


陽気な男は、暇そうにしながらも部屋から一歩も出ない。

かれこれ一時は椅子に腰かけて、ずっと耳掃除をしている。


セービーはさすがに息が上がるのを隠しきれなくなっていた。


『なぁ。もしかして、腹減ってる?それとも具合悪いの?』

『…なんでもない』

『だって、苦しそうじゃない?』


陽気な男がベッドへ近付く。

セービーは座ったまま倒れこむように、ベッドに伏せていた。


『ちょっとちょっと~。死ぬのは困るよ?薬とかあるの?』

『薬…は…、ある…』

『なになに?この箱の中~?』

『…あぁ』

『ちょっと開けるよ?』

『まっ!…待ってくれ。女は荷物を漁られるのを…嫌うだろ?自分で…』


少し手を伸ばし、すがるような目のセービー。


『…それもそうだな』


陽気な男が、箱をセービーへと渡す。


『…水を…水をくれないか?』

『はぁ。本当に面倒臭いな~』


陽気な男は、頭を掻きながら重い足取りで部屋を出た。


この部屋を魔力で満たすほど、もう自分の中に魔力が残っていない。

だが少しでも魔力を補給しなければ立つことさえ出来ない。

すでに座ってる事も危うい。



どうする?

どうすれば?



セービーの頭の中に、昔読んだ魔術書が次から次へと浮かぶ。

かなり古い魔術書のページを頭の中でめくる。


確か、緊急性の高い時に使える魔力の補給方法が書いてあったはず…


何かしらのリスクがあったような気もするが、今はそんな事を気にしている場合ではない。


必死にページをめくっていると

ピタリと、あるページで止まった。


『あった…』


セービーは最後の力を振り絞り、箱を持ち上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
読んで頂きありがとうございます。
↑クリックして頂けると嬉しいです。作品作りのモチベーションになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ