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おもちゃの兵隊

作者: 罠日

 広大な砂粒を少女はざっくり踏んでいきます。

 背負った一つのガチャガチャ台は中の紙が既に白く変色していました。

 彼女の後ろを手の平大の丸いロボットがヒョコヒョコカタカタついてきます。

 丘に着きました。見下ろすと枯れた町が広がっています。

 「ここならあるかもしれない」

 少女は黒くすすけた遺跡を眺めて言いました。

 放置された自動車の、朽ちた鋼をサソリが渡ります。

 それを飛び越して翼を持ったロボットが宙を滑っていきました。

 中には魚に似せたロボットを持ち上げて運ぶ物もありました。

 陰の柱にラダイトと大きく書かれたポスターが幾つも貼られていました。

 柱をつたった管の先にある、小さな泉には幾つかのそのロボットが泳いでいました。

 崩れたコンクリートに腰掛けた少女は、独りでに多様な丸いロボットを吐き出すガチャガチャ台を置いて、ロボットが降らせる紙切れを集めて並べて見回しました。

 <号外:ランドネット根絶宣言>

 <ロボットの反乱>

 <米防空システムに重大なバグ発生>

 <相次ぐ異常気象>

 <ロボットの反乱>

 <皆の友達カプセロイド>

 <ロボットの反乱>

 <年平均気温過去最高>

 <機械の愛と人間の裏切り>

 <完全環境再生ネットワークシステム"ランドネット"計画の全貌を今明かす!!>

 自然と肩にロボットが乗ります。

 「ここも違う。まだまだ遠い」

 少女は肩を落とすロボットを慈しんで、

 「旅が終わるまでの辛抱だよ」

 と言いました。

 かたかたかたかたパンポンパンポン

 また一つ、紙切れ宙から降ってくる。

 かたかたかたかたパンポンパンポン

 突然ロボットの一つが反応しました。

 巨大な影が滑っていきます。

 少女が上を見上げると、肥大な竜が大きく弧を描きます。

 きらりと光を弾いたら、少女をめがけて突っ込んできました。

 「いけない」

 少女は慌てて錆び付いた頼りない階段を駆け降ります。そこにその場のロボットたちがパンポンパンポン応じますが、焼け石に水。

 竜の牙は彼女に向かって迫ります。

 少女は振り向きました。

 肩から飛び出しパンポンパンポン、竜に飛びつきパンポンパンポン、肩のロボット頑張ります。

 山椒小粒とぴりりと辛い。あわてた竜は飛び上がり、皆飛ばされ少女は手すりにしがみつきました。

 気づいた少女は首本に隠していた笛を吹いて皆を集めます。

 皆好きなの持ってきて、落として投げて飛びつきますが、竜は意に解しません。

 決死の努力も何のそのと、ゆっくり首を持ち上げました。

 その時でした。一つのロボットが持ってきた何かの小瓶がぶつかると、驚く爆発が巻き起こって、ぐったりと竜が垂れて地面に打ち付けました。

 顎には今もパンポンパンポンおもちゃの勇者が戦います。

 急いで駆けつけた少女は、電流が走る体の欠けたロボットを見て、先が短いのを悟りました。

 守られたお姫様が頭をなでてやると、かたかたかたかたといったっきり動きませんでした。

 少女はお墓を後にします。

 めぼしい紙をスキャンして、

 カタカタ カタカタ パンポン パンポン

 カタカタ カタカタ パンポン パンポン

 オモチャノヘイタイ ススメ ススメ

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