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1章  姫君ともう一人は捨てられました。

はじめまして。

初投稿です。

この話は続きものなので1話完結ではありません。

あまりの文章表現力の低さに驚きになるかもしれませんが

そっとしといてやってください。


俺はアイドルが好きだ。

言うならば、ドルオタなのだ。

だってアイドルって可愛いし、俺に笑顔を向けてくれる。

キラキラ、フリフリの衣装を纏って歌ったり踊ったりする姿は女神のように感じる。

俺はその女神もといアイドルに心を奪われて何年立つだろうか。

小学校の低学年の時にはもうアイドルの写真をこっそり筆箱に

入れてお守り代わりにしていたからだいたい10年くらいだろうか。

とにかく、俺はアイドルが大好きなんだ。

だから、別に、学校帰りで同じ学校、あるいは近隣の学校の学生がわんやわんやといるバスの中でも俺はなにも恥らうことなく、アイドル雑誌を読めるのだ。

俺は一番後ろの窓際という最高のポジションを陣取り、ページをめくる。

雑誌には水着姿で麗しき肌をさらしたアイドルが俺に微笑みかけている。

ポニーテールは元気っこの象徴。

高い位置でくくられた黒い髪が、彼女の笑顔をまた美しくみせる。

ピンクの可愛らしい水着で隠された胸は控えめ。それがまたいい。

ポニーテールの彼女をじっくり堪能して俺はまたページをめくる。

次は、茶髪のいかにもなお姉さんが俺を見つめて、セクシーポーズ。

下手したら裸なんじゃないかという布の少ない黒い水着をまっとっている。

いいな。このおっぱい。

お姉さんはこぼれんばかりのおっぱい所持者だ。

ポニーテールの彼女の控えめおっぱいもいいんだが茶髪お姉さんの大胆おっぱいもまたいい。

なんか、おっぱいしか見てないみたいになってるけど、俺はアイドルが好きなんです。本当です。

「うわ・・・」と女子高生が俺をみてドン引いた声を出しているが気にしない。

現実の女なんて皆こうだ。俺はそれをわきまえている。

俺は堂々とアイドル雑誌を読むことを続行。

ページをめくる。

アイドルの水着コーナーが終わり、ライブ潜入レポ!!とかかれたコーナーへ。

俺はこのコーナーが好きだ。だって普段見ることのできない、アイドルの裏側がみれるからね!

可愛い可愛い。

可愛いアイドル様たちが笑顔でこちらにピースしてたり、ふざけて変顔(可愛い子がしたら所詮可愛い顔)してたり可愛い可愛い。

思わず、ヨダレが出そうになるが我慢我慢。

俺はじっくりクールに女の子たちを堪能する。

アイドルを見つめるこのときこそ幸せになる時はないだろう。

「あのぉ・・・」

なんだ?俺の幸せタイムを断ち切ろうとするものは・・!

控えめな、消え入りそうな女の子の声だ。

え?

女の子・・・?

俺は耳に入った声が女の子だと認識した。

ソプラノ調の優しくてふわふわしたこえだった。

だけど、待て。

こんな場所、学生がわんやといるバスの中で堂々とアイドル雑誌を読む男に話しかける子なんているのか?

いないよな。いないいない。

まったく俺はなんてヤツだ。現実はそんなに優しくないとわきまえていると言った手前で、

このような甘い考えをもつだなんて・・俺のバカっ!

「あのぉ・・」

あれ・?

俺は病んでいるんだろうか・・

まだ女の子の声が聞こえる。怪しいお薬に手をだした覚えはないんだけどな・・。

俺は遂に幻聴まで聴こえるのか・・・?

俺は半呆れながらゆっくりと視線をあげてゆく。

俺は思わず宝とも言えるアイドル雑誌を落としそうになった。


視線をあげた先には女の子が本当にいた。


一瞬、俺の幻覚か何かだと思ったが違った。

彼女はこの世界にリアルに存在している。

俺の知っている女の子はいつも笑顔で煌びやかだが、彼女たちは皆が皆リアルじゃなかった。

俺が女神のようにあがめている彼女たちも確かに存在している。

遠いどこかで、息をしている。

けど、俺の知ってる限りの彼女たちは雑誌やテレビの中でニコニコと偽りかもしれない笑顔を浮かべた平坦でリアルを感じなかった。

しかし、今目の前の彼女は違う。

同じ空間で、同じ空気を吸って。

どこか不安げな表情を浮かべしどろもどろしている。

俺はどこか新鮮さを感じた。

ゴクリ、と生唾を飲み込む。

まさかこんな本当に女の子に話しかけられるとは・・

ビデオの中から女の子に話しかけられるのは良くある事なのだが、実際、目の前に存在している女の子に話しかけられるのははじめてだ。

俺は緊張でアイドル雑誌を持つ手が震える。

たかが女子に話しかけられただけで、と思うかもしれない。

そうじゃないんだ。俺がこんなにも緊張している理由は!

たしかに現実のリアルを感じる女の子に話しかけられたこともそうだが、理由は他にもある。

可愛いんだ。

その子が。

黒髪のボブヘアに、ぱっちりとした瞳は少したれ目で優しげな印象を受ける。

鼻の筋も通ってるし、顔はお人形のように整っている。

小柄な体躯の割りに、胸は大きめだ。

まるで美少女。いや、ただの美少女じゃないか!!

「わ、私、見六姫里って言いますっ!!」

美少女も美少女で緊張してるようで、後半は声が裏返っていた。

見六姫里と名乗った彼女は大きめな胸を押さえ大きく息を吸い込む。

「私!アイドルになりたいんですっ!!協力してもらえませんかっ!?」

プシューーーー!!

「中央通。中央通です。お降りの方はお忘れ物にお気をつけて・・」

彼女が言葉を言い終えると共に、バスがバス停に到着し、扉がひらく。

俺はあまりのグッドタイミングさに言葉も出ない。

空気よめよ!!運転手!!

と、俺は心の中で叫ぶ。

おかげでもう話切り出すタイミングを見失った。

「あ・・えっと・・」

女の子も女の子で切り出す言葉に迷っているようで、ぼそぼそとなにかつぶやいている。

「発車しまぁーす。」

沈黙のなかで運転手のけだるさの混じった声だけが響く。

もうホント空気呼んでよ!

運転手の宣言どおりバスは発車した。

沈黙が支配するバスの中、エンジン音がやけに耳につく。

他の乗車者は奇異な目で俺たちを見ている。

俺はこの空気に耐えかね、目前に立つ女の子に声をかける。

「と・・とりあえず座ってみてはいかがだろうか・・?」

俺は敬語だかなんだかよく分からない口調なんだよっ!?

もうちょとこうスタイリッシュな口調にしたかった。と俺は後々後悔する。

「はっ・・はい!」

女の子はとっても素晴らしい返事をして俺の隣に座った。

「えっと・・アイドルになりたいの・?」

とりあえず話を切り出した。

隣に座っていての沈黙はつらいからね!

「は・・はい。」

彼女は頬を赤らめてうつむきながら小声で返事をした。

「で・・でも・・私・・そんなに可愛くないし、ア・・アイドルのこととかなにも分からなくて・・だっ・・だけどアイドルになりたくって・・・」

女の子はおぼつかない、つたない言葉を一生懸命に発していて声が震えていた。

「だから、いっつもアイドルの雑誌読んでるあなたにきょ・・協力してもらいたいな・・なんて・・。」

女の子がちらりと俺の手にもたれているアイドル雑誌に視線を落とした。

なるほど・・・驚いた。

こんなみんなから女の子からキモイキモイと俺が言われている原因がまさかこんな可愛い女の子を引き寄せる事になるなんて・・・

アイドルとは末恐ろしいものだな・・・

しかし、女の子の期待に沿えることは不可能な気がする。

「協力って言っても・・俺はただのドルオタで全然芸能界につながってはないけれど・・・。」

そういうことだ。

俺はどうあがいても気持ちの悪いドルオタだ。

アイドルの事は大好きだ。

だけど、自分がアイドルなワケじゃないし、妹がアイドルとか、幼馴染がアイドルとかそういうロマンチックなことがおきてるワケじゃない。

芸能界に顔が効くわけでもない。

俺はただのドルオタなんだから。

協力なんてできるんだろうか・・・できっこないさ。

勇気を出して俺みたいないかにも怪しいやつに話しかけた女の子には悪いけど俺はなにもしてあげられない。

「いいんですっ!芸能界とかに繋がるとかじゃなくて!」

女の子の声は今までで聞いた中で一番大きな声だった。

「わ、私はあなたみたいなアイドルが好きで、理解のある人の話を聞いて、アドバイスしてもらいたいというか・・なんというか・・と、とにかく!私は芸能界へのつながりを求めているわけではなくてですね・・えっと・・」

序盤は気持ちが高ぶっていて迫力があったのだが、だんだん我に返ったのか声が小さくなってゆき、最終的には黙り込んでしまった。

女の子の求めているものは俺の思っていたものと違ったらしい。

ただ、自分の好きなことを同じ事を好きな相手と話をしたかっただけだったんだ。

「俺なんかでいいのですか・・?」

俺は恐る恐る問いかけてみる。

「はいっ!」

姫里は花のような笑顔を見せた。


ずっと奇異な目で見つめていた乗車者たちが拍手をしだした。

パチパチ・・パチパチとしだいにその拍手はバス全体に広がる。

「おめでとう!」とまるで某エヴァンゲリオンのラストシーンみたいになっている。

バスが急停止し、扉がプシュー!と大きな音を立て開かれた。

「いきな。お前たちはこれからだろう。」

渋い声の運転手のアナウンスが流れる。

俺たちはそれにつられ、立ち上がり、バスから降りる。

俺たちが降りると同時にバスの扉が閉まり、発車しだす。

バスの中ではまだ拍手が起こっていた。

運転手が俺たちにむけて、二本の指を立て額の前へかざしそれを前へと突き出した。

まるで別れの挨拶のようだった。

GOODLOOK!!そういってる気がした。

もう、バスは遠くに見え、小さくなり、後に見えなくなった。

なんだが目頭が熱く、胸の奥がきゅっと締め付けられた。


・・・いやちょっと待て!!

おかしいだろっ!!

俺がこの事態のおかしさに気づくのは遅すぎた!

なんで!?

あいつら全員、雰囲気でよく分からねぇ演出をしやがった!

完全に学生のノリだよっ!?

俺たちはバス停でもないよく分からない土地にナチュラルに捨てられた。

「・・どうかしました??」

姫里ちゃんはまだ事の重大さに気づいてないのか小首を可愛らしく傾げた。

「いやいやいやいや・・・姫里ちゃんここどこだか分かる?」

「ふえ?」と間の抜けた声を上げあたりを見回す姫里ちゃん。

だんだん、顔が青ざめていっていますねはい。

「ど・・どうしましょう分かりません!!」

だよねー。

あたりは住宅街のようで一軒家が多く立ち並ぶ。

どこもかしこも似たような家ばかりで全く、場所が分からない。

俺は今日アイドル同盟を結成した。

そしてどこだが分からない土地に捨てられ、置き去りにされた。

本当、いいことのあとって絶対に悪い事おきるよね!?












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