第51話 返し
そう言ってユリヴァが杖から今にも何か発射しそうな時だった。
ノーマンはバッとその場から地面を蹴る。
構えていたユリヴァの杖を掴み、思いっきり押し出すとユリヴァの顔へと杖の先を向けさせた。
「え、ちょ」
ユリヴァの魔法は発射されたが小さく火花が出るだけで、少しユリヴァの髪の先が焦げただけだった。
「発動が遅い、構えが甘い、威力もお粗末、不合格」
「な、卑怯だろ!」
「何が卑怯だ、俺は魔法使っていないし、お前は魔法を使ってる。お前の方がどちらかといえば卑怯だろ。あとお前は――」
そのままノーマンはゴツンと拳をユリヴァの頭に振り下ろした。
エイガはヒッと今度は悲鳴を声に出す。
ユリヴァは痛みに頭を押さえ、思わず杖を落としてしまう。
それが落ちる前にノーマンはタイミングよくキャッチし、うずくまっているユリヴァを見下した。
「敬語を覚えろと何度も言ってるだろ!!それでも俺の部下か!」
「くぅぅ」
頭を押さえ、悶えているユリヴァを見ながらエイガはカタカタと震える。
自分が怒られているわけではないのに震えているエイガを見て、モイは先ほどリリベルに向けた視線とおなじものを向けた。
「戦場から帰ってきた人間は精神的に不安定で、自己防衛のためにああいう態度をとる人間も多い! お前にはみっちりもう一度叩き込んでやる!」
「あ、頭がまだ痛い……」
「そこに直らんか!」
ノーマンが頭を押さえているユリヴァを無理矢理起き上がらせて説教を始める。
エイガはモイの黒板を指さして、差し出されるとそこに指で日本語を書いていく。
――ノーマンさんってこんなに怖かったんだな
それを見たモイはジト目でエイガを見た。
――初日怒られたって拗ねてた人が何言ってるの
「うぅそれは言わないでくれよ」
でもあまりにも家の姿と違う。こっちのノーマンさんはいかにも怖い上司で堅物という感じだが、家のノーマンは無愛想ではあるが、優しくて面倒見がいい。
――ノーマンさんのことやっぱわかんないなぁ、今ちょっと怖いもん
――人なんてそういうもんでしょ
――そうかなぁ
2人は黒板の上で会話をしながらユリヴァを説教するノーマンを待っていたのだった。




