第四十話
唐突に、不意打ちというような形で、漆黒の魔導士の闇の触手がレフィーユを襲いかかる。
「うわわわわわわ!!」
彼女は『らしかならぬ』悲鳴を上げ、確信を持ったアラバが、触手の連打で足を払い尻餅を付き。
彼女はゾッと、
身の毛をよだせ、表情を曇らせる。
こけた事は誰でもあるだろう。
その際には独特の硬直を見せるモノだ。
しかし、お尻を付いた地面が、餅の様な弾力があったのだ。
『彼女』は、こうとも思ったのだろう。
その触手は、足を払うために放たれたモノではない。
『激痛』を察知したのはほぼ同時だった。
「よいしょお!!」
アラバは叫び、
あまりの『激痛』に『彼女』は『男』になっていた。
「ふっ、文章が十分に怪しいな?」
そして、計ったかのように、レフィーユがやって来た。
近くにいたコンビニの女性定員が、事態をつかめずにいるのも無理も無いので、アラバは濁った声で説明する。
「ああ、今、倒したのがレフィーユさんの偽者です」
闇で紡がれた法衣が、先ほどまでレフィーユだった男を突く。
「今や、もう、女装した変質者ですが、貴方はどうなのでしょうね?」
ややこしくなるが、二度目のレフィーユの登場で安堵したコンビニ店員が、再び緊張してみせる。
それを見たレフィーユは、自らを証明して見せろというのを感じ取った。
「な、何を言ってるのですか?」
少し後方のヒオトが、いきり立つがレフィーユはそれを制して、右手を広げて見せた。
「これで構わないか、魔法使い?」
彼女は東方術を行使して、安心させる。
「すいませんね、東方術は武器の構築が苦労するというのに…」
「構うモノか、『アラバ』にも、その点を心配された。
だがな、魔法使い。
この数時間で、何名かの私の偽者を襲撃してくれたのは助かる。
私の偽者とはいえ、その女性の姿をした全員が、その周辺の被害に合うのは、いただけないな?」
男を一瞥して、レフィーユはアラバである魔法使いを見つめる。
そして、そこで発せられる魔法使いの視線は『敵意』と言っていいだろう。
「モノマネ芸人は、異性を真似る時は、声を真似ます、衣装も真似ます。
ですが、下着まで真似る事はしませんよ」
そう言って、アラバは、その男のスカートをめくる。
「制服などは、通販サイトまでそろえる事が出来ますが…」
レフィーユは首をかしげるように、中を見る。
「トランクスだな?」
「気持ち悪い事に、ブラもしている人もいましたが、私は大体、この辺で異性を見抜いてますよ」
レフィーユはため息付いて、魔法使いを見る。
「だが、それでも女性モノを履かないと限らない。
その場合は、どうしているつもりだ?」
「つもり女性の可能性は、拭い切れないと言いたいのですか?」
その時、レフィーユの偽者を演じていた男が立ち上がったのが見えたのか、魔法使いは…。
パッチーン!!
勢い良く撓った法衣が、尻部に打撃を加えるので、こうしてきたというのが分かった。
「年末の特番で、こんなの見た事があるぞ?」
そう言いながら、レフィーユは聞いてきた。
「それで魔法使い、何の用だ」
「はて、何の事でしょうか?」
「私は明らかに逃げる気のない騒動を起こしているようにしか見えないからな」
周囲が緊張が増していく、そんな中、アラバは答えていた。
「そうですね、パラサイターズのボスを呼んでみようと思いましてね」
そして、組織のボスを呼んでみようというのだから、周囲は明らかに動揺していた。




