第三十一話
「グダグダ?
お前が何を言っているのか、わからん」
「言ってみればリズムですかね。
話すタイミング、聞く姿勢、人には独特のリズムがあります。
当然、タイミングをずらした時にも、その人なりのリズムがあります。
それが貴女の場合、全然、なってないのですよ」
『ふん、なるほど、だから装備を疑ったり、変な箇所を聞いてきたりしていたのね?』
セルフィの通信を、聞いているのかのような態度でアラバは答えた。
「もっとも、これは一つの要因ではありますが…」
『また、そんな事を…』
そして、そんな会話を聞いた上で、アラバは頷いて言う。
「もう駄目ですね、貴女は完璧に偽者ですね。
こんなマネは、やめておいた方が良いですよ。
治安部に目を付けられて、逃げ切れるモノでもないでしょう?」
「あくまで私を偽者だと言うのだな?」
「でなければ、セルフィさん達を引き下げてまで、こんな話をするつもりはありませんよ?」
セルフィ達の驚くのを尻目に、アラバはその相手をじっと見ていた。
そして、夕闇がレフィーユを隠す。
「どうしてわかるのよ?」
そう言ったレフィーユの身体が揺れた。
全身が『ブルッ』と少し震えるかのように見えるが、画像が波打った。
「確か貴女は、ミーアさんでしたね?」
そして、名前を名乗る頃には、ミーアになっていた。
だが、それ以上に全身から姿形が、かわるのだから、周囲が驚きを隠せなかった。
それが何を勘違いさせたのか、
「どうして、わかったのかと聞いているのよ!!」
睨み付けるが、アラバは姿勢を変えなかった。
「言った通りですよ。
ですが、用があるのは貴女の方なのでは?」
『何を言っているのですか、あの人は隊長に変身できるのですよ。
それはつまり…』
そう言うのを遮ってミーアは言う。
「そ、捜査の進展を聞きに来たの」
『この後に及んで、白々しい事を…』とヒオトの声が聞こえたが、アラバは言う。
「正直、進んではいませんね。
ですが、マズい事にはなってますよ」
ミーアが聞き返すので、アラバは頷いて言う。
「今、レフィーユさん、姿でここまで来たという事を、セルフィさん達にそれを見られた」
「なるほどね、それで私を立件するつもり?」
「私は、そんなつもりで話をしたつもりはないのですが?」
「どうかしら。
アンタのトコに、偽者のレフィーユが現れて、みんながそれを『レフィーユ・アルマフィ』だと信じて疑わなかった。
だけど、アンタだけ、偽者だと看破した。
ボスはそれを上機嫌に話してたわ」
ミーアは嘲笑は、少し癪に障ったので睨む。
「私は、貴女に会った事を隠すつもりで看破したつもりなのですが?」
「ご、ごめん」
察したミーアは、静かに答えた。
「ボスが、襲われたの」
「ハマダさんが!?」
「幸い、大したけがじゃないけど、どうも『偽者』に襲われたみたいで、私、疑われているわ」
「別に貴女じゃないのでしょう?
やっていないのなら、堂々と…」
励まし、それも軽い気持ちでアラバは言ったが、ミーアは言った。
「やっぱ、アンタも軽く受け止めてるのね。
良い、イエローってのはね。
疑われても仕方が無いのよ。
悪い事をした事の無いアンタ達にはわからないでしょう?」
まるで嘲笑する様な態度で、
「でしょうね」
妙な納得があったのは、漆黒の魔導士だった。
味わった事のある感覚を、ミーナは代弁するかのようにアラバには見えた。
「一度、誤解を受けたら最後まで、終わっても、ずっと疑われるのよ。
何人のイエローが、それが原因で職を変える羽目になったと思っているの?」
押し黙ってしまう自分を見て、気分を察したのか、
「ごめん、アンタはそんな私らの職の斡旋をしてたんだっけ?」
謝るが、ミーナは静かに答えた。
「でも、私はパラサイターズの一員だと思われてんの」
それにアラバは反応して見せる。
「実際は?」
「私は断ったけど…。
アンタ、それを信じる?」
そう言って、ミーアは去って行った。
「パラサイターズの誘いがあったという事、ですか?」
そして、アラバは近くで聞いているであろう二人に通信を入れていた。
『白々しい、まあ、捜査を紛らわせる.
プラフでしょう』
『私も、そんな見解ね』
それを聞いたアラバが、まるで押し黙るように止まっていたように見えたので、
『……』
セルフィが聞いた。
『それで、アンタはどうするのよ?』
反応したのか、偶然なのか分からなかったが、隠れているはずの彼女に身体を向けて答えた。
「貴女達に会ったという言い訳、どうしましょうかね?」
それを聞いたセルフィ達は、絶句した。




