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この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

簡単なのにめちゃめちゃうざい爆弾解除

掲載日:2026/04/29

 一般の買い物客で賑わうショッピングモールに爆弾が仕掛けられたとの通報があった。もちろん通報したのは仕掛けた本人だ。


『ウフフ……。仕掛けたのは一階の掲示板だよ』


 爆弾解除班が駆けつけてみると、言われた通り、掲示板の表に堂々とそれは貼り付けられてあった。非常ベルのボタンにそっくりなので、通行人は皆、気にもせずに通り過ぎていたようだ。


『解除の方法は簡単さ。青いボタンを押すだけでいい。だが……』

 電話のむこうで犯人の男は、小馬鹿にするように笑った。

『果たしてできるかな?』


 電話を受けた時は『何をバカなことを』と思った。

 しかし現物を見た瞬間、解除班のメンバーは『な、なるほど』と思った。


 爆弾の前に邪魔な広告がある。

 web漫画の試し読み広告だった。

 それを消すには、広告の左上についた、とても小さな✕印を押さなければならなかったのだ。


 解除班メンバー最年少のトシくんが呟いた。

「こ……、こんな小さすぎる✕印……。もし、押し損なったら……」


 爆弾魔の電話の声が脳裏に蘇る。


『ウフフッ……。もし誤って広告か爆弾本体に指が触れてしまったら、その瞬間──』


 どーーーん!!!


 爆弾が起動してしまうのだという。


 ベテランのハマさんが落ち着いた声で言った。

「わしの震える指と老眼では無理じゃ。トシくん、頼む」


「ぼっ……ぼくはまだヒヨッコなので──。アキヤマさん、お願いできますか?」


 トシくんの頼りきった視線を向けられて、アキヤマは苦笑した。

 この道10年、脂の乗り切った32歳、精悍なヒゲ面に脂汗が滴る。


 重い責任感がアキヤマの肩にのしかかる。


 もし、小さすぎる✕印を押し損なったら──

 平和なゴールデンウィークのショッピングモールが阿鼻叫喚の地獄と化すことだろう。


 ✕印に向かうアキヤマの指先が震える。


 嫌な記憶が蘇る。

『小説家になろう』で邪魔な広告を消そうと思って、小さすぎる✕印を押したつもりが、広告が起動してしまった、あの嫌な記憶が──


「こんなことになるならチアーズプログラムなんて登録しなければよかった……」


 震える唇が呟くが、もう、遅い。


 覚悟を決めた。

 アキヤマの指先が、小さすぎる✕印を──


「待って!」

 ただ一人の女性メンバー、川上レイが彼を止めた。

「罠よ! その小さすぎる✕印はダミー!」


 はっとしてメンバー全員がそれに気づく。

 いつの間にか、今まで存在していなかったさらに小さすぎる✕印が、他の場所に現れていたのだ。広告の右下だ。


「き……、気づかなかった!」

「時間が経って初めて現れるのか、本物の✕印が!」

「なんて卑怯なんだ!」

「こんなことして広告が逆効果になるとは考えないのかしら……」

「それにしてもさすがは『名探偵Mrs.マーブルチョコ』の異名をもつレイさんだ。よく気づいたな」

「こういう時に役に立つのが女の勘というものよ」


 結局、川上レイがその細い指先を駆使して✕印を押し、広告を消した。


 広告の消えた先に、青いボタンがひとつ、現れた。

 けっして大きなボタンではなかったが、今まで小さすぎる✕印を見ていたので、空のようにでっかく見えた。


「よし、押すぞ」

 

 アキヤマがそれを押そうとした瞬間、新たな広告が、ボタンの前に浮かび上がった。


 アキヤマの胸に殺意が芽生えた。

 川上レイは爆弾解除なんかもうやめて帰ろうかと思った。






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― 新着の感想 ―
「悪名は無名に勝る」とでも言うのか、見る側の気持ちを考えない厄介な表示方法をする広告が往々にして御座いますね。 確かに記憶には残りますが、「こういう姑息な手を使う所の商品やサービスは信用できないな…」…
ここの広告はまだいい。 全面に出て画面を濃いグレーでジャックし、しかもどこに「消す」ボタンがあるかわからないサイトとか、見ないと先に進めないサイトとかはとにかくウザい。。
これは嫌ですね〜。小説家になろうの広告は割と✕が大きいので嬉しいです。
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