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ジャンvsボブロ

更新遅くなってすみません。言い訳を活動報告に書かせてもらいました。

『うん、やっぱりキレイな姉ちゃんと一緒に食う飯は格別じゃのう』


次から次へとテーブルに運ばれてくる料理。

脇汗が尋常じゃない俺。大丈夫だよな…?


『で、ボブロとやら。腹は満たされたか?』

『ふむ。まぁまぁじゃな』

 

な、なにがまぁまぁだ!

どんだけ食ったと思ってる!

大体『タダ飯食えるぞ~』って周りの仲間に声掛けてんじゃねぇ!

お陰でこの店は、スラムの者達でごった返していた。

じいさんじゃなけりゃ、一発ぶん殴ってる所だ。


俺がテーブルの下で握り締めている拳にセービーが気付き、そっと優しく包んでくれる。


『先程の質問だが古い言葉を知らないか?もしくは、先祖代々伝わる言い伝えみたいなものを聞いたことはないか?』

『うーん、どうじゃったかのぅ~?』

『ちょっ!』


身を乗り出した俺を、セービーが片手で制す。


『急に現れた私達を信用出来ないのは、十分に理解できる。しかし私達、特にジャンにとっては、人生を掛けるほどの大切な事なのだ。遠い村からここまではるばる旅をしてきて、やっと貴方にたどり着いたのだ。それを汲んでやってはくれぬか?』

『ふぅん…』


ボブロは、俺を値踏みするかのように、上から下までじっくりと眺める。


『…ジャンやったかの?』

『あ、はい』

『ワシは一応武人の端くれじゃ。やはり強い者に仕えたいんじゃ』

『いやその、仕えてもらおうとかじゃーー』

『わかっとるわ。しかしな、お前さんは自分の秘密みたいなモンをな、今日会ったばかりの知らん顔にホイホイ話せるか?』

『…話せ…ません』

『そうじゃろ?それはワシも同じじゃ。だがな、今回はこのキレイな姉ちゃんに免じて、兄ちゃんにチャンスをやろう』

『チャンス…ですか?!』

『ワシと戦え。ワシに勝ったらなんでも話しちゃる』



◇ ◇ ◇ ◇


気が進まない。


こんなヨボヨボのじいちゃんと戦うなんて。


『こんな老いぼれと戦うのは気が引けるか?』

『ふえ?!』

『兄ちゃんはまだ若いのぅ。思てる事がぜーんぶ顔に出てるぞ』


セービーと同じことっ(ガーン)

咄嗟に顔を触りながら、セービーへと視線を向けると


苦笑いしていた。


俺ってそんなに分りやすいのか… 

別に悪い事じゃないんだけど、なんで地味にショックなんだろ?


『まぁまぁ兄ちゃん。あんまり気にするでない。じゃあ勝敗の確認じゃ』


お店の前、テーブルを少し隅に寄せてもらって作った小さなスペース

そこで俺達は対峙していた。


『ワシの剣を手から落とす事が出来たら兄ちゃんの勝ちじゃ』

『ボブロさんの勝ちは?』

『うーむ、そうじゃな。…じゃあ兄ちゃんをボコボコにして動けなくしたら…でどうじゃ?』

『え!?』

『…なんじゃ?ワシにはボコボコにされん自信があるのかのぅ?』

『いや…』


ボブロの腰に下げられた剣へと自然と目がいく。


『ふぉっふぉっ。もちろん、剣は使うが命まではとりゃせん』


そんな事が出来るのか?

ものすごく疑問だ。

正直俺は、実戦も初めてなら

剣士を相手にするのも初めてだ。

俺の村に、剣術を知ってる人なんていなかったしな…


『じゃあ始めるとするか』


ひどくのんびりと告げられた始まりの言葉。

ボブロが腰に下げられた剣に手を掛ける。鞘から剣を引き抜く前に、俺は一気に間合いを詰めた。


さっき闘技場で見た感じだと、剣は長さがある分、間合いが必要そうだ。

でも俺の使う体術は、相手の懐に飛び込んで、投げたり押さえたりするのが基本。

まずは自分の間合いに持ってくるのが大事だと直感的に思った。


ボブロの懐に入り、服の襟を掴み投げる。


ーー本当に投げて大丈夫か?


一瞬、頭を過った。

迷いで力を入れるのが数秒遅れる。


ボブロはその数秒で、ヨボヨボの年寄りとは思えない機敏なスピードで剣を引き抜いた。

そして、柄で俺の脇腹をしたたか殴り付けた。


周りの取り巻きも、そんなボブロを初めてみたようで『おぉ~』と感嘆の声が上がる。


痛みに崩れた俺の背中を、容赦なく肘で追撃する。


『ぐっ』


息が詰まり意識が飛びそうになる。でも握った襟だけは放さない。この間合いだけは崩したくない。


しかし状況は圧倒的不利。


続けざまに剣の柄で背中へ執拗に打撃を受ける。                

『ガハッッッッ』

『…しぶといのぅッッッ』


これが本気の戦いか…

手加減のない攻撃というのは、的確で無駄がない。


ほぼ無意識に、握っていた襟を引き、体を丸め、空いていた左手でボブロの足を跳ね上げる。


思った以上にボブロは飛んでいった。


ガシャーーーン

避けていたテーブルに盛大に突っ込む。


『おぉ~』


上がる歓声。

気付けばギャラリーも増えている。

 

セービーはハラハラしていた。


たった数分、もしかしたら数秒の戦いだが、やはり経験の違いは露骨。

いくら年を取っているとはいえ、実戦経験のありそうなボブロには、無駄も慈悲もない。


しかし、ジャンはどうだ。


よく言えば優しい。

ハッキリ言えば優柔不断。

戦いに迷いがあるせいで、隙が出来ている。


その迷いは明白。

【こんなお年寄りと戦っていいのか】


一番根本的な部分に迷いがあるせいで動けない。


この投げは、ほぼ無意識だろう。

自分の体が危ないと本能的な動きだろう。

その証拠に追撃すべきなのに、また一歩動きが遅れた。


その間に、ボブロはひょいと立ち上がり、少し腰を擦りはしたが、剣をサッと構えてしまう。 


体勢が整ったところに、おあつらえ向きに胸元へと飛び込んでくるジャン。


『危なっ…』


セービーが察した通り、ジャンの少し丸めた背中に向けて、ボブロの剣が振り下ろされる。


鮮血が…


誰もがそれを予想し、ある者は手を挙げ歓び、ある者は目を覆う。


『…ぅはっ』


しかしジャンは血を撒き散らす事なく崩れ落ちた。


そのジャンに容赦なく剣を振り下ろす。


『な、なんだ?』

『何で血が出ねぇ?』


闘いの街にいる者だからこそ、相手に致命傷を与えない不思議な剣にざわついていた。


ジャンも必死に手を伸ばし、無様でも剣を奪い取ろうと諦めない。


しかし、ボブロはその手を踏みつけ剣を振り下ろす。

その攻撃は初めての斬撃。


『うわぁぁぁぁ』


ジャンの咆哮にセービーも思わず顔を背ける。


そして迷う。


魔法を使えば助けられる。

しかし、この聴衆。

記憶を消すにも多すぎる。消費する魔力を考えると、動けなくなる可能性が高い。


命までは取らないとは言っていたが、戦っているうちに高揚してしまったら…


『腕一本ぐらいはえぇじゃろ?』


ボブロは不敵に笑う。


ーーこんな事なら、奥義習っとけば良かったな…

ジャンは唇を噛む。血の味がじわりと滲む。


不敵に微笑んだまま、ボブロは足で押さえたジャンの左腕目掛け、剣を振り下ろす。


考えてる余裕はない


セービーは腹をくくり、右手を前に出す。



その瞬間

        シュン 


空気を切り裂く軽い音。


間髪おかずに、からーーーんと転がる剣。


呆然とする観衆。

唖然とするセービー。


『…なんじゃ?!』


キョロキョロと周りを見回すボブロは、立ち上がった女に目を留める。


『…はぁ良かったわ~』


女の隣にいたガチムチな男が安堵の声を漏らした。

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