第二十話
彼女にとって、それ(レフィーユ・アルマフィ)は、あまりにも衝撃だった。
良家の令嬢。
それはおしとやかで、習い事の必要な作法を自然な流れでこなす。
誰にもイメージあるだろう。
しかし、この令嬢は違っていた。
「そのイメージを、私は脱却したいのだ」
彼女はあまり気に止めてない発言だったが、
その台詞をヒオトは今でも覚えていた。
まさにその通りを彼女はこなしていたのだから、
自分との模擬戦で、正式に治安部に入部した彼女は。
常に危険を顧みないで、自分たちの前に立つ。
計算など無く、真摯に事件に立ち向かう態度は、その姿は同年代でも尊敬に値し。
普段の生活態度も新鮮である。
音楽はクラシックを聞くのかと思えば、自分たちの良く聞くアーティスト達の曲を良く聞くという。
その証拠に奏でる音楽はジャズ系を好む。
免許だって取得していた事にも驚きだった。
そして、必要とあれば、先の作法を完璧にこなしてみせ。
恐らく彼女には出来ない事などないのでは、という錯覚すら覚える。
当然、レフィーユにも出来ないこと(特に料理)はあるのは、ヒオトにしても知っている。
だからこそ、彼女にとって衝撃的な光景を目の当たりにするのだった。
「た、隊長、一体、何をしてるのですか?」
「誰かが外出禁止令などだすのでな。
暇が余りあまった。
だから、ゲームをしていた」
そんな尊敬する人物が、ゲームをしていた。
「ヒオト、私にしてもゲームくらいはする。
のだが…」
レフィーユは画面を見つめ、アラバに言う。
「アラバ、もう少し、わかりやすいゲームをやってくれないか?」
画面をみたセルフィが、同意を見せて言った。
「ふん、相変わらず、変なゲームばかり集めているのね?」
それにはアラバが反論して言う。
「私がどんなゲームしても構わないでしょう?」
「確かに、お前がどんなゲームをやってても構わん。
だがな、これはどうかと思うぞ?」
ヒオトは最初、アラバがいかがわしいゲームをしていたのかと思いもしたが、現在、自分の隊長がやっているゲームは、あまりゲームのやらないヒオトから見てもわかるくらい。
十八歳未満には販売できないようなゲームではなく。
レフィーユが負のオーラ全開で、やっていたので聞いてみた。
「一体、どんなゲームなんですか?」
「普通の人間が突然、特殊な能力を持たされて、無人島に放り投げられ、生活を迫られるようなゲームだ」
珍しく自分の隊長が抽象的な言い方をするので、ヒオトは合点が行かないでいるとセルフィは答えた。
「姉さんも、目を付けたモノね。
私もやった事のないタイトルだから、アンタから借りてやった事があるけど、あれほど自分がモンモンとしてやったゲームはなかったわよ」
「ふっ、借りてたのは知らなかったな。
私にしても、セルフィが持っていたから、やってみたの、だが…。
何だ、このゲームは?」
姉妹二人から非難を受ける、他人の男性という光景は珍しい光景だが、ヒオトにはようやくアラバが否定される立場だったので、嬉しくもあった。
「俗に言う、駄目なゲーム、クソゲーなんですか?」
今までの事があったためか、だが、それには姉妹は口をそろえる。
『いや、全然、駄目なわけじゃない』
少しズレはあるが、良くも強調されたモノである。
「橋を架けるのに、どれだけ時間を掛けたと思った?」
「さすがですね、レフィーユさん。
私は攻略サイト見ましたよ?」
「ふん、この手のゲームは考える事がでしょう。
それに、あの後、もっと酷い困難が待ち構えてたでしょ?」
「ああ…。
原住民とのダンスでしたか?」
「今、やっているのが、その原住民ダンスだ。
あの主人公の歩行速度でフェイントを掛けられたら、追いつかないぞ?」
「それが制作者の狙いなんですよ。
嫌だったら、別のゲームをやれば良かったじゃないですか?」
「ナンバリングタイトルなぞ、共通点がありすぎるからあまり好みじゃない」
「そういえば、レフィーユさん。
あまり映画でも、そういうの嫌いますね?」
「そうだ。
そして、格闘モノには、熟練度が必要だ。
そこでわかりやすいアクションモノを選んだつもりなのだが…」
「ふん、引いたカードがジョーカーだったようね?」
妹のセルフィが画面を見ていると、そのゲームにてダンスが始まるので、レフィーユが苦い顔をしながら聞いてきた。
「セルフィ、このゲーム、やった事があるのだから、この振り付け、フェイントのタイミングをもらいたいモノだ」
「それは、やめておくわよ」
「何だと!?」
レフィーユは再度、ダンスに再挑戦する中、セルフィがそんな態度が返ってくるので苛立つので、彼女がが言う。
「攻略サイトを覗けば、つまらないゲームでもあるの。わかるでしょう?」
「な、なるほど、くっ!!」
レフィーユの操る、足の遅い主人公が必死に振り付けに対応してのだが失敗するので、それを見計らってヒオトは苛立ちが混ざりながら言う。
「…隊長、報告させてもらってもよろしいでしょうか?」
それを聞いたレフィーユの返事は、
「ああ、聞いておこう」
いつもの調子だったので、少し安心はしたが、
「ちょっと待て、記録させてもらう」
その態度に、ヒオトは苛立ちを隠せなくなっていた。




