表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/92

第63話 叫

「なっ⁉」


 リアムが驚いてその場にひっくり返った。


「うっ、なんかすっごい疲労感」


 エイガがげっそりとした顔をしているとリアムは信じられないものをみるような目でエイガを見つめた。

 

「な、なんで僕の魔法が……烏山の言っていたことは本当だったってこと?」

 

 そう言ってリアムはずれたモノクルをかけなおす。


「なんの魔法か知らないけど、僕の魔法をあんな無能のノーマンの入れ知恵で無効化されるなんて……僕君のこと少し嫌いになったよ、エイガ君」


 起き上がって、服についた葉を払いながらリアムはエイガを睨む。

 

「え、理不尽……」


 エイガはなぜかこのリアムという男に嫌われたらしい。

 

 ――てかこの人もノーマンさんのこと悪く言ってる……。


 エイガは最近己の憧れの人が行く先々で悪く言われることに納得がいっていなかった。

 

 ――なんでノーマンさんあんなに実力あるのにこんなに言われてるんだ? 


 エイガは少しショックを受けながら、リアムと一定の間合いを取ろうとした。

 しかしリアムはそれを許さない。

 リアムはまた杖を構えた。


「どうせ1回きりだろう、次は成功させる」

 

 リアムが魔法を出そうと杖の照準をエイガに合わせ、杖の先が光りだす。

 まずい、もう1回あれを食らったらきっと今度は起きられない。

 根性を使えるのはきっと1回きりだ。

 

 エイガは咄嗟に、その自分に向けられた杖を掴んだ。


「何を!」


「ノーマンさんは――無能じゃないっす‼」


エイガは昼間のノーマンのようにその杖を押し込み、杖の先をリアムの方へと向けさせた。

 

「あ、ちょっと!?あ……」


 そのまま魔法が発射されてしまったリアムの魔法はリアム自身に当たってしまい、リアムはどさりとその場に倒れ込んだ。


「た、倒せた?」


 エイガが目の前で花提灯を出しているリアムを呆然と見ていると、周りから声が聞こえてくる。


「リアム様!」


「おのれ魔法材料のくせに!」


 周りから黒いローブを被った衛兵が集まってくる。


――どうしよう逃げ場がない。


 目の前のリアムを倒したと言っても四方八方に敵がいるので、逃げたくても逃げられない。

 エイガは魔法が使えないのだ。おまけに足が速いわけでもない。

 この衛兵たちを相手にできると思うほどエイガは思い上がってはいなかった。

 どう見ても詰みである。

 

――考えろ、考えろ!


 エイガは今までノーマンに教えてもらったことを頭の中でなぞっていく。

 するとなぜか思い当たったのがあの魔法薬の授業だった。

 ノーマンの声が頭の中で再生される。


――いいか、精霊は強い思いに惹かれる。だから強く思えば思うほど精霊も集まる。


 そこまで再生してエイガはあることを思いつく。

 

――もしかしたら。


 エイガは天空に首を向けた。

 空は快晴、キラキラとした星が瞬きこんな良い日なのに、自分は絶体絶命のピンチ。

 エイガはハッと笑った。

 

 ――きっと俺じゃこの状況をどうにかすることはきっとできない。


 なら――。


 今自分にできることを――。

 

 エイガは目いっぱい空気を肺に吸い込み、思いっきり叫んだ。


「ブルムゥ!俺死にそう!ノーマンさん呼んでくれぇ‼」


 そう情けなく叫んだが最後、エイガは数人の衛兵によって捕らえられたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ