第二十二話
治安部車両がサイレンを響かせながら町中を走る。
緊急車両と同じ扱いなので、道路は全て優先。
そんな光景は治安部でなければ普段、見ることの無いだろう。
アラバが窓を眺めてレフィーユに聞いてみた。
「まさか治安部の緊急出動に付き合わされるとは、思いもしませんでしたよ」
「ふっ、お前しか、私を見分けることが出来ないからな?
どうせ外から帰って来たのなら、私はお前の検疫を受けなければいかんのだから、我慢してほしいものだな」
状況確認のために、レフィーユは入ってくる通信に聞き入るのが見られたので、アラバは黙っておく事とにしていると、聞き終えた頃には彼女は不機嫌になっていた。
「まったく、組織的な活動が見られた所為か、治安も悪くなる」
「というと今回の強盗は、お目当てのパラサイターズではないと言う事ですか?」
「そうだ、それに乗じた犯行というトコロだな。
20名規模の強盗。
数としては、まあまあだ」
人数が多いと思うのは、旧世紀の考え方だろう。
人が自分の魔力で簡単に武器や、火を付ける事の出来る今の時代、一カ所では無く、数カ所襲い、収益を上げる。
良い言い方ではないが、それくらいの規模での強盗が当たり前だった。
レフィーユが周囲に指示を出し始める。
「白鳳学園治安部は、後方支援に回れ、私はバルキリーと共に前衛に回り、犯罪者の交戦に回る」
能力主義の対処も、彼女の手腕だと言える。
「いや、お前は、けが人の対処、イワト達は私たちの取り逃がしたモノの排除を頼む」
後方にも、前衛に頼り切らせない指示を出す。
管轄主義の高い治安部をまとめ上げられるのだろう。
「了解!!」
異論無く、勢いの良い了承の声が、彼女の指揮能力の高さ表し。
「成立、許可良し!!」
レフィーユが曖昧な発言をする。
これは相手が暴れ回っており、自分達が攻撃をしても良いという意味だった。
「了解!!」
彼女は途中まで聞き、車両を飛び出した。
そして、ここからは通信機で話をする。
「さすがに戦乙女ですね。
戦闘能力は、他の地域まで轟くのも無理もない」
「ふっ、見えてもないのに良くも言う」
「そうですよ、適当な事を言わないでください」
ヒオトも通信に割り込んで来るので、アラバは反論する。
「見てますよ、上空映像で、ニュースでも取り上げられてるのですから」
「放送されてるのか?」
「はい、ちょうど襲いかかって来る強盗に、サーベルでの攻撃を見事に決める貴女が映ってま…!?」
アラバが見ていた映像で、レフィーユの死角から強盗の一人が飛びかかるのが見えて驚いてしまう。
「甘いわね…」
しかし、空中の強盗の攻撃は成らない。
原因はセルフィの斧槍の付加能力にある。
「ふん、だったら、私たちの活躍を、そこで見てなさい」
『足場』を、解いた故に地面に落とされ、体勢を完璧に崩されたのは彼にとって最悪だった。
しっかり攻撃の動作を見せて、防御反応を確認させてから、レフィーユは一撃を見舞う。
その一撃は、相手に防御本能で防御させ、受けきれない一撃を見舞うほどだった。
その行為は、彼女の能力を高さを十分に窺えた。
おかげで周囲が明らかに怯んだ。
「黙っておいた方が良いですね」
「当然です、貴方を後方においた所為で隊長が何秒遅れたのですからね?」
ヒオトの問いに、アラバは答える事無く、専用の通信機でレフィーユに話しかける。
「もう少しですから、頑張ってくださいね…」
テレビで見ている限りだが、レフィーユの動きが良くなったような気がして。
「もう少しで、私はさらわれますから」
『レフィーユだけの通信』が、彼女の勢いよくサーベルを放り投げた。
突然の態度に周囲は唖然としたが、レフィーユは通信を入れる。
「お前、今、何を言った?」
「そうですね、ゆっくりと目の前に貴女の前に現れると言ったのですよ?」
この会話は二人にしか聞こえなかったが、周囲の緊張感が増した。
そこから、やって来るのは黒ずくめの包囲をまとった男が、ゆっくりとやって来るのだから。
黒い煙のような錯覚すらある。
それが自分にもやって来ると思えば、それは威圧というには十分だった。
「どおりでニュースを確認しているワケだ?」
「登場するのに安全を確認するのは基本ですよ?」
誰も、この濁った声がアラバだと気づくモノはいない。




