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第二十一話

 そして、次の日…。


 「名前をお願い出来ますか?」


 取調室でヒオトは、ある人物に話しかけていた。


 「……」


 双方、静かに睨み合う。


 そんな光景をアラバとレフィーユは、マジックミラー越しに眺めていた。


 「まあ、昨日の内に、治安部が調べに来たというのは伝わっているのなら、当然の態度でしょうね。


 レフィーユさん、彼女を見た事は?」


 自分の正体を隠すが故に、発言を控えた昨晩とは違う態度でアラバがレフィーユに話しかけるので、彼女は頷いて見せる。


 「正直な話、見たことも無い。


 気にも止めた事もないかも知れない所為かも知れないが…」


 聞き返すが、当然、アラバも心当たりもないので、事の次第を見守る異にした。


 「悪いけど、こんなんじゃ、いつまでも始まらないでしょ?」


 昨日の事もあり、ヒオトは機嫌が悪かった。


 だからこそセルフィは呆れながら、進行を始めることにした。


 「名前を教えてくれないかしら?」


 そして、この彼女も不機嫌ながら答える。


 「ミーア…」


 「フルネームで、お願いします」


 対面でヒオトが強めの声で答えるので、再び、険悪になってセルフィが呆れる。


 「レフィーユさんの言った通りになりましたね?」


 「周辺の情報を固めるにしても、チームや団体を調べに入れば、情報は漏れるのは目に見えていた事だ。


 治安部が調べにやって来た。


 それがどれだけ、特異な事か考えて行動すれば良かったモノを、遠回しにやるからこんな足止めを食らうのだろう?」


 「レフィーユさんだったら、どうしていたのですか?」


 「私だったら、そうだな…。


 直接、申し込んでいる。


 相手は自分がイエローテープというのは知っているのだ。


 こんな自分の能力と同じような事件が起こっているのだから、関係無ければ応じてくれるだろう?」


 取調室にて、ようやく事情聴取が始まるが、レフィーユはまるで聞いていないような態度だった。


 「お前にしても、私の言ったような状況で事実関係を話してくれる相手と、この様な状況下での事実関係を話す相手のどっちを信じられると思っている?


 昨日の時点で、同じような事件が何件も起きているというのに、個人の事から調べに入るのだから、何も成果が無いと言われるのは、当然だ。


 評価できる点と言えばそうだな…。


 お前が、ハマダと知り合いだった事で、その経由でミーア自身がやって来たという事だけだ」


 「私は大した事はしてませんよ」


 「ふっ、何の不快感も与える事もなく、ターゲットが自然に動くのは凄い事なのだがな?」


 レフィーユに見つめられ、少し顔が赤くなるのを感じたが、ヒオトにとってはそれが原因でもあるだっろう。


 「だからヒオトさんは不機嫌なのでしょうに…」 


 「これくらい言うのは、治安部のリーダーの役目だ」


 「無茶しないでほしいですね」


 成果を挙げようとやっきになろうとするヒオトが見て取れたから言えたが、どうしてもレフィーユと同じように自分も期待が出来ないのは経験則だった。


 ミーアを顔を見る。


 普通の顔といえば失礼だろうか、それが印象だった。


 「だから、もう一度言うけど、


 私は、昼を買いにコンビニに行ってたの」


 「それを証明してくれる人はいますか?」


 「いるわけないじゃない」


 「どうしてですか?」


 「販売店だから、交代制なのよ。


 アンタだって、その辺は調べたんでしょ?」


 ヒオトは静かにしていたが、それがどうしてもミーアの指摘を肯定しているようにしか見えなかった。


 「だから、基本、業者相手が多いけど、個人販売もしているから、基本的には店には一人、残るようになっているのよ」


 「ですけど、お昼時とは少し過ぎた時間だと思うのですが、どうして、そんな時間に貴女は昼を買いに行ったのですか?」


 「あの日は、業者と個人の客が来てね。


 だから、そんな時間帯で昼を買いに行ったの」


 「それなら、そのコンビニの場所を教えてもらえますか?」


 「……」


 すると、今度はミーアが黙った。


 それには全員が、目を細める。


 「教えてもらえない理由があるのですか?」


 そこがヒオトはつけ込むスキと思ったのだろう。


 「その時間帯にですね。


 レフィーユさんが、万引きをしたそうですが、貴女には関係が無いと言えるのですか?」


 「……」


 「貴女が黙るという事は、アリバイが無いという事ですよ?」


 ヒオトの問いに、ミーアは静かになった。


 「…だから、何だって言うの?」


 だが、睨み付ける事はやめてなかった。


 「レフィーユ・アルマフィに変身できますか?


 って、言いたいの?」


 ミーアが椅子を引きずる音と共に思い切り立ち上がる。


 「やめなさい!!」


 セルフィが言葉で制したが、それに構わず彼女が東方術で武装する。


 二人とも思わず、身構えるのを構う事無く、ミーアは自分の能力を発現させる。


 彼女の能力は『擬態』。


 徐々に顔付き、身長まで変化させ、目の前にいたのは、


 「凄いモノだな」


 当人の当然な感想が頷けるほどの彼女だった。


 本人の前に、本人が立つという異様な感覚な中、ミーアは叫ぶ様に言う。、


 「これで私を疑う!?」


 「私は、事実関係をはっきりさせたいだけで…」


 「どうせ、イエローだからでしょ?


 どうぞ、スキにしなさいよ!!」


 彼女の武器である小刀を投げ捨て、能力が解除される。


 そんな中、サイレンが鳴る。


 『市内北部で、強盗事件発生。


 市内北部で、強盗事件発生。


 治安部、緊急出動をお願いします。


 繰り返します…』


 静かになった事が、この警報でわかった。


 「行きなさいよ…」


 そう言ったのは、ミーアであり。


 「レフィーユもいなければ、何も出来ないクセに…」


 ヒオトを怒らせるのも、ミーアだった。


 「やめろ!!」


 さすがに見かねたのだろう、レフィーユが入ってきて、そこでようやく両者が向かい合う。


 「確か、指揮関係成立してないと、部隊はほころびを見せるらしいじゃない?」


 「よく知っている事だな?」


 レフィーユの問いに、ミーアは答える事は無かった。


 「だが、心配する事は無い。


 この程度の問題も解消も出来ないで、リーダーも勤まらないのでな」


 そう言って構うこと無く、レフィーユはヒオトとセルフィを引き連れ、


 「何をやってる。


 アラバ、お前も来るんだ」


 思いもよらなかった呼び出しに、アラバは少し驚いて見せた。

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