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朝起きると卑猥な生物になっていた!?  作者: Iso Rock
おっぱい星人とナイチチ星人
10/11

10本目

「なあタクル。ネットの広大な海でようやく出会えたこの虹画像どうよ? お前好みのいいおっぱいなんじゃないか?」

 休み時間。俺はクラスの男子と、ムフフな画像の鑑賞会を行っていた。

 俺に意見を求めてくるツムグ――代々木紡よよぎつむぐの言う虹とは、二次元を指す隠語で、つまりはイラストのことだ。

 清く正しく常に紳士を心がけ、且つ、自称エロのソムリエである俺は二次元も三次元も平等に嗜んでいる。

 三次元のエロティズムが感覚の伴うリアリティーの世界だとすれば、二次元はその逆、非現実性に富んだファンタジーと妄想の世界といえるだろう。

 例えば、人体の構造ではありえないサイズのおっぱいも、現実ではありえないシチュエーションも、人外の美少女でさえも、全ては絵師の思うがままだ。

 ツムグのイラストを見ると、そこには巨乳美女が触手に絡まれてヌレヌレでグチョグチョになった姿が。

(……うう、先輩とのあれな事を思い出してしまいそう)

 イラストを見てしまった俺は、恥ずかしくて柄にもなく、エロいもので顔を赤らめてしまう。

 体に流れる宇宙人の遺伝子が覚醒し触手な生物になった俺は、不幸な事故によって以前に男子の彼女にしたいランキング第一位で有名な南崎陽子先輩に粗相をしてしまった。

 その時の状況を説明すると、俺が女子便所に駆け込んで、先輩と個室で二人っきりとなり、そこで先輩に触手を絡ませ粗相をしてしまったというかむしろ粗相を見てしまったというべきか。

 先輩がこのイラストみたく巨乳美人なこともあって、俺はイラストの触手に俺を、巨乳美女に先輩を重ね合わせて見てしまう。

(こんな想像しちゃ駄目だ、さすがに思い出すのは良くないだろ!)

 状況を説明すれば間違いなくお縄必死の出来事だった。けれど、その俺に悪気はなかったとはいえ、普通の人ならまず許さない出来事を先輩は許してくれたんだ。だったら俺は、例えイラストがエロかろうともとも極力思い出さないの筋というものだ。

 しかしだ。

 男とはスケベ心と誠実な心はそれぞれ別物。真面目な事を考えていてもエロいことを考えることが出来てしまう。真面目でムッツリな男なんて割とよくある話。

 これから何が言いたいのかというと、理性だけじゃ抑えられない部分はある訳で、俺は在りし日の感触を否が応でも思い出してしまう。

「お前が赤くなるなんて珍しいな。そんなにこの絵は、お前から見ていやらしかったか?」

「いや、ちょっと別の事を思い出して」

 隣から話しかけてきた、俺の友人兼インテリ系メガネ男子キャラのアキラ。

 俺から見て友達付き合いのいいメガネの優男にしか見えないのだが、こう見えて女子人気が高く、こうして俺たちのエロ談義している輪に割り入ったとしても……。


「あのエロ男子達の所にいるのアキラ君じゃない?」

「ホントだ。あの変態触手の所だ」

「だったら、モテるのに彼女をなかなか作らないアキラ君も、ちゃんと女の子に興味あるってことよね」

「そうよ、誠実の仮面に隠された野獣の貌。雑食系男子って素敵じゃない」


 と、見事に評判を落とさない。変態触手呼ばわりの俺とは雲泥の差だ。

 特に珍しくもなくアキラとはエロ談義を交わしているのだが、俺とアキラどこで差がついた!?

 かといって、アキラが嫌いじゃないんだよな。

 さっきも言ったけど、付き合いがいい。人の話を聞くのも自分から話すのも得意で、色んな会話の中心飛び込んでは、直ぐに話を合わせてついて来れる特技を持っている。

 どんな人でも好奇心をもって接するのが好きで、こうやっ、エロ談義に入ってくるのも、エロ目的よりどちらかといえば、大勢が楽しんでいる空気を楽しむのが大方の理由だといっていた。

「それで、どうだと思う? この代物を」

 ツムグに再度尋ねられ、俺はエロ談義へと思考を戻す。

 うーん、これは。

「確かに触手の絡みつく構図はなかなかのものだ、それにこの巨乳美女の持つおっぱいは形もバランスも極上と太鼓判を押していい代物。それを結構の粘度のある粘液を纏った触手によってたわわなおっぱいを歪めらた巨乳美女の肉体にはどこか背徳的なエロスを感じさせている。

 だがこれは駄目だ。

 特にこのおっぱい。これが本来ならば整ったであろう全てのバランスを崩している」

「なぜだ! お前はさっきこのおっぱいに極上の太鼓判を押したじゃないか!」

 そうさ、俺はそのおっぱいを極上物に認定した。文句をつけようにも賛美しか飛ばせそうにない程に美しい大きさと形に描かれている。触手に絡まれる巨乳美女とまさしく二次元ならではを活かしたものといえよう。

「そうさ、確かに極上だ――おっぱいだけを見ればな?」

 ここまでツムグのイラストに称賛を与えて俺だが、ここで物申す。

 どうしてもこれだけは言っておかないと、ツムグはおそらく大事なことに気づかないだろう。

「おっぱいだけだと!?」

 上手い事多くの目を欺けてはいるが、この拓瑠様の眼は誤魔化されないぞ。

「試しにその手でおっぱいを隠してみたらどうだ?」

「これは……!?」

 手でおっぱいを隠し、改めてイラストを見なしたツムグは、口を大きく開け顔を驚愕の色に染めた。

 良かった。自分から先に気付いてくれたようだ。

「どうだ、これで解ったか?」

「ああ、解ったよ。気付かなかった……この巨乳美女がこんなにも胴長だなんて」

 おっぱいを隠されたイラストの巨乳美女は、ダックスフンドの様に胴長であった。

 巨乳って描こうとすると、全体をバランスを取ろうとして胴長と化してしまう。巨乳を自然に描くというのはとても難しい事なのだ。

「もしも三次元ならば、巨乳美女は奇跡的な比率のもと自然な調和が保たれていたであろう。なんせ本来のありのままがそこにはあるからな」

 これが二次元の落とし穴だ。人の思い描く理想のもと描かれる二次元のおっぱいは一見、完成されていると思えてしまう、しかし、理想のおっぱいをあまりにも追い求め過ぎると、人から掛離れてしまうんだ。時にそれは化物じみたものになってしまうこともある」

「俺は二次元美女のおっぱいを追い求めるあまり盲目になっていたんだな」

「別に、二次元を悪いとは謂わないさ。俺だって架空の女の子がキャッキャムフフな絵は大好きだ。爆乳も魔乳も超乳のおっぱいだって大好きさ。ただ、このことをよーく憶えて欲しい。

 ――人は理想から完全じゃないからこそ美しいんだってことを」

「……素敵な言葉をありがとうタクル。心に刻んでおくよ」


『…………』


 ツムグのみならず、男子全員が静かに俺の話を聞いていた。

 そして聞き終わると同時に俺たちの間で静寂が流れる。

 その静寂を初めに破ったのはアキラの鳴らす弱々しい拍手の音だった。

 それを皮切りに、一人、二人、三人と徐々に拍手を打ち鳴らす音が増大してゆく。やがて、拍手の音は大きな波となって俺を包み込み、そして飲み込んだ。

「さっすが、俺達のタクルさんだ」

「全く持ってその通りだ、いいこというよなお前は」

「俺、二次元ばっかり傾向していたけど、三次元も嗜むことにしたよ」

 多くの男子が涙を流しながら、俺の意見に賛同してくれる。同志達よ我が言葉を理解し、感じててくれたか!

『タ・ク・ル、タ・ク・ル、タ・ク・ル、タ・ク・ル!』

「皆、ありがとー!」

 男子全員が俺を称えてくれる。こんなに嬉しいことはない。

 そんな俺たちを覚めた目で見つめる者達がいた。


 ――女子連中だ。

 彼女らは道路脇の溝に詰まったヘドロを見るような視線を俺達――もとい、俺を見てくる。

「なんで俺だけなんだよ!」

 俺へと視線を向ける中心人物である三ツ橋成海へと抗議する。

「あんたが突然、壇上に上がって大声でおっぱい叫びしながら熱弁奮ってたからでしょうが!」

 しまった。つい討論が熱くなるあまりこんな暴挙を。これは、女子らが嫌悪の表情を向けるのも仕方のないことだ。

 これはたとえ話だが、腐女子がBL談義をしていたとしてアナだのニョードーだのそんなことを話しているのを聞いてしまったら俺だっておぞましいもん。

 嫌いな話を耳に入れられることの苦痛たるや如何ほどのものか分かる。

「この度は女子の皆様方に節度ある行動が保てなく真に申し訳ありませんでした。私めのような者がこのようなことをしたところで、貴女様方の気分が優れるとは思いませんがどうかお許しください」

 俺は深く膝を付き姿勢を低くする、そして額を擦り切らんばかりに床へとくっ付けて、クラス内の女子全員に向け低頭平身の構えで謝罪した。

 女の子を俺の言動で気分を悪くさせてしまった。女の子が大好きな俺として、それだけは絶対にしちゃいけなかったんだ。

 見てくれ、これが俺の全力の謝罪だ!

「あのまるで真っ平のような身の下げ方、頭をあの低さで保つ姿勢、そして腕の曲げる角度、本気で覚悟の伝わってくる――これはガチ!?」

「見てよ、あの黄金比を意識したあの土下座の形状、全てが美しい」

「前に家のお父さんがお母さんに土下座しているのを見たけど、あの時のお父さんよりも洗練されているわ!」

 いささか、俺の謝罪が違う方向性へと流れている気がするけど、誠意は伝わっている。よな?

 俺へと突き刺さっていた視線が、今度は視線をむける中心人物である三ツ橋成海へと向けられる。

「あー、頭上げないさい。さすがの私も、あんたを土下座させようなんて思ってなかったわよ。もう、どうして私の方が罪悪感を感じてしまうのよ」

 そうか、成海は俺の土下座を見てそんな気分になってしまったのか。そっちは全然悪くないなのに、申し訳ない事をしてしまった。

 本気の謝罪って時として良くないのか。一つ勉強になった。

 俺は体を起こし、頭を上げる。

「三ツ橋成海よ、俺を許してくれるかのか!」

 許しをくれた人物へと俺は駆け寄る。

「はい、ストップ! 半径1メートル以内には近づかないで」

 元から避けられてはいたからこれは仕方ない。残念だ。

「しかし、男子って嫌よね。どーせ、美乳だのなんだのいっても、結局はおっぱいは大きい方が良いんでしょ」

「馬鹿言え! いくら巨乳をもっていたとしても垂れるようなデブに用はない。去れ」

「私に告白して来た男子って、皆、胸ばっかり見てくるような奴だったわ。碌な男がいないったらありゃしない」

「私なんか前に付き合っていた男子に、胸を盛っていた秘密をバラしただけで別れ話をしてきたのよ」

「そこは男として言っておく、バストサイズの詐称で怒るのは間違っちゃいないから」

「同じ男として言っておくが、お前の考えは間違っているから」

 なんか、おっぱいの話が男女共に飛び火してる!?

 ひょんなことでクラス一同を巻き込んで、些細なエロ話のはずが大きな話題となっていた頃。

 そんな中、全く話を理解していない人物が一人。


「所で、皆さんのさっきから言っている『おっぱい』ってなんですか?」

『えー!?』


 レイの発言にクラス一同は、騒然となった。

前話からの人はお久ぶりです。

エロって突き詰めると哲学なんじゃないかと思い出してきた今日この頃。

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