第十四話
学園内に大きくサイレンが鳴り響いていたのだが、まるで入れ替わるかの様に出入りしたレフィーユは何の疑いも持たず、外出する映像が監視カメラに映っていた。
「大胆不敵な事だな…」
「隊長、それも言ってました」
翌日、映像を見直してつぶやくレフィーユに、ヒオトは言葉を返した。
「申し訳ありませんでした。
まさか、やって来るとは、思いもしなくて…」
「ふむ、仕方ないだろう。
相手は姿形をそっくり真似る相手だ。
最高のタイミングでやって来た相手に、お前達は被害は最小限に食い止めた、良い結果だろう」
「一体、彼女は…」
ヒオトは一旦、言葉を飲んだ。
何でも姿形を変える相手とは、男か女なのか、はっきりしないからだった。
「どちらでも構わん、だが、狙いはアラバが思ったとおりと見て良いだろう。
その点においては、完全に防ぎきったと思う。
いずれにしてもやっかいな能力だ。
一同も、注意してほしい」
周囲が静かになる。
普段なら、そこで挨拶が返ってくる。
「……」
だが、返事が返ってこない。
この光景におかしさを感じたのは、レフィーユなのだが…。
それに気づけないのも、彼女だけなので、セルフィがアラバを引っ張る。
「ねえ、アンタ、いつもこんな調子なんだけど?」
「確かに言われてみれば、煽ってますがね」
アラバはレフィーユをじっと見る。
「…セルフィ、もしかして私を疑っているのか?」
意味合いを察したレフィーユだが、周囲の雰囲気を見たのか珍しく黙った。
アラバは解答をセルフィに言う。
「本人ですね、本物です」
周囲はその解答に、安堵を見せるので、彼女が不機嫌になるのは無理も無い。
「何だ?
私は、いちいちお前の返答を待たないといかんのか?」
「それだけの話だと思いますがね。
能力者の中にも軽く触るだけでも、変身出来る人もわけでして…」
アラバは周囲をぐるりと見回す。
明らかにレフィーユに疑いを持って視線を向けていた者もいたのか、申し訳ない気持ちの雰囲気も出す者もいた。
「実際、今の間がレフィーユさんだけなら、まだマシなんですよ。
予防策は触ったら駄目だなんて簡単な条件なんですよ、それだけでも広まりでもしてくださいよ。
満足に会話も出来なくなりますよ?」
「ふん、パラサイターズたる所以ね?」
それにはセルフィが頷いていた。
「会話は、人の、社会の基本。
それが遮断されただけでも、人のつながりは簡単に終わる。
だから、寄生された町は、間違いなく死の町になる」
「この怖さが、世間に充満したら、間違いなく、この町は終わりますよ?」
周囲がさらに緊張を招くが、
「なるほど、注意しておこう」
そんな中、レフィーユの様子を妹が答えた。
「姉さん、何か嬉しそうね?」
「それは見抜いた者がいたからな」
隠しきれない歓喜の視線にアラバは逃げる。
「そうね、なんで貴方、見抜いたのよ?」
逃げる視線の先にも、妹の矛先はあった。
「いや、それは、まあ…」
「言っておくけど、よく見るホクロの位置も一緒だったから、私は疑いはしなかったのよ?」
誰にもわからない事が、彼にはわかるというのが、よほど悔しいのかヒオトも聞く。
「私も知りたいですね。
私たちにもわからないで、貴方だけがわかるような。
クセがあるのなら、それが何かを教えてほしいですね」
「視線が怖いですよ」
アラバはヒオトから発せられるプレッシャーから、逃れるように、
「あ、逃げた」
ドアに手を掛けたところで、ヒオトに手を引っ張られる。
「ま、待ちなさい、私たちは今後の捜査のために言ってるのです」
「大体、レフィーユさんにクセあるような事はありませんよ」
「だったら、どうして貴方にわかったというのですか!?」
数度の引っ張り合いがあったが、振りほどいて答えて、この男は答えたこれは、狙って言ったのではない。
「見れば、わかるでしょう?」
実に殺し文句といえば、言い当て妙だった。
バタン。
ドアを閉めて、静かになる。
「見ればわかるか、中々、言ってくれるな」
レフィーユの嬉々とするが、ヒオトは実に対照的だった。
「な…」
「な?」
そんな中を震えるヒオトの呟きが、妙に聞き取れたレフィーユは首をかしげもしたが…。
「納得出来ませ~ん!!」




