7話 深海域
恒久的な感覚遮断状態を維持、アレを知覚しない為に、認識範囲外を暗黒の中を何にも支えられずに手探りで目的地も見えぬままに探すように心細かった。
「、、、」
本体と分体同士に紡がれた魂間の霊的なパスがロープ代わり、命綱で在り、それに暖かみを感じて心細さを和らげていた、方向、時間の感覚など当たり前に無く、ただただ無重力を浮いているような気持ちに成る。
何かが横切ったような瞬間、激突する。
「ん!?感知したこれは、、、あれ?地上?」
その平面から眺められる光景は元いた世界の地上と比較して色彩が更に増えたような世界だった、雨上がりだったようで空には虹が走っていた。
「あれ?なんか、太くね?」
グレンは、十四色で構成された虹に違和感が絶えなかった、だがその14個の色のうち7つは、元いた世界の一般的な人が捉えられる色彩ではなく、より進化した錐体細胞を前提としているようだ。
普通の人間が感覚的に分かりやすく例えるとしたら、1+1などの幼稚な算術をしてる場所にいきなりテトレーションや指数関数がぶち込まれるような感覚だ。
「う〜ん、全部多様化、実体化してやがる、自由度が異なるようだ」
四つの性別が在る霊長類、彼らは十感覚を使い分けて高度な文明を築いていた、神智学的な認知能力を基礎から行える感覚器官を兼ね備えている。
更に良いならば、神秘主義的な修練を経ずとも産まれながらにして多次元構造が細胞単位に一体化しており、物理的な肉体はもはや人間やあのSPSの知的生命体の基礎スペックでは、比較土俵になど立てないほどだ。
「とりま行くか」
グレンは平面を俯瞰する、この一段奈落に堕ちたSPSの情報層に侵入、ハッキングして色々と確認する。
「どのSPSにも言えることだが、形而上学的なものだったとしても宇宙に無限など無いんだな」
宇宙は閉じている有形なものだ、そんなこんなでグレンは64グラハムの階層数を見上げ、その概念階層の層を再帰的に一つに纏め上げて、効率的に情報を参照する。
「我々のSPSの真の神様ですら、こちらでは良くて中位の神格かぁ」
そのようにグレンは同じ手法を用いて下にアバターを、ラヨ数に至る階層数の概念階層を持ち、蟻程度でも神格に等しいSPSなどで更に情報を収集、やっとのことで自分が元々いたSPSにグレンは帰還した。
「カラフルじゃない、幾何学的フラクタルじゃない、普通の地平、なんて心優しいんだ、まじ涙なんか神になって初めて零したわ」
「それで?成果は?」
「、、、ある奴の顔だと思うか?心でも読んでみたらどうだ?」
「、、、」
「だが共通項が分かった」
「何かしら?」
「深度が違かろうアレは居る、これをみろ、補正付きでな」
「これは、奴じゃない」
「あぁ、シンボル的なものがあった、変わろうが関係無くいる、そして共通項はまだある」
「二つ目は?」
「知性と恐怖の比例だ」
「ん?」
「SPSは深海域が下がるほど知性が上がる、そしてそこに存在する恐怖心、恐怖の濃度も上がっていた、奴に対してはっきりとは知覚せずに、境界線を敷いて関わらないようにしてるが、歴史に刻み込まれているんだろうな、アレへの関わり合いが全て無駄に成るって」
「、、、」
どこの世界からしてもアレは未知のまま、ブラックボックスで在り、不可視な原理だ。




