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第十三話

 「もしかして、それの人たちが隊長を真似たというのですか?」


 ヒオトの疑問に、レフィーユは頷いた。


 「大胆不敵な事だがな。


 だが、最近になってまた騒ぎを起こしているらしい」


 「ですが、東方術による付加能力は、その武器を手にしてなければ、付加能力の発動は出来ないのでは?」


 「ふっ、それは『身体の一部を付けてなければ発動しない』という意味だ。


 武器をしまい込む専用のケースがあってな。


 魔法の使えない旧世代、様々な武器を隠して携帯する道具が色々と作られていたらしい。


 それを利用して、例えば…。


 ナイフであれば、太ももに切りつけないように肌に密着させる事によって、変身を継続させているそうだ。


 そして、その擬態の条件は、ただ身体同士の接触、手が触れるだけでも擬態は可能だそうだ」


 「そんな簡単な条件で、他人に変身できるのですか?」


 「当然、身体のあざ、傷跡も全部、そっくりそのままの擬態を、その後の調査で確認済みだ」


 「もし、使われたら、それこそ見分けがつかないじゃないですか?」


 ヒオトが緊張を持って聞いてくるので、レフィーユは頷く。


 「そうだな、各員も気を引き締めて、事に取りかかってもらいたい」


 「はいっ」


 彼女が警告を促し、部員の気の引き締めを計る。


 それはいつもの光景だった。


 それに、アラバは聞いていた。


 「ところで貴方は誰なんですか?」


 あまりにも間がよかったのか、悪いのかどちらなのだろうか。


 その一言はみんなに聞こえていた。


 これを言い表すのには『えっ?』という言葉がよく似ている。


 そんな中をレフィーユは、笑みを浮かべていた。


 「ふ、ふふ、全く、どういう冗談かは知らないが、面白い事を言うのだな?」


 彼女の言うとおりという空気の中、アラバは肩をすくめていた。


 「面白い事をやってるのは、そっちでしょう?]


 それに食いついたのは、ヒオトだった。


 「貴方は先ほどの動きを見てなかったのですか?


 あれがいつもの動作なんですよ」


 「ですがレフィーユさんは、確信の無い事で周囲を不安にさせる事は言いませんよ」


 「それこそ確信があるからですよ。


 貴方は自分が格好付けたいから、そんな事を言っているのではありませんか?」


 そう言うとヒオトは、セルフィを見て言う。


 「じゃあ、セルフィさんに見てもらいましょう」


 突然の指摘にセルフィは軽く驚きをみせるが、じっと自分の姉を見ているアラバに緊張を感じ取ったのか聞いてきた。


 「アンタ、ふざけて言っているの?」


 「こういう事はふざけて言える事じゃありませんよ?」


 そう言われたのが気に入らないのか、レフィーユ少し不機嫌になる。


 「ふっ、私にしても、みんなを不安がらせるために、そんな事を言ったのではないのだが、心外だな」


 その様は、どこからどう見ても、自分の知る姉なのだから、彼の言う事は冗談かと思いもする。


 「では、仮に私が偽物だとして、まもなく本物がやって来るという可能性が高いという事だ。


 それは私が捕まるという可能性リスクがあるという事を指している。


 何故、こんなリスクを犯す必要があるというのだ?」


 またしても彼女らしい意見だった。


 「さあ、そんなのは知りませんよ…」


 アラバの心情には『今が触れれば、擬態する可能性がもっとも高く、もっとも情報収集出来るタイミング』という考えもありもしたが、それを話すことが出来ず、表情が曇るが、


 「ですが、貴女は間違いなく偽物ですね」


 はっきり、そう答えていた。


 少し困った表情をするレフィーユを見かねたのか、セルフィはアラバを止めに入る。


 「まあ、そんな不安を感じさせたのは、さすがに悪いかったな…」


 そして、レフィーユは手を差し出し、握手を求め。


 アラバはそれを避けた。


 その時が、確信だった。


 確実に握ろうとした彼女の体勢が前のめるので、聞いてみた。


 「確か触れれば、変身出来るのでしたね?」


 失礼な態度だったのは、承知だったが、アラバは聞いてみた。


 「じゃあ、私の名前、答えて見てくださいよ」


 ……。


 妙な間だった。


 その空気をセルフィは察した。


 「ちょっと、ホントにそうなの?」


 ようやく緊張を見せるセルフィに、周囲はどうして良いのかわからないらしく。


 ざわめき始める。


 「セルフィ、お前まで、そんな事を言うのか?」


 普段と変わらないレフィーユが、目の前にいる。


 だが、明らかに緊張を見せるアラバを見て、レフィーユに言う。


 「別に疑いはしてはいないわ。


 でも、えん罪であるなら、それを証明すべきなのは、姉さん。


 よく知っているんじゃないの?」


 レフィーユは静かに聞いていた。


 「別に答えられない問題でもないでしょう?」


 そして、場が静かになるが、


 「何を言ってるんですか!?


 この人はシュウジ・アラバ、それで構わないじゃないですか!?」


 ヒオトが苛立つように割って入る。


 「貴方の格好付けに、いつまで付き合っていられませんよ」


 レフィーユに同意を求め。


 「別に構わんさ、さっきも言ったように不安を煽ったのは自分なのだからな」


 頷いたまま、部室を出ようとしていた。


 「どこに行くのですか?」


 「疑いを持つお前に、そんな事を言う必要があるのか?」


 ちょうどサイトがドアの前に立っており、アラバと目が合っていた。


 それには『出すな』という意味合いがあったのだろうが、


 「お前まで、疑っているというのか?」


 レフィーユはただ見つめていた。


 ただ、それだけでサイトは威圧に耐えれず。


 サイトは道を譲っていた。


 アラバは、仕方ないと思いもしたので、


 「今度くらい、皆さんの名前を覚えて来てくださいね」


 そう言って見送っていた。


 それを気に入らないのは、ヒオトだった。


 「貴方には、礼儀作法が無いのですか?」


 「失礼な話なのは、知ってますよ。


 ですが、あれは偽物ですよ」


 「じゃあ、その根拠はなんですか?


 私はあの人をずっと見てました。


 その経験すら、貴方が言いたい事が、愚弄しているのですよ!?」


 火のついた様に、ヒオトはアラバを叱りつける。


 「それはわかりますが、今は警戒態勢を敷くべきだとは思うのですがね?」


 「必要ありません、あれは本物…」


 その時だった。


 「すまない、迷惑を掛けた…?」


 まるで数分前の同じような、空気の悪さを察したレフィーユが同じようにして入って来た。


 「ね、姉さん?」


 「た、隊長?」


「どうやら、みんなに心配を掛けたみたいだが、


 さすがに身の覚えのない話だ、心配するような事では無いだろう?」 


もめ事の理由は自分にあると軽くレフィーユは察するが、事態の大きさをつかめてはいなかった。


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