表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/41

第三十五話

 「確かに治安部との空気差は、感じてはいたけど…」


 しかし、受付から帰って来たアラバが少し浮かない顔をしていた。


 「さっき受付をしたのですが…。


 身分証明書の提示を求められてしまいましてね」


 「それは傷害事件だからでしょう。


 そうなったらあちら側から、身分証明書を提示をするかしないかを求める事が出来るのよ」


 「それは、そうなんですかね…」


 周囲をグルグルと、まではいかないが、この男の周囲を伺う様がセルフィは気になったらしく。


 「アンタ、何を気にしてるのよ?」


 「何やら厳重さを感じたのでね」


 おかげでセルフィは周囲を見る。


 制服の所為か、目立つ雰囲気は自覚していたが、明らかに雰囲気が重かった。


 「ふん、警戒しておいた方が良いかも知れないわね?」


 そうして案内通りの病室にて、アラバはノックした。


 「ハマダさん、大丈夫ですか?」


 ……。


 「ん?」


 沈黙があったので、セルフィさんと視線を合わせると、慎重にドアを開ける。


 「…いるじゃないですか?」


 コレは驚きもあるが、安堵でもあったが。


 「…何の用だ?」


 今までと対応が違うのが、セルフィでもわかった。


 「ふん、前と全然、対応が違うわね?」


 「ちっ……」


 皮肉に対して、あからさまな舌打ちが聞こえたので、アラバが『まあまあ』と制し掛かる。


 「いや、アラバさん、アンタら悪いというワケじゃ無い。


 ただ今回は、アンタを信用出来なくてな」


 「どういう事でしょうか?」


 ハマダは今までの関係を、大事にしようと考えたのか、気を使う様子を見せて言う。


 「チーム、N.O.Nが壊滅したんだ」


 思わずアラバは、こう…。


 「どういう事でしょうか?」


 同じように聞いてしまっていた。


 「言った通りだ、壊滅したんだ。


 それも一日足らずでな」


 「…偽者が現れたのですか?」


 「ああ、お前らの相手も、パラサイターズだったっけな?


 正直、なめてた…」


 頬の包帯を見せ、手や腕は折れてないと動作して見せる。


 「喧嘩が有名な野蛮なチームだと聞いたけど、随分、あっさりやられたモノね?」


 なおもセルフィが皮肉を漏らすので、アラバはさらに制しに掛かるが、逆に止めに入るのはハマダだった。


 「確かにウチは喧嘩チームだがな。


 仲間がいるからチームだ。


 仲間と同じ顔をしたヤツに、背後からゴツンとやられて見ろ。


 『攻撃をされた』より『現状を理解する』のに手一杯、身を守るのにも精一杯だ」


 「全部、同じ手口ですか?」


 「先にやられたのは、俺と、アラバさん、あのジュースおごったヤツ覚えているか?


 アイツを含めて、六人ほど、それでやられた。


 そして、次の日には、そいつらが俺らの顔をしてやって来るんだからな」


 「一人一人、呼び出すなり、後はまとめて襲われれば、ひとたまりもないでしょうね」


 アラバは頷いて近づく、するとハマダは警戒を見せた。


 それをアラバが感じたのを、一旦、謝って答えた。


 「…正直、アンタの事も信用できない」


 「ふん、それが偽者に襲われたからという理由にしては、安直な対応ね?」


 「…それは襲われた事がないからだ。


 お前らも襲われたら、こうなるぞ?」


 「じゃあ、そのおごられたジュースの名前を答えてあげるわ」


 そう言ってセルフィは、この前の事をできる限りの事を答えた。


 よほど自信があるのか、途切れる事も無く話すが、


 「だから?」


 「ここにいる人間にしかわからない事を話せば、信頼の証にでもなるでしょう?」


 ハマダは呆れる様に答えた。


 「だから、何だって言うんだ?」


 そして、さすがに怒りすら覚えてセルフィは食いかかる。


 「何ですって?」


 「それでも信用出来なくなるんだ。


 俺もメンバーに連絡したのにも関わらず、あんな事になったんだぞ?」


 「こんなに今までの事を話しても無駄だって事?」


 「ヤツらは、その人物になりきれる。


 今、こうやって話してる。


 レフィーユの妹…」


 「セルフィッシュよ」


 「…セルフィッシュ・アルマフィが話していても、偽者という疑念が拭い切れない」


 アラバを視界に入れて、ハマダは言った。


 「今でもな…」


 アラバは目を瞑るが、さすがに苛立ちを見せたのはセルフィだった。


 だが…。


 「怖えんだよ…」 


 このハマダの一言が、あまりにも印象深かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ