表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/41

第四十一話


 一方、セルフィは白鳳学園近くにある、中華飯店にて、ため息を付いていた。


 その仕草は、どことなく姉に似ているが、何の料理を食するワケでも無く、一人、案内されたテーブルに座っているだけだった。


 だが、今はその事が彼女の『仕事』だった。


 「すまないヨ、君の仕事に便乗しちゃって…」


 店主のヨウは、謝りながらお茶を差し出してきた。


 「構うことは無いわ。


 地域の安全を守るのは、治安部として当然の義務よ。


 それに…。


 外であの人を待つより、ここで待っていた方が確かに、周りに怪しまれる事はないわ」


 『貴方の指摘通りね』と皮肉と聞こえたのか、店主のヨウは頭を掻いていた。


 「今はあの人は何をしてるの?」


 「アラバさんは、今、皿洗い中ヨ…」


 ヨウは、そう言って、厨房の方に目をやる。


 そこではランチタイムを過ぎ、客足が遠のいた所為か水道の音が聞こえていた。


 「……」


 そして、自然とヨウの目が細くなるのは、無理も無い。


 そこには誰もいないだから…。


 しかし、ヨウは声を上げた。


 「アラバさ~ん?」


 すると声が帰って来る…。


 「はーい、何でしょう?」


 ヨウが予め用意していた機材が、それを可能とさせていた。


 セルフィが身体を傾けるが、自分が案内した位置からは厨房は見えないのを知っていた。


 「ちゃんと、働いているのでしょうね?」


 そのためセルフィは、そう言うので、ヨウは対応するスイッチを入れた。


 「大丈夫ですよ~」


 …そして、場所を変えて歩みをすすめていたレフィーユが、頷くように答えた。


 「なるほど、近づけば近づくほど、モノが見えなくなるというのは、よく言ったモノだな?」


 「突然、何を言っているのですか?」


 魔法使いは『いつもの事』に、濁った声で呆れていた。


 『漆黒』の法衣というより、彼の周囲は実際は『夜』だった。


 そんな姿を見かければ通行人は逃げるように遠ざかるのを、レフィーユは見ながら答えた。


 「ふっ、どうやって抜け出したのが、こちらとしては気になったのでな。


 だが、それにはつまり、その店の店主は『協力者でなければならない』という事だな?」 


 レフィーユの強調した意図は、ヒオトにはわからなく、アラバにしかわからないのだろう。


 「まあ、よほどの用事かなければ、彼にしても抜け出そうなんて考えないでしょうね」


 「よほどの事件ようじがなければな…」


 レフィーユは鋭い視線を送り、魔法使いのアラバは視線を泳がせていると、ヒオトは聞いた。


 「偽者を掃討して騒ぎを起こして、漆黒の魔導士、貴方には隊長が偽者かどうかわかるのですか?」


 ヒオトの問いに、アラバは一瞬、睨んでしまい、


 「わかるワケないじゃないですか?」


 誤魔化して答えていたのは、ヒオトにはわからなかった。


 「矛盾してます。


 どうして貴方は、さっきから偽者を掃討できるのですか?」


 意図のつかめない答えだったので、魔法使いが法衣を正したのを見計らって、レフィーユが手助けをする。


 「この男の場合、別にどちらでも構わないだろう」


 「えっ」


 「本人であろうと、偽者であろうと、私は倒す目標である事には変わりはない。


 私の姿形をした人物を無差別に襲うことは、何のおかしい事ではない」


 魔法使いはなおも『痛み』を思い出して、近くを撫でていると、彼女は構わず答えた。


 「しかし…、そうなるとお前自身にも問題がある。


 どうして、お前がボスに会う必要がある?」


 そして、アラバは嘘をついた。


 「自分の保身のためですよ」


 言い訳っぽく聞こえたのか、レフィーユは何か引っかかった。 


 「保身、身を守ると言うことか?」


 対照的にヒオトは皮肉を込めて言う。


 「命乞いですか?」


 「そう受け取ってもらっても、構いませんよ?」


 それに不振に感じたのは、レフィーユだった。


 「だが、お前は先の偽者と戦う際、法衣を伸ばして相手に触れる事無く戦っていた。


 大した問題じゃ無いだろう?」


 「ですが、万全じゃではありません。


 不意打ち、多勢に攻めれたり、方法は色々とありますよ。


 そして、相手は『触れたら、その人物になれる』のですから…」


 「正体がばれると終わりな、お前は降伏をするという事か…」


 レフィーユの回答に、魔法使いは表情をしかめるがわかりようがない。


 「貴女方とて、同じことが言えるのでは?


 相手は『他人になれる』のですから、現状、調べようがないでしょう」


 明らかな挑発ととれたのか、ヒオトは意気込む。


 「貴方こそ、戦乙女ヴァルキリーの実力がわかってないようですね?


 もうすでに、首謀者を挙げてます。


 確保も時間の問題です」


 そして、ヒオトは続けていった。


 「隊長の指示さえあれば…」


 だが、それは彼女に対してなのだろか、


 「相変わらず、隊長がいなければ何も出来ないのですね?」


 レフィーユも黙る。


 「言ってる意味がわかりません。


 貴方の言い方は、私たちが無能と言ってる感じがします」


 さすがに魔法使いが、気を使ったのが見て取れたのか、レフィーユが答える事になる。


 「そう言ってるのだろう?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ