5本目
今回は自重を知らない作者が、趣くままに筆を進めた結果暴走し、人によってはドン引きされることも仕方のない内容となっております。読んでいる人を不快にさせたくはないので、1~4本目を読んでみて現状でもキャティパシーが一杯一杯な人は、マズイ空気を感じたら速やかな回れ右をお願いいたします。
では、――――スタート!
※前回までのあらすじ
俺の名前はタクル。健全な年頃のごくごく普通の男子高(ry
二日前に俺と会ったばかりの宇宙人――レイが俺の学校へと転入してきた。
俺が転入の理由を聞くと来たのには二つの理由があるそう。一つは地球人学者をしている忙しい俺の親父の代わりに地球人の調査・報告の目的があったらしい。
それで残るもう一つの理由も聞いてみたら、なんとレイは突然俺の手をとって、その手を自分の××へ導いて押し当てた。(××については前話を参照のこと)
おぞましい宇宙人をしていても外見は美少女。女の子の××なんて、エロ坊主の俺には刺激が強いわけで、『性的興奮が高まると触手モンスターへと変身を遂げる』という特殊体質の俺は抵抗無く触手モンスターへと変貌を遂げてしまった。
授業中の時間帯とはいえ俺が今居る場所は、生徒も先生も大勢いる学校の中。
「こんな所に、いつもでも居られるか! 俺は隠れるぞ!」
――と今思い返せば死亡フラグまんまのセリフを言って、我が身を隠すべく、すぐ近くにあったトイレへと駆けこんだ。
それでは、本編始まります。
* * * * *
「な、な、な、ななななななななななななな」
隠れたトイレの先で、俺は驚きの顔で壊れた蓄音機のような声になり、身体は小さく震えながらもカチコチに固まっていた。
「…………」
その原因は、目の前の三年生の存在。
――不運がいろいろ重なっただけなんだ。
俺が隠れ込んだこのトイレは、クラスによっては三年生の教室から一番近くもあるので、三年生の先輩らが利用することがあること。
例え授業時間であっても、トイレに人がいる可能性があること。
このトイレが学内で数少ない男女共用であること。
使用中にも関わらずトイレの個室の鍵を閉め忘れていた人が居た事。
俺が運悪く、そのトイレの個室へ入ってしまったこと。
その個室にいたのが、先輩である三年生の女子生徒であったこと。
もっとも、男子生徒だろうとそんなことがあったら、いろいろお終いになることは避けられないが……。
おぃぃぃぃぃ!? ラッキースケベと素直に喜べる状況じゃないぞ!
南崎陽子。それが目の前にいる先輩の名前。
見ていると心がポカポカしてくるような柔和な笑みをいつも称えている先輩で、水を思わせるかのように柔らかそうな黒髪、造形されたとしか思えないようでいて調和された自然な顔立ち、暖かな光が灯っているのかと錯覚しそうになる綺麗な瞳。
特必すべきは、胸に付いているたわわなおっぱい!
目測でも九十センチを超えていると思わしき豊満な母性の象徴は、陽子先輩の特性と相まって究極の「癒し」のオーラを放っており、男女ともに抱きしめられたいとの声が多数に湧いているとのこと。
だから、昨年度に非公式で行われた全校男子生徒と一部女子による美少女ランキングと彼女にしたいランキングを、ダブルで一位受賞し学園のアイドル兼お姉さまとして密かに祭り上げられているの当然の道理なのだろう。
そんな陽子先輩に恋慕している者はこの学校に数多くいるのだが、ある面倒な体質が先輩にはあって全員が玉砕されるどころかその前の告白の段階にすら辿りつけていない。かくいう俺もその一人。
……とグダグダ説明口調に説明をしていたけど、今が安心できる状況な訳がない。その陽子先輩が今、俺の目の前で便器に座っている。
トイレの個室という密室の空間に、突如として入ってこられる。言い逃れできない程に、犯罪的なスチュエーションだ。
今まさに陽子先輩は用を足すのを始めるとこだったらしく、スパッツとパンツを下してたが、外して膝上に載せたスカートがデリーケートゾーン隠していたので辛うじて大事な所を見ないですんだ。
スカートとスパッツを取っ払っているので陽子先輩の腰から膝上までの肌色率がパない。露わになった真っ白な太腿やお尻がスゴク眩しいです。
ついつい見とれてしまいそうに……じゃなくて、この状況は確実にマズイでしょ! 絵面的にも。どう見ても覗きの範疇など軽く超えたレベルになっている。
「あっ……!」
座っていた時からいろいろと限界だったのだろう。暫く固まっていた陽子先輩が小さく漏らした途端に、何処からともなくチョロチョロと水音ががががががががががが……。
耐えろ! 俺の理性! ここで持ち堪えられなかったら、とんだド変態だぞ! それでもいいのか?
必死に自己との対話を幾問も行って自制心を高めるという、修験者ばりの精神統一法を用いて俺の中で暴れ狂う理性を抑えつける。
しかしそれは、「間違いを起こさない」まで止めるしか効果の無いことで、いまだに油断ならない状況が続く。沈まれ、俺の右手!
――と、ここまでで落ち着けたのは俺だけだった。
トイレでリラックスしていたところに、精神衛生上よろしくのない触手の化物が侵入してきて、パンツは下しているスカートは外しているあられもない格好、しかも目の前で漏らしてしまう。
こんな状況、あなたは耐えられますか? ――答えはノウ。
陽子先輩は、瞳に涙を湛え、恐怖と羞恥と混乱が爆発寸前になってしまっている。
「(――すうっ!)」
この状況で悲鳴を上げられたら、間違いなく社会的死亡は間違いない。
罪状なんて詳しいものは知らないけど、一つや二つどころでは済まないのは分かる。
陽子先輩の口がまさに声を出そうと吸い込んだ息の溜められた口が開かれた時に、「何とかせねば」と考えるよりも早く、身体の触手が勝手に動いた。
シュッ!
ギリ!
ガチャ!
ズボッ!
「――! ――!」
声にならない、声に出せない悲鳴を上げる陽子先輩。
一つ目は、触手が素早く動く音。
二つ目は、逃げないように触手が陽子先輩を縛った音。
三つ目は、トイレのドアの鍵を閉める音。
四つ目は、悲鳴を上げようとしていた陽子先輩をなんとかしようと口を押えようとしたら、粘液で滑った触手が誤って先輩の口の中へとちょっと入ってしまった音。
これはエロい……じゃなくてえらいことになってしまった!
どうにかしようとして、ますます後戻りができない状況になってるううぅぅぅ!
こうしてあたふたしている間にも、触手が滑るからより強い力で陽子先輩を締め上げてしまうし、暴れまわるものだから体はどんどん粘液まみれになっていく。
シャツなんかは粘液で濡れてぴったりと張り付いたシャツからうっすらと下の肌が透けて見え、足の部分や着崩れた首元がテラテラと光ってより酷い状況を現在進行形で作られている。
や、ややヤババババ、り、理性が……理性が……。
どうする? こんなときどうしたらいい!?
そうだ! こんな時こそ落ち着くんだ。
え〜と、落ち着くためには素数だ。素数を数えるんだ!
………………………………。
0って素数だったっけ?
ああ〜、駄目だ駄目だ! 気になって数えられない。他には? 他にはなかったか!
そうだ二の平方を言えばいいんだ。この際、合っているかどうかなんてどうでもいい! とにかく数えて、精神を落ち着けるんだ。
1.41421356……「ふむぅ! むふー! あぅん」……って落ち着けるかー!
口の塞がれてくぐもった声をあげる先輩の声が耳に入って来る。なぜだかその声はとても艶めかしかった。特に最後が。
苦しがっているとこやまやまですけど、社会生命にかけて今話すわけにはいけないんです! こんな場面で大声出されたら色々なことが終わってしまう。
とはいっても、これ以上押さえつけることは一杯一杯で、精神的はもうすぐ限界が来そうだ。早く何とかしないと。
幸い、まだ理性は保っていられている。……風前の灯のように、頼もしくないものだけど。
「先輩……驚かないでください」
「――!?」
陽子先輩の目が驚きで見開かれる。
無理もない。目の前にいるのは、触手姿のグロテクスな謎の生物。そいつが喋ったのだから、驚くのは仕方がない。
俺だって、目の前でウネウネした肌色の触手生物に話しかけられたらそうなる。
「暴れないで、落ち着いて話を聞いてください。でないと、俺どうにかなってしまいそうです」
話は奇跡的に通じてくれたようで、先輩は触手で自由がききにくい中、暴れるの止めて小さく頷いてくれた。
ちなみにこれ以上面と向かって先輩を直視していると、残り僅かな精神のゲージが無くなってしまうので頷いてくれた後、俺は目を先輩から逸らした。
「いいですか? 今から口から手を放しますよ。お願いですから、お願いですから大声を出さないでくださいよ……」
ここで大声を出されたら、一貫の終わり。一生痴漢のレッテル貼られて、世間に顔向けできないことになる。
祈りながら恐る恐る、口の中に入ってしまっていた触手を出す。幸いなことに大声を出されることはなかった。
「放しますよ」
先輩の体に巻きつけていた触手の拘束を解く。今度もまた、暴れ出すようなことはなかった。
「あなたは……?」
「は、早く、そその着けてください! 色々限界なんです!」
先輩の疑問をかき消すように、俺は先輩に服(下の方)を着てくれるように急かした。
先ほどから、あられもない姿になっているであろう先輩の居る方へ、間違ってでも顔を向けてしまわないように、俺は顔を触手であらん方向へ固定している。
大好きな女の子に危害を加えるようなことをしてしまえば、紳士が廃る!
ただでさえ絶望的な状況に陥っているのに、これ以上あってはどうにもならない。何としてでも、間違いがないようにしないといけない。
「………! はっ、はい」
混乱で、自分の姿が先輩にはどうなって居るのか考える余裕が無かったのだろう。
指摘されて改めて気がついたようで、先輩の顔顔はボッと真っ赤になる。――という姿が想像された。
……覗いてなんかいないよ?
第一、俺はストリップに関しては上から脱いでいく方にエロティズムを感じるんだ。世の中には着衣エロなんてジャンルがあるが、結局それは裸身を強調させる為のエッセンスでしかない訳で……。
「ブツブツと何を喋っているのですか?」
「!? なんでもない。ただの空耳じゃないかな?」
「そうですか」
いっけねぇ。危うく駄々漏れの思考が、先輩の耳に入る所だった。呟きは幽かなものだったらしく、うまいこと先輩の耳には入っていなかったようで、空耳で納得してくれたようだ。
これでパンツやスカートを穿いてくれてやっと一安心……という訳にはいかなかった。
むしろ思春期男子エロ高校生には、ここからが気を緩められない正念場だった。
――カラカラカラ。
「――!!」
先輩を見ないように、目の前一センチのトイレのドアを必死になってひたすらにジッと見つめていると、トイレットペーパーを巻き取る音が耳に入ってきた。
そうか、女子ってそういえば大じゃなくても紙を使って…………
くぇ〒dちゅいおДrp@■※くぁせぇどぇあげご○ごぺ◆ぺぺぺ!!!!!
生々しいトイレットペーパーの音を発端に、ナチュラルに紙が使われている姿を妄想で思い浮かべてしまった。
となれば、紙が使われる場所も一緒にでてくるわけで……ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉあ!
たとえ妄想の中での事であっても、そこが男子にとって十分な破壊力を持つほどの刺激を持つことには変わらない。
――カラカラカラ。
うおぁぁぁぁぁぁぁ!
第二波の到来。
なぜ一回では終わらなかったのですか神さま!
この場合、神様を責めるのはお門違いなのだけど、そうでもないとやってられない。
落ち着け、俺!
3.14159265……………。
頭の中の雑念を追い払うべく、俺は円周率を必死になって数えだした。
* * * * *
「もう、こっちを向いても大丈夫ですよ」
「……ぜぇ……ぜぇ……」
こんなに疲労困憊したのは何時ぶりだろう。よく我慢ができたと、今の俺を褒め称えたい。
トイレットペーパーが終わっても、衣擦れの音やホックを留める音が待ち構えていた時は、絶望的な気分を抱いたぜ。
「どうしたんですか? そんなに疲れた息を上げて。もしかしてどこか具合が悪いのですか?」
さっきまでの事を忘れたかのように、自分の身よりも他人の身を心配するような言葉をかけてくれる先輩。
「……どうして襲おうとしていた相手にそうなれるんですか」
醜い触手の化物な姿の上に、あんなことを先輩にしておいて俺なんか優しくされる資格なんてないのに、この先輩はどうしてこうも相手に優しくなれるのだろう。
「だってあなた、私が落ち着いたらすぐに放してくれて、その後も手を出そうなんてしなかったでしょ? 私を抑えたときだって、私がトイレの鍵を閉め忘れたところにうっかり入ってきて驚いてしてしまっただけですよね?」
「うう……。ありがとうございます!」
陽子先輩、メチャクチャ良い人です。優しさが沁みすぎて、俺は泣きながらに先輩にお礼を言う。
トイレの個室という狭いスペースの為に、土下座も頭を下げることも適わないのが心苦しいところだ。
この人、外見だけじゃなくて中身まで本当に優しい人だったよ!
普通、自分にあそこまでした人を許すどころか、優しくなれる人なんか知らないよ。
「よかったらあなたはなんなのか、教えていただけませんか?」
返そうと思っても返しきれないほどの恩義が、この先輩にはあるんだ。答えないはずがない。
俺は先輩に自分の事を、何もかも話した。
自分の正体が二年生の天道拓瑠であること、生い立ちのこと、性的興奮が特殊な体質であること。
俺の抱えていた、人には話せない体の秘密を全部先輩に話した。今まで人には打ち明けられなかったことなので、先輩に話ことで少し気が楽になった気がした。
俺の話を聞く度に、先輩は興味深そうだったり驚いたりしていた。
逆に俺が驚かされたことがされたこともある。先輩が俺の事を知っていた。
『どうして俺の事を?』
少し淡い期待と共に、その理由を聞いたらすぐにその訳が分かった。
『それはね、天道君が学校の有名人だからですよ』
俺にとっての「有名な」の示す意味を考えたら、馬鹿な俺でもすぐに理解ができた。これほど納得のできる理由も他にはない。
『私の友達も言っていたの。『天道拓瑠って名前の二年生は変態でスケベだけど、ヘタレどーてーだから無害な所は取り柄だ』だって。どうして私が無事なのか、あなたがタクル君なんだって聞いてますます納得できたよ。ところで、どーてーって何?』
会ったことの無い、話しで聞いただけの人を信用して頂いて真に感謝の至りです。ですが、「童貞」の意味だけは知らずに、どーかそのピュアな存在でいてください。正直、真面目に意見を聞かれても、俺としては非常に答え辛いですからねその質問は。
それから先輩は、俺の言った信じられないような本当の話を、殆どを聞き入れてくれた。
「所で元の姿には、もう戻れますか?」
先輩に聞かれたので、体に元の人間の姿に戻れと強く念じて確かめてみる。うん、いけそうだ。
そのまま元の自分のすがたを強く念じると、辺りに伸びていた触手が徐々に短くなり、あるものは手足の形を取り戻し、またあるものは人間としての形を取り戻しつつ体へと引っ込んでいく。
「本当に天道君だったんだね。ちょっと腕とか見せてね……本当だ、本当に人間のそれだ」
目の前の出来事と、そこから現れた人間の姿に感心する先輩。先ほどまで触手だった足や手に興味を寄せて、触ったり撫でたりで観察している。
「あの〜、先輩。あんなことがあった後で俺が言うのもなんなのですけど。年頃の女子が異性相手に身体をペタペタ触るのはいかがなもんなんでしょうか?」
破廉恥とは思わないけど、ウブなこれはこれでドキドキするもんだ。下手したら、また触手に逆戻りなのでこの辺にしていただきたい。
「御免なさい。私ったら不思議なものを目の当たりにしてつい……あの触手の触り心地が最高で」
小さくペコリとお辞儀をする先輩。その仕草が妙に可愛い。後半になにか小さく聞こえた気がするけど、きっと気のせいだろう。
「私に協力できることがあったら何でも言ってね。学年は違うから近くでサポートすることはできないけど、それでも力になれることはあると思うから。そうだ! 電話番号とアドレスを……と思ったけどケータイは私のカバンの中だし、メモはこんなところだから持ってきてないし、こんな状況じゃそれどころないよね」
校内一の美少女の先輩から連絡先をもらうという思いがけずに振って湧いた幸運に天への感謝の祈りを捧げ、直後のやっぱそれ駄目でしたに祈りを返上して代わりに呪詛を投げる。
そりゃないよ、あんまりだ!
「お昼休みに天道君のクラスに向かうからその時にしましょう。私は服を着替えに更衣室に向かうから、これでひとまずはそれじゃあね」
神様、私が悪うござんした! 神様チョーイイ人、マジパねぇぜ。神様愛してるぅ!
調子いいな……俺。
トイレの長居が過ぎたせいで、レイのやつ待ちぼうけをくらっているんじゃないだろうかと、レイが待っている場所へと戻ってみると……。
『やることがあるので勝手ながら帰っときます。色々と説明事項とかをしないといけなかったんですけど、それは下校してお家に戻った時にしときます。 by水金地火木土天海冥星人より』
「ドコの出身だよアイツは!?」
宛先人不明だけど不明じゃなかった。宇宙人を名乗る人物に心あたりは一人しかいない。
おまけに、所々で畏まったり軽かったりする文調は間違いなく彼女のものに違いない。
結局、レイが俺の居る高校へ転入してきたもう一つの理由とやらは、今日の学校が終わるまでおあずけになってしまった。
「なろう」においてのジャンプにおけるToLOVEる的な枠を狙いたい。
そんな密やかな目標を抱いているこの作品なのですが、どうでしょうか?
次回は残念ながらエロ成分が不足してしまう内容が予定されています。




