第二十七話
帰りは徒歩だった。
カレンによって、帰りの車を用意されていたが、どうしてもそんな気にはなれず。
学園が見えてくる頃に差し掛かる頃には夜になっていた。
「正直、このまま帰って良かったと思います」
「それはどういう事だ?」
「パラサイターズは、従業員などすり替わる事が得意らしいです。
あそこにいた何人が、偽者で、本人なのかわからない状況でしたからね」
「そして、人質にもなっていた可能性もあったか、すぐさま確保というワケにはいかなかったな」
レフィーユも内心、察しているのか、
これは『取り繕い』である。
沈黙した空気に耐えられなかった事もあるが、何か言わなければ空気だけがあったのだ。
おかげでそこまで参考にしないつもりで、彼女が問いかけて来たのがわかる。
「『関与していない』『見ている』というのは、どういう事だと見ている?」
「あくまで私も信用はしてないですが、関与してないという事でしょう」
「そのままではないか…。
だが、そんな信用も出来ない状況で、お前はどうして『私の前に現れたレフィーユの偽者は、あなた達なのか?』と聞いた?」
「現行犯は大事、というヤツですよ。
それだけでも貴女の偽者が現れた事件は、大分変わって来るでしょう?」
「そして、その問いにも答える事はなかった。
お前にしては、せめて明確にしてほしかったというトコロか、やるではないか?」
「見ているというのは、この辺の事なのですかね?」
全く進展のない会話だったのが見て取れ、彼女が結論を言う。
「結局、わかったのは、その組織の偽者の拠点だけか…」
「偽者だらけですね…調べてみます?」
「いや、やめておく、もう少し事実確認をしておきたい」
「確かに今はみんなに知らせるのは、伏せておいた方が良いでしょうね。
ですが、時間の問題ですよ」
「まったく気に入らんな。
腹いせにお前を誘ったのだけを、教えておくことにしておくか」
白鳳学園の正門が見えたので、レフィーユは一旦、足を止める。
先に止まったアラバを待つためだった。
アラバは身なりを整える様に見えるが、これは自分の秘密を守るための大切な動作。
だが、おかげでレフィーユは先に学園内での異変に気づいた。
「アラバ、何だ、アレは?」
それは確認し終えたアラバが、あとから見ても、
「何でしょう?」
わからないモノだったので、迂闊にも近づいてしまう。
「お、おわ、アラバや。
レフィーユさんも!!」
「隊長、お疲れさまでした!!」
ヒオトは軽く敬礼を見せて、異変の原因である『物体』をイワト、サイト達に指示を出しながらセッティングをしていた。
それをセルフィは呆れながら見守っていたので、レフィーユは聞いてみた。
「セルフィ、何だ、これは?」
「嘘発見器よ」
「うそはっけんき!?」
自分の姉の呆れを察したが無理も無いと、セルフィが肩をすくませて答えた。
「モノは試しと倉庫にあったのを、ヒオトが引っ張り出して来たのよ」
「また、随分な古典的なモノを引っ張り出して来ましたね。
どうして、こんなモノを?」
このアラバの呆れに、反応したのはヒオトだった。
「これは貴方をチェックするためです」
『嘘発見器』という手前、アラバは警戒混じりに聞いてみた。
「魔法使いさんから、偽者の見分け方を聞いたと聞きましたが?」
それを聞いたヒオトは睨むような視線を見せた。
「相手が魔法使いだからです。
確かに彼から、教えてもらった事は良い対処法でした。
ですが、何かあると疑って掛かるべきです。
そして、一番問題があったのは、貴方なのです」
「な、何でしょう?」
迫力からか、必然的にアラバは戸惑う。
「貴方、魔力特性Eランクじゃないですか」
ヒオトは紙を手渡して、アラバに聞いてきた。
見るとアラバの成績表だった。
魔法の使えるこの時代、内申点に関係ないが『魔力』も成績に記されていた。
『魔力特性』とは、魔力の高さを表す値だが、
「というか、勝手に人様の成績表を持って来ないでくださいよ!!」
彼のごもっともな怒りが飛ぶ。
ちなみにこれは治安部の権限範囲内だったりしている。
「なるほど、つまりアラバが偽者かを調べるのはとても困難を極める。
だから、こういうモノを用意したというのだな?
だが、心配するな。
誘拐されたとはいえ、この男は本物だ」
レフィーユは、そうは言うが、ヒオトは首を振っていた。
「隊長の言う事は、信用したいです。
ですが、一応の警戒です。
アラバさん、従ってください」
レフィーユはアラバに目を合わせ、彼を促せていた。




